第8話
「じゃあひとまず時間まで私あの服屋にいるから来ないで。」
ああああああああああああもう本当にこの女わかんねえなあ!
俺は担当様だぞ?!
もう少し気を遣って「どうしましょ...一緒に...散歩でもします?(モジモジ」とか言っちゃってくれたらもう、手を引っ張ってこぉ、大人のエスコート(?)をしてあげるのにさぁああああああ!!!
僕の担当になる子は変人ばかりで嫌だよもう。
「...畜生が...。」
俺はため息ひとつついてコンビニに寄った。特に用事はないけど、下北なんて若い子のファッション意識系が来る街に用事がない。だから来たこともないから安心安全みんなが知っているコンビニなんて心のオアシスだよ。ありがとうコンビニ、ありがとう全国チェーン。
飲み物はこれから飲むから要らないし、お腹が空いているわけでもないし。ちょっと商品見ているフリしてフリスクだけ買うか。ミントがいい感じに爽快感出してくれるからついつい常備しちゃう。
特にこの女と初めて会った時第一声が「息臭くないすか、担当さん」と言われてからもう半分欠かせなくなっている。
おっさんがくさいのは汗と涙と足の裏と口臭になっちまったのか...。世の中生きづらいなあ。
タバコは娘を妊娠してくれてから吸わなくなったし、歯磨きは食事ごとにしているし、歯石だってとってもらってるのにさぁ。
「ほんと、やになっちゃうなあ。」
ぼそっと呟きながら一番辛いやつを手に取ってコンビニ二周目に突入、特に用事がない雑誌売り場を見たり、暇を持て余した神の遊びをして会計して外に出た。
ちょうどいい時間になっていて女も服屋から出てきた。
...なんか買ってるぞ、あの女。
「ん。」
袋を突きつけられた。
「は?何。持てってこと?」
「お前にだよ。」
お前ってあんたなあ。
「へーへーどうも。中はなんですか?」
「襟に模様が入った白シャツと濃いグレーのジャケット。」
結構センスあるんじゃね?
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