0~7(雫視点)
昔の私はおどおどしてて、泣き虫で、どうしようもない人間だった。
男の子たちにちょっかいかけられて、惨めで、情けない自分に嫌気がさして、泣きたくないのに勝手に涙がこぼれてくる。
そんな時にいつも、彼が助けてくれるのだ。
『こらーっ! しずくちゃんをいじめるなー!』
自分より大きい相手にも果敢に向かっていって、ボロボロになりながらも、私を守ってくれた。
嗚咽を漏らす私に手を差し伸べながら、いつも彼は笑顔だった。
『やっつけたからもう安心だよっ! しずくちゃん』
『ありがと……。あの、どうしていつも、助けてくれるの……?』
『どうしてって、僕っ、しずくちゃんのことが大好きだから!』
『ふぇっ!? そ、そんなのウソだよ』
『ウソじゃないよっ! 大きくなったら結婚したいって思ってるんだ!』
ちょっと照れくさそうに言う彼に、私はときめいていた。憧れみたいな存在の彼が、私なんかを想ってくれてる。
離れたくない、離したくない。幼いながらに、私は強く、そう思ったんだ。
『指切り、しよ?』
『え、なんで?』
『約束は破っちゃいけないものだから。ちゃんと約束してもらうの』
『そっか。じゃあ、指切りする! しずくちゃんだいすき! 大きくなったら結婚しようね!』
『うんっ、約束だよっ、こんたくんっ!』
「――ほんと、ずいぶん時間かかっちゃったけど」
私は天井を見上げながら、ぼやく。
チラと隣を見れば、最愛の男の子が、寝息をたてている。何回もして、疲れちゃったみたい。
私は彼の身体を抱き寄せ、毛先に沿うように頭を撫でる。
「今日の紺太、かっこよかったよ」
「んぅ……」
赤ちゃんみたいにおっぱいに埋まってくるその姿は、同じ人物には見えない。
けど、こういうギャップがあった方が、私は嬉しい。お互いの足りないところを補い合える関係が一番だと、思うから。
「おやすみ……ちゅっ」
キスをして、抱きしめたまま、まぶたを閉じる。
約束を守ってもらったんだから、今度は私の番。
ずっと愛してもらえるように私、頑張るから。
ずっとずっと、隣にいてね――?
三大欲求を満たしてくれる幼馴染みとの一コマ みゃあ @m-zhu
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