私の読み解きは、果たして天然の眉なのか、後から描き足したものなのか
- ★★★ Excellent!!!
私は、わかりやすいものが好きだ。
私のような足りない頭でもすっきり明快に意味を違わず受け取れるものが良い。
しかし、そればかりだとどうしても飽きてしまう、誠に我儘で贅沢な嗜好だ。
常に、自分の「半歩先、一歩先」を歩いている作品が良い。
自分でも、背伸びしたら届くかもしれない……そう思わせてくれる背中が好きだ。
例えわかりやすくても、流行りに乗った異世界ものはいけない。
ああなると逆に分かりづらい。噺の内容は面白くても心の深淵に迫る、覗き込むような覗き込まれるような、そんなゾクゾク感は得られない。
やはり、文学的作品が私には合っている気がする。
翻って、この作品はどうだろう。
一歩前に、この作品はいない。
気付いたら、背中にぴったりとへばりついていたような位置関係と距離感とを感じる。
驚いて半歩後ずさる。
そしてこの作品は意味ありげな表情だけを残してスタスタと立ち去っていってしまう。
慌てて私は後を追う。
声は……掛けられない。
構図的には──結果的には、一歩前を征く作品だ。
しかしその成り立ちはまるで違う。
誰も付いてこいなどとは言っていない、なのに後を追ってしまう。
数分後、落ち着いて考えてみた先に
いつもの日常を言い訳にした正常性バイアス様に身を委ねるのか
ちょっと待て、コレは何か酷くありふれていながら大事なことを言っているんじゃないか!?
と勘ぐってしまうのか。
とりあえず私は、レビューを書いて時間を稼ぐことにした。
「まだあわてるような時間じゃない」
↑手のひらフリフリ