第33話


 今日は2月3日です。あの悪夢の日です。結心が覚えているかは分からないが、去年の節分では怖い思いをした。


 多分お父さんであろう鬼が、本格的に怖かったのだ。しかも、前準備としておばあちゃんが車の中で、鬼に関する怪談話をしたから、さらに怖かったのを覚えている。


 今年は休日なので祖父母の家に行くことはなく、今まではゆっくりとした家での休日を過ごしている。でも、テレビから流れてくるのは、節分の鬼の話題が多く、テレビに鬼が映るたびにビクビクしている結心が可愛い。


 まぁ、その分可哀想だとも思うんだけどね。節分といっても豆まきだけじゃ無いんだよね。


 ということで、今私たちは恵方巻きを作っています。えっ、恵方巻きは作るものじゃ無いって?


 いやいや、自分達で作ったのもを食べるから特別感があっていいんじゃないか。クリスマスに自分で作ったケーキを食べるのと同じような感じだよ。自分で作ったことはまだ無いんだけどね。


 こんな事を考えていても、私は手を進めない。最初は恵方巻きとかの具も、ちゃんと考えながら作っていたのだが、結局みんなして手巻き寿司みたいになってしまっている。


 ここで疑問が浮かんだんだけど、恵方巻きと手巻き寿司って何が違うんだろうね。こう言う時はクーグル先生だよね。


 よし、わかった。恵方巻きと手巻き寿司の違いは、細かく切られているかと節分の日に食べるかどうか、みたいに書いてあるね。長い手巻き寿司を切らずに節分に食べたら、それは恵方巻きってことになるんだね。


 面白い発見ができたね( ^ω^ )


 えっ、そんな鼻伸ばすほどじゃ無いって、鼻を伸ばして何が悪い!私には大発見だったんだぞ!


 恵方巻きが完成したのでこの話は後にしよう。結心と私のやつは、自分達の手で作ったので、少し小さめだ。でも、中身や巻き方が全然違うから面白いよね。


 お母さんは、お父さんの分も合わせて2本分だ。私たちが1本作るのに対して、2本作っているのだから、なんと手際のいいことだろう。


 ご飯もできたし、それを机に持っていく。そして、ご飯の準備が整ったので席に着く。お父さんがいないのが、すごく凄く不安だ。


 また、去年の荷の前にならないだろうか?などと考えていると、私たちの前にまたもや豆が置かれる。


 そして、お母さんがご飯を食べるためをお父さんを呼んだ。


「お父さん。ご飯ですよ〜」


 その声と共に部屋のドアが開く。


 そこに立っていたのは、去年とは違い仮面をつけずに、鬼の格好だけをしたお父さんだった。


〜ソフトな節分 1時間前〜

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