第14話 死刑
僕は、自分の
当然、この
仮にそこでいい暮らしをさせてもらっても、いつ身代りにさせられて、死んでしまうか分からないような日々を過ごすことに変わりはないだろう。
それは、前世で言うところの死刑囚と同じ境遇だ。
いつか、けれど間違いなくやってくる死を今か今かと震えて待つばかりの人生となるであろう。
そんな人生は絶対に嫌だ。
仮に不慮の死を迎えたにしろ、人として限りある命を精いっぱい行きたい。
こんな
まさに、こんな
当然、僕は酷く落ち込んだ。
そんなある日、僕は、ふと考えを改める。
もしも、見つかっても死なせるのは惜しいと思わせるような立場になればどうだろうか?
せっかく前世の知識をがあるんだから、これを利用させてもらって、自分の価値を高めてはどうだろうか?
他人の褌で相撲を取るような行為で申し訳ないとは重うが、これは僕にとって生死を分けるようなことだ。
こうして僕は、恥も外聞もなく、前世の記憶をもとに領地の改革に乗り出した訳だ。
しかし、その道のりは決して楽なものではなかった。
何せ、当時3歳ほどの幼児がいくら御託を並べても、所詮は子どもの戯言。
誰も言うことなど聞いてくれなかった。
そこで僕は、存命だった祖父を味方にすることで、発言権を得ることに成功したのだった。
既に当主の座を退いていたとは言え、領民への大きな影響力は衰えておらず、孫を殊のほか可愛がっている上に、時間を持て余していたのが功を奏する。
祖父といっしょに作ったと言って提供した前世の料理は、領民たちにも好評だったり、祖父にお願いして実験した提案は、数年後に大きな成果を生んだりしたのだった。
こうして、僕のアイデアが一考の余地ありとの認識が家族や領民たちに生まれてからは、面白いように改革が進んでいった。
やがて、僕が7歳になる頃には、ウチの領地は王国でも有数の裕福な土地となったのだった。
そして、この盛況を呼び込んだのは、子爵家の誇る麒麟児との評判が世間を賑わせたのであった。
ここまですれば、仮に僕の
そう思っていた…………あの日がやって来るまでは。
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一斉に更新したら、
『幸福の王子と竜の姫〜転生したら領民がヒャッハーしてました〜』
『自己評価の低い最強』
の2作品の反響があったので、とりあえずしばらくはこの2作品を交互に更新していけたらと思います。
あっ、もちろん『無自覚〜』は毎日更新頑張りますよ。
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