第9話

キョロキョロしながら、零さんと一緒に探した。

しかし…

アパートはあったが姉は住んでいないようだった。

なんでよ…。こんなに探したのに!


とりあえず、疲れた。

姉のこと分からない。


「お姉さん、本当に青森にいらっしゃるのですか?」


「たぶん…」


「今日はここまでにしましょうか。もう暗いですから」


「あ…私今日帰る予定で。でも姉に会ってないし…金ないし…」


「僕の家に泊まりますか?父と母もいますが。あと祖父も」


え?


「私が…?いいんですか?」


「もちろんです。また明日お姉さんのことを探しましょう」


零さん、お人好しすぎませんか…。私調子乗っちゃいそうだよ~


「じゃあ…お願いします…」


どうしよ。


「零!遅かったね~え?誰?」


「こちら、福岡で知り合った子で、実くんの友達の店で働いている子なのですが…」


つらつらとお父さんらしき人に私の説明といきさつを語る零さん!助かります。


「そうか~じゃあどうぞ泊まって!ね、れんちゃん?」


「仕方がありませんね」


そう答えたのは、とても綺麗な女の人だった。

もしかして…


「零さんのお母さんですか?」


「左様でございます」


うひゃ~。零さんに似てるし美人!こっちの零さんのお父さんは優しそうだなぁ。

祖父…おじいちゃんはちょうどどっか遊びに行ってていなかった。

ありがたく泊めて頂き、食事までお世話になりました。優しすぎる。


朝になり、また姉のことを探すことになった。零さんと。さて、どうやって探すか…。


「お姉さんはどんな仕事をされているかわかりますか?」


「………獣医見習い?的な?」


「この辺でしたら、動物病院は一つしかないですね。行ってみますか?」


「え…はい。とりあえず…」


少し歩いてすぐに到着した。なかなかにでかい。名前は青森動物病院。中にすいすいと零さんは入って行ったので、私もついていった。


でもどうやって探すのかな?


ふと、歩いていた白衣を着た先生らしき人に、零さんは話しかけていた。


「あの、柊先生…ですか?」


「は?…あ、零くんか。彼女とはどうなったのかな?」


「…いえ、その話はもういいです。ところで、佐賀さんという方はいらっしゃいますか?」


「いるけど?なんだ?」


「あの!それ私の姉なんです!」


「零くん、誰?」


「福岡での知り合いなのですが…」


「あっそ。…佐賀はこんな顔の人じゃないよ?」


「姉とは全然似てないです。母親が違うので」


「なにぃ?……じゃ呼んでくる。そこで待っとけよ」


「柊先生、ありがとうございます」


零さんは深々と頭を下げた。

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