第13話

「前回担当されていた秋吉さん、違う出版社に行ったじゃないですか。でもそっちにいった途端全然売れなくなって。

敏腕担当さんだって思って、ごめんなさい、入る前から色々調べて、で、入って、編集長さんに違う方紹介されたんだけど、私は貴方がいいと思って、で、頭下げて、目に留まるように変なタイトルにしたりとか、色々して...。

でも、それだけではなくて...。」


なんだなんだ?

確かに秋吉くん僕が担当してていつのまにか引き抜きにあって、俺も運ねえなあって。

編集長に会っていた?


「ちょっと待てよ。普通編集長なんて一介の作者には会わないはずだぞ。」


そう、うちの編集長はそういう人。自分が睨んだ子だけ会う。そういう子には自分のお気に入りの担当者を配置しているから、俺らヒラにもあんまり会いに来ないのに。


「いえ、私直接編集長面接です。かつ、今日は一通りプロットとネームが終わったので、その報告しようと。

あと編集長に先にそれ見られていたので、内容的にはアニメ化方向で話進めるぞって...でも私の担当は...。」


なんの話だ?全然聞いていないし、今日は打ち合わせからか?とか色々思っていたのに。そういうことだ?


「ちょっと、待ってくれ。脳の整理したいから食ってろよ。」


ああそうか、みたいな顔をして女はワッフルに手をつけ始めた。小さな声で美味しいと呟いた。

俺は脳みそが忙しい。

一介の、え?編集長と仲がいいのか?

ちょっと待てよ。俺の知らないところで色々発生している。

そういえば本名...。


「棗、あんた、もしかして。」


「はい、編集長の南は私の叔父です。絵の描き方とか色々教わったので、スクール通わず、普通の社会人をやってからやっぱりと思って入社希望しました。

絵は人を幾重にも感動させることも怒らせることも、全てできる。だから私がそれで読んでくれた人の感情を揺れ動かしたいって。やっぱり読み物は良いなって文化を活性化させたいと思ったんです。」

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甘くて辛いチャイティーラテ 平良佳子 @syoko8711

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