293 ゴーレムの進化
※ 作中にある魔法、ホーリーシールドとホーリーガードは重複して表記していますがホーリーシールドで統一をお願いします。作中の意味は同一(聖壁の意)なんですが混じってしまって……。紛らわしくてごめんなさい(謝)
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「来たぞアレク」
「はい」
「来たぞアレク」
「はい」
「来たぞアレク」
「はい‥」
いつ終わるとも知れぬ高低差のある山道。
暑さに奪われる体力。
やってくるゴーレムの襲来。
体力に加えて気疲れ、または精神的な疲れは全員の気力を否が応にも削いでいく。
この日。
これまででいちばん高低差のある山道の底に来たときだ。
「来たぞアレク」
「はい‥こ、これは!!」
「アレク、金のゴーレムよ!」
「ああ、わかってるよシルフィ!」
「おいおい多すぎだろ‥‥」
坂道の頂上で待ち構えるように現れたのはゴーレム群。
索敵に引っ掛からなかったのは山道の高低差ゆえだろうか。頂上で見下ろすように扇状で待ち構えるゴーレム群。土ゴーレム20体、岩ゴーレムも20体。さらには鉄ゴーレム5体を引き連れて中央に登場したのは金のゴーレムだった。
ついにお出ましかよ!太陽男め!
「何か変よ?アレク」
「ああ。セーラ念のためリアカーに障壁を」
「はい。護りたまへホーリーシールド(聖壁)!」
セーラが障壁を発現してすぐ。
鉄のゴーレム5体の腕が動いた。手にした岩を放り投げてきたんだ。オーバーハンド。指に掴んだハンドボールほどの岩を振りかぶって投げてきたんだ。
距離は優に50メル以上だけど、俺たちはすり鉢の底にいるからゴーレム本来の射程距離20メルにかなり近い。
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!
運良く直撃は免れたが足下近くに刺さるように投擲された石礫や岩の塊に冷や汗が出る。
ズーーンッ ズーーンッ ズーーンッ ズーーンッ‥
一歩一歩前進してくるゴーレム群。
「絶対に当たるな。当たったら洒落にならないぞ!」
キム先輩の大声がとぶ。また来た!
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!
ドーンッ!ガッッ!
ついに1発の岩石がセーラの障壁(ホーリーシールド)を直撃する。
「大丈夫かセーラ?」
「大丈夫!行ってアレク!」
「わかった」
「マリー先輩は射程に入ったゴーレムをお願いします!」
「わかったわ。アレク君は?」
「俺はあの金ピカ野郎と鉄ゴーレムを倒してきます!」
「気をつけて!」
「はい!」
「突貫、ブースト!」
即座に山道を駆け上がる。すり鉢の底でゴーレム群に囲まれた瞬間から対応策は決めてたんだ。
「シルフィ土魔法でアイツらを転がして鉄野郎と金ピカ野郎を叩くよ」
「いいわよアレク」
扇状に待ち構えるゴーレムから中心の鉄ゴーレムを叩く。危険度の高い真ん中の鉄野郎たちを倒せばあとはなんとかなる。あわよくば金野郎も倒したいな。確実に魔法が発現する位置まで一気に近寄り土魔法を発現する。
「土遁。外堀の術!」
扇状に立ってゆっくり進軍してくる全域のゴーレムに向けて土魔法を発現する。
ズズズーーーーーッ!
俺を中心に見立て半円の外周部に1メルの穴が現れる。幅1メル程度の穴でさえゴーレムは飛び越えることができないから前進できずに転けるだろう。
「アレクやっぱり全部は無理ね」
「そうだねシルフィ」
外周部全域の魔法の発現はやっぱり出来なかった。でもこれは想定どおりだ。中央の鉄ゴーレム5体の進軍を防ぐ穴を発現できたからこれでヨシだ。
発現出来なかった半円、時計でいうところの2時から4時、8時から10時を抜けてくるゴーレムはマリー先輩に任せよう。
「抜け出たゴーレムはマリー先輩たちに任せよう」
「ええ、マリーとシンディなら大丈夫。ゴーレムなんか敵じゃないわ」
「ああ。俺たちは鉄と金だな」
「そうよ」
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
左右を飛んでくる石礫や鉄の塊を避けながらさらに接近していく。掠った鉄の塊が頬を血で濡らしていくが気にはならない。
「いくよシルフィ!」
「ええ」
鉄のゴーレム5体に狙いを絞って風魔法を発現する。
「「ゲイル(疾風)!」」
ゴゴゴオオオォォォーーーッ!
疾風が鉄のゴーレムを直撃する。
ドオオォォォーーーンッ!
ガンガンガンガンッ!
重量のある鉄のゴーレムでさえも俺とシルフィの疾風の前では立ち続けることは不可能だ。ましてや2足歩行のゴーレムだ。片脚がグラつけば倒れるしかない。それでも倒れずに粘るゴーレムには直接戦闘靴で蹴りを加える。
ズドォォォォーーンッ!
ズドォォォォーーンッ!
倒れた先には槍衾を発現してある。
ゴキッ!
ゴキッ!
ゴキッ!
ゴキッ!
ゴキッ!
鉄のゴーレム5体を倒す。
あとは金のゴーレムだけだ。
と。これまで静観の構えにみえた金のゴーレムが徐に倒れた鉄のゴーレムの身体を掴んで一気に放り投げた。
鉄のゴーレムは低い放物線を描いてセーラたちの下へ迫る。
ビュンッ!
「気をつけろセーラ!」
さすがに鉄のゴーレム1体の直撃を受けたらセーラの障壁といえど無傷では済むまい。
「セーラさん僕に任せて!」
盾を構えたシャンク先輩がセーラの前に立ち塞がった。
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