第48話


 冬の寒さはすっかり逃げ去り、外にはぽかぽかな陽気に誘われるように桜の花が咲いている。4月になりました。


 そして、今日は4月10日。今日をもって私と結心は6歳になりました。来年はもう小学生だね。


 昨日より少しだけ歳を重ねたと言われても、実感は湧かないもんだよね。でも、それを分からせてくれるかのように、毎年誕生日会を開いてくれる家族って、本当にありがたいよ。


 お母さんとお父さんの子供として生まれてくる事ができて嬉しいよね。直接いうのは恥ずかしいけど。ちゃんと私だって、そういうこと考えてるんだよ。


「もうすぐお父さん帰ってくると思うから、ご飯の準備しとこうか」


 お母さんが私たちに言う。ちなみに今日は平日なのだが、少し前からお母さんは産休に入ってます。本当に大きなお腹をさすりながら歩いてくるお母さんは、とても優しい顔をしている。


 これから生まれてくる赤ちゃんも、こんな優しいお母さんを選んで正解だと思う。良いチョイスをしている。


 そんな、考えをしながらご飯を運んでいるいたのだがご飯の匂いに考えを妨害されてしまう。


 めっちゃ良い匂いがする。それもそのはず、だってお母さんが時間をかけて腕に寄りをかけて作ってくれたのだ。それが美味しくないわけがない。まぁ、まだ食べてたわけじゃないんだけど。


 机に並べられていく料理たち、次第に机に乗らないぐらいになっていく。


 私たちの好きな料理がたっぷりと、それに加えてバランスを考えた料理もある。


「ただいま。ちゃんとケーキ買ってきたよ」


「ありがとう。流石に私たちだけで買いに行くのは怖かったから」


「今は、安静にしておくのが1番だと思うから、僕に任せてくれれば良いよ」


「うん、ありがとう」


 玄関からのお父さんとお母さんの会話が聞こえたきた。会話の中の言葉からお父さんがお母さんのことを心配しているのが分かる。いくら3人目だといってもやっぱり心配なものは心配だよね。


 お母さんと一緒に部屋に戻ってきたお父さんは、冷蔵庫にケーキを入れに行く。その間に私たちはご飯の準備を進める。これは毎年同じ気がするが、お父さんが仕事着を着替え終わって、部屋から出でくるのとご飯の準備が終わるのはほとんど同時だった。


 私たちは、豪華な料理の乗った机をみんなで囲む。結心は早く机の上の料理を食べたくてうずうずしているのが可愛い。


 ずっと、このまま待て状態で放置したいと思うけど、可哀想すぎるのよね。


「じゃあ、今年も始めようか。結笑、結心、6歳の誕生日おめでとう!」


「「ありがとー!」」


〜6歳誕生日会 1時間前〜

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