第33.5話
声と共に部屋のドアが開く。
そこに立っていたのは、去年とは違い仮面をつけずに、鬼の格好だけをしたお父さんだった。
去年と同じでお母さんが、間髪入れずにお父さんに全力投球の豆を投げつける。たまに袋に入ったまま飛んでいる重量級の豆があるのが怖いところだ。
でも、前回と違い鬼の顔がででいる。でていると言うかお父さんだ。去年とは違いおばあちゃんの予備知識もない。お父さんの顔自体はそんなに怖くないので、本当にただ鬼パンを履いて、アクセサリのツノを生やしているお父さんだ。
当たり前だけど、結心は泣いていなかった。やっぱり顔が見えている事と、去年からの耐性もあるのだろうか。今年は、ちゃんとお父さんに思って豆を投げつけている。しかも、途中から笑いながら投げていた。
「おにはーそと!ふくはーうち!」
「おにはーそと!ふくはーうち!」
「「おにはーそと!ふくはーうち!」」
それに、私も加勢し私たち2人はお父さん鬼を苦しめる。お母さんは、早々に投げるのをやめ、今では私たちの写真をとってます。一応お父さんのやられ姿も、収められていっていらしい。
「ぐわぁ〜、や〜ら〜れ〜た〜」
ある時、お父さんが苦しみ出して部屋の外に出て行った。
「やったね。結笑、結心!鬼を追い払えたよ。これで安心して、ご飯が食べれるね」
「勝った!やったー!」
ご飯のことをすっかり忘れて豆を投げまくっていたな。なんで考えていると結心が、声を出してよ喜んでいた。
まぁ、去年のことがあるし、お父さんもお母さんもソフトにして優しい。でも、楽しい豆まきにしてくれたんだなと、それで気づけたのでよかった。
私たちがご飯の席についていると、服を着替えたお父さんが部屋に戻っていた。
「ご飯出来たか?お腹すいなんだか?」
さも、今日初めてリビングに来ました感を出しているのが面白い。それに、私も結心の気づいて笑ってしまった。それが広がって、結局家族全員で大笑いしてしまった。
私たちの笑いが収まった後は、ようやく恵方巻きを食べる事になった。熱いものでもないし、ラーメンみたいに伸びるものではなかったので、机の上にラップの状態で、少しの間放置されていたぐらいなんてことないのだ。
「結笑ちゃんと結心ちゃんは、自分で作った恵方巻きはどうですか?おいしてくで来ましたか?」
「「できました!」」
お母さんの質問に私たちの元気な返事がかえる。それにお父さんも、うんうんと頷いているが、それ作ったのお母さんだからね。
終始和やかなご飯の時間も終わり、私たちは豆まきでの鬼退治話をお父さんたちとし始めるのだった。
〜ソフトな節分 1時間〜
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