4年目
第35話
外の景色が勢いよく流れていく、青々とした木がどんどん後ろに流れていく。人も植物も建物も車の中から見ればそんなものだ。
今日は5月の連休。そう、ゴールデンウィークだ。お父さんもお母さんも休みということでお出かけすることになった。お出かけ先は着いてからのお楽しみということで、教えてもらってない。
連休、中日の5月5日だけあって、車も人も多い。これでも初日に比べたら減っていると、ニュースで言っていたので、やっぱり連休ってすごいな。遊びに行ったり、家族で実家に帰省したり、私たちみたいにお出かけしたりと、理由はそれぞれだろうが人の動きが活発になるんだな。
まぁ、逆に連休を使って、精一杯家でダラダラと過ごすのもありなんだろうけど。私たちは、平日はいつも祖父母の家でダラダラしてるしね。
私たちは朝から家を出て、結構長い時間車に揺られている。高速道路も通ったし、家から結構遠い場所まで来たんじゃなかろうか。
私たちは暇なのだ。車の中で暇を潰せるものもないし、チャイルドシートに乗せられているから体を動かすこともできない。子どもが車の中で、好き勝手動ける方が危ないんだけどね。
だから、これまでの時間ほとんど寝ていたのだ。起きては寝て、起きては寝てを10分間隔ぐらいで繰り返す。
たった、10分でも外の景色が段々と変わっていってるのがすごいよね。今はどんどん山の中に入っていってるけど、目的地がわからない。
こんな、山の中にショッピモールなんてないだろうし、これから先に何かがあるビジョンが浮かばない。
しかし、車の交通量は結構あるから、驚きだ。私たちの車みたいな大きさのものもあるが、どちらかというと、いわゆるファミリーカー的な大きい車が多い気がする。
みんな揃って、こんな山の中になんの目的があるんだろうね。その私の疑問の答えは、すぐそこらしい。
車が駐車場に入る。広い敷地を活用した、大きな駐車場だ。でも、結構な台数の車が既に止まっていた。駐車に苦労するほどでは、なかったにしろ、こんなにいるなんてすごいな。
私たちは車から下ろしてもらって、辺りを2人揃ってキョロキョロと見回した。普通は、駐車場から見ただけじゃあ、自分達が得れる情報は少ないものの、ここは声(正確には悲鳴だろうか)と音、それに建造物が他とは一線をかくしていたため、すぐに分かってしまった。
結心も私も生まれてから、テレビなどでしか見たことがなかったので、こういうところに来るのは初めてだ。
私たちは、2人揃ってある建造物の名前を言ったのだった。
「「かんらんしゃだ!!」」
〜テーマパーク 1時間前〜
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