第46.5話


「「「「明けましておめでとう!!」」」」


 声が神社の境内に響く。流石に叫んでいる人はいないが、みんなが小さな声で言うことによって、まとまって声が響いていた。その後のザワザワは、今年もよろしくお願いします。だとか、今年の抱負だとかの声が周りから聞こえてくる。


 それは湊家も同じで、今年もよろしくの挨拶をし合う。全員いい終わったら、神社に挨拶をしに行く。賽銭箱に5円を入れて、鈴を鳴らす。そして。ニ礼ニ拍手一礼でお願い事をする。


(今年も楽しい1年でありますように)


 わたしがお願い事を伝えるのを終え、顔を上げてもお母さんたちはまだお祈りをしていた。少し時間が空いてから、お母さんたちも終わったようで、神社の前から移動する。


 てか、お母さんたちは何をあんなにお願いしたんだろうね。あんな、長い時間お願いしてたってことは、結構壮大な願いだったのかな?それとも、強欲に多くのお願い事をしたのかな?


 まぁ、それは本人に聞かない限り闇の中であるが、私にそれを聞く勇気はない。だって、とても多くの願い事だったり、世界征服とか言われたら。反応に困っちゃうじゃん。


 そんなことを考えながら、歩いていると目的地に到着する。それはおみくじ売り場だ。


 私たちはお母さんにお金を入れてもらって、おみくじを引く。普通にノーマルのおみくじだ。招き猫のおみくじや、宝石みたいな意志のおみくじもあったのだが、こっちのシンプルなやつが、わたしは気になったのだ。


 なぜ気になったのか、と言われると不思議だが、なぜか目が釘けになってしまったのだ。


 結果、中吉


 うん、微妙。隣で大吉を引いている結心がこみらを見てくる。殆どいいことが書いてある紙とは違い、私の方のは躓くとか、気をつけよと書いてあるのだ。


 まぁ、気にしなかったらいいんだけどね。そう思って、くじを結びに行く。悪いことを神社に置いていくためだからね。わたしの隣で大吉のおみくじを結びつけようとしている、結心は止めておく。


 わたし以外にもお母さんもお父さんも、おみくじを結びつけていたので、大吉は結心だけだったのだろう。


 結終わると、私たちは家に帰り始めた。しかし、帰りは寒い&眠いなのだ。私たちがうとうと、ふらふらしながら歩いていると、お父さんがそれに気づいてくれる。


 そして、本当はお父さんとお母さんで、私たち一人ひとりがいいんだろうが、お母さんに任すのは流石に気がひけるらしい。


 結果、私たち2人ともお父さんにおぶられるか、抱き抱えられるかの状態となった。


 最初の頃は、少し不安で寝れなかったのだが、しばらく経つとそれも、落ち着いて。だんだん睡魔が強くなってきた。


 私が次に目を開けた時には、私たちは、家に帰っており、陽も高くまで登ってしまっていた。


 来年はどうか知らないが、今年はすぐに初めての体験ができてよかった。


〜今年も来年もこの場所で 1時間〜

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