第34.5話


 私たち2人の誕生日プレゼントも無事決定して買ってもらい、今は帰りの車の中でございます。


 私が買ってもらった自転車は大きさ的に車の中に乗らなくて、郵送にしてもらったので大丈夫だったんだけど、問題は結心の方にあった。


 結心がプレゼントとして買ってもらったのはピアノなんだけど、自転車と違って車に乗せれたから、乗せてるんだけど、結心のソワソワが半端ない。


 時折、後ろを見たと思ったらソワソワ。そうじゃなくても、10人が見たら8人はソワソワとしていと答えるぐらい、わかりやすい。


 お父さんとお母さんもそれに気づいているらしく、車が家に着くまで話をしようとしてくれる。まあ、質問されている本人である結心は上の空で返事しているんだけどね。


 そんな状態も、車が家に到着するぐらいで終了する。結心はついた途端に車から降りようとするが、チャイルドシートがちゃんと仕事をしていた。


 が、今はそれかが仇となって結心がイライラとしている。早々にお母さんが来てくれて解決したのだが、あのままだったら、結心はどうなってしまったのだろう。


 結心は降りてすぐに車の後ろに向かう。車の後ろのドワを開けて、ピアノを結心に持たせてあげる。それを大切そうに持った結心は、急ぎながら、でも落とさないよう、傷つけないようにアパートの部屋に入って持って行く。


 私の分は無いので、我が身だけでOKだ。

 頑張って囲んでいる結心の横を悠々と通りすぎる。だって、手伝いもいらないって言われたんだもん。


 そして、ようやく我が家に新しいピアノが到着した。結心はやりきった顔プラス、ここから本格的に触れるんだというワクワク感が滲み出ている。


 結心は部屋に着くと同時に、ピアノの梱包をときはじめる。これまた丁寧に剥がして行くので多少時間はかかったが、すぐに開封することができた。


 ピアノと一緒に買ってきた乾電池を挿入しスイッチオン!


ポン、ピン、ボン!


 澄み切った音が部屋に響く。結心も弾けることが楽しいのか、一心不乱にピアノに触り続ける。意味不明なメロディーを奏でようと、お構いなしだ。


 しかし、少ししたらそれも落ち着いた。今度は普通に楽譜を見ながら弾いてみるようだ。前から楽譜の見方は、動画を見てやっていたので、今回もちょっと苦労はしているが、少ししたら出来るようになるだろう。


 その日、結心がピアノから離れるときはなかった。ご飯の時もお風呂の時もずっとピアノのことを考えているのが、ありありとわかったので、たまに笑ってしまったが、当の本人である結心は気にしてないようなので大丈夫だろう。


 ピアノを弾いている結心を見ながら、私はいまから、結心が演奏する曲を聴くことが楽しみである。


〜プレゼント決定 1時間〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る