第12話

最近アルバイトに入った佐賀さんという中学生…まるでだめだ。文句ばかり。

新聞配達を終えて家に帰る途中、実と会った。実は視力がいいのでかなり遠くから、


多喜たきお兄ちゃーん!!」


と呼び止められた。朝から元気すぎるだろ。


「実、お前何してたんだ?」


「今ねー仕事終わって~飯食いに行こうかと思ってたとこだった~」


「あっそう。家で食えばいいのに」


「みかこがね、うるさいから外で食べろって」


嫁の言うことを聞く実…可哀想に…。


「でもー最近新聞配達はじめた子がいて、その子と飯食いに行こうかと思ってるんだー」


「その子って…女?」


「うん。別に浮気じゃない!」


実…その子をその気にさせてしまうんじゃないか…?


「あ、宝之華ちゃーん!」


突然実が僕の後ろを見ながら叫ぶ。僕も振り向くと、そいつは…新聞配達アルバイトの女子だった。


「あー!桜川さくらかわさん!」


「…実の知り合いが中学生ってどういうことだ?」


「あのー実さんの知り合いですか?」


「おい、お前どうやって実に近づいたんだ?」


「ねぇねぇ~俺腹減ったよ~」


「話聞けよ!佐賀さん!実も!」


「一方的にしゃべらないで下さいよ!桜川さん!」


また揉めてしまった!実はというと…


「話終わった?」


「実!お前に聞いてんだよ!」


「わー!ごめん!で?何?」


…順を追って質問した。

つまり、実の嫁の兄のたこ焼き屋のバイトやってるのが佐賀さんというわけだ。


「桜川さんと実さんの関係はなんですか?」


「ああ、それは…」


「俺のね~叔父さんだよ!」


「おじさん言うな!」


「ふーん、おじさんか~」


「何か勘違いしていないか?僕はただのおじさんではない!実の母の弟であって、僕はおじさんではない」


「話長いですね」


「宝之華ちゃん、ファミレス行こう!俺おごるから」


「まじですか!じゃ行きます」


「お、おい!僕を無視するなー!」


奴らに無視されて、僕は家に帰った。すると、妻の梨帆りほは電話していた。

しかも英語だとぉ!こりゃ田淵たぶちだな!


「いつまでしゃべってんだ?」


「あ!おかえり。田淵くんだよ?代わる?」


「嫌だ。いい加減にしろ」


「もう!田淵くんごめーん!またね~」


日本語で電話を切った。だったら最初から日本語で話せよ。僕に聞かれたくないのか!

全くだ!


「なに怒ってるの~?」


「別に、なにも!」


「そう?じゃ梨帆りほ知らなーい」


いや、聞けよ。無視するなよなぁ…


「僕をバカにするな!」


「え?何も言ってないよ~?」


ま、そうだけど…

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