第七十二話 月の剣(2)




 柏木家との取引を経て、広龍は医療品を手にした。他にも、アシダファクトリーと各企業の尽力により物資は続々と雨宮に集結し、重術を交えた近代的な防備へと雨宮の城は変貌していっている。


 城壁の上には重世界産の素材を使用した魔弓が配され、強い傾斜のある城へ攻め込むための道には、鉄条網が配されている。さらに、職人たちが作り出したイロモノもまとめて購入したからだろうか、摩訶不思議な見た目の兵装があった。槍を数本備え空へ向ける謎の設置物は、まるで対空ミサイルのようである。


 人脈と金を惜しみなく使う彼が、早朝、雨宮の本丸を訪れた。


 徹夜明け。缶コーヒーを常飲し、目元が隈で真っ暗になっている雨宮怜の元へ彼が訪れる。


「……強力なプレイヤーがほしい?」


 広龍の言い出したその言葉を聞いて、ぼさぼさ頭の怜は聞き返した。


「ああ。この重世界では、近代兵器などといった裏世界にない概念……”共通概念”に属さないものを、運び込むことができない。DSプレイヤー全員に射撃系の術式を持たせるなど工夫はしているし、雨宮の妖異殺しや芦田といった手練れもいるんだが……相手に特異術式持ちの妖異殺しが現れた時、前線が崩れる恐れがある。そこでだ」


 立ち上がった彼が、PCの光を浴びる怜の元へ。彼はあの、交流会のことを思い出している。


「β版のDSにおいて、妖異殺しの襲撃を受けたプレイヤー。”人殺し”を確実に出来て、妖異殺しを屠る実力のある彼ら……そこから一人を、防衛の要として迎え入れたい」


 その言葉に驚愕し、睡眠不足を忘れて顎に手を当てた怜が考え込む。


「……あのβ版のプレイヤーリスト。今、出しますね。ただ、東北地方担当者の私でも、情報は制限されているのであしからず」


 彼女が表示させた画面の上。表示されたのは、正式リリース時点のプレイヤーリスト。



 1.楠晴海『死の珊瑚礁ホワイトシンドローム

 2.倉瀬広龍『不撓不屈の勇姿』

 3.立花遥『乱筆乱文の墨染』

 4.濱本想平『善の選択者ショルダーエンジェル

 5.城戸雄大『気怠るげな主人公リラクタントヒーロー

 6.柏木澄子『炎天和ぐ日傘パラソル

 7.本宮映司『再演する名場面モンタージュ

 8.戌井正人『負け犬の逆転劇フロムアンダードッグ



「この中で、目立って強いのは?」


「楠晴海。倉瀬広龍。城戸雄大の三人かと。この三人には選りすぐりの精鋭が送り込まれていましたので。貴方のに関しては……里葉ですけど……」


「……それで、この中で最も話を受けてくれそうなのは?」


 彼女が、マウスのポインターで名前を指し示す。


「それは、間違いなくこの人でしょう。ただ、ので私も一緒に行きます」


「……彼か。意外だな。連絡先は持っているし、すぐにコンタクトを取る。ああ、それと、怜。ずっと前から気になってたことがあるんだが……一つ質問をしてもいいか?」


「ええ。構いませんよ」


「ああ。それで、その質問なんだが━━」







 怜を連れ、重世界の海を泳ぐ広龍。ダンジョンの中で会おうと返答した彼がいる渦へ、広龍は急行した。


「久しぶりですね。倉瀬さん。お話があると聞いて飛んできましたが、何かあったんですか? って、あれ、雨宮さんじゃないですか! 奇遇だなぁ!」


 β版DS。第四位。濱本想平。スポーツブランドの動きやすい服を着ている彼は、無垢な笑みを浮かべている。彼の言葉に、返答しようとした広龍を静止し、怜は突如として語り始めた。


 目的でもない。依頼内容でもない。

 雨宮里葉を中心とした、その物語を。





 ダンジョンの中。モンスターが一匹もいないそこで、彼の嗚咽が響く。


「うぐ、うう、ひっぐ、ゔぇえ、ええ、な、なんてなんてなんてッ!! なんて酷いんだッ!! そ、それで、倉瀬さん、いや、広龍くんは彼女と離れ離れになっているのかい!?!?」


「え、ええ……」


「酷い酷い酷い酷すぎるッ!! そんな悪、罷り通って良いはずがないッ!」


 ゴシゴシと目元を拭い、感情が消え去ったような表情を見せた濱本は広龍に言い放つ。


「その戦い。僕も協力させてほしいです」


「あ、ありがとうございます。後日、報酬も支払うので……」


「いや、そんなものは要らないです。僕は善人ですから。僕は、君の最大の味方となりますよ!」


 広龍の手を掴み、ブンブンと握手をする濱本。苦笑いを浮かべる広龍は、怜を横目に見ている。






 雨宮の防備が進み、作戦計画も煮詰まってきた。新たに片倉大輔というプレイヤーも迎え入れ、戦支度は順調なように見える。しかし広龍は一人、雨宮の重世界にて用意された自室の中で悩んでいた。


 誰にもまだバレていない、けむくじゃらのデブ猫が和室の中を闊歩する。


「ぬっぬっぬっ」


「……ささかま。今は忙しいから、後にしてくれ」


 部屋の中、うんうんと一人悩み込む。気分転換をしようと考えた彼は、雨宮の城へと繰り出した。

 道を歩けば、雨宮最大の危機に、雨宮の家のものは死力を尽くし与えられた諸作業を進めていて、アシダファクトリーの者たちもよく働いているように見える。


 その中央。四人で集い、何か話をしている男たちを彼は発見する。どうやら、片倉が地面に敷かれた地図を木の棒で指し、三人へ何かを話しているようだ。


「調子はどうだ。四人とも」


「広龍様。どうも。今、城の防備へ更なる改良を加えようと、三人に話をしていたところです」


 城の全体図を眺めながら、感銘を受けているザックを横目に、広龍は言う。


「その広龍様っての、どうにかならないのか……?」


「頂いた伝承級武装の影響がありますが、元より貴方を尊敬していますので。そのためです」


 暗に直すつもりがないと宣言した彼を見て、広龍は苦笑した。


「しかし……ミスター片倉。この複数用意された、戦闘が開始してからの戦況の推移予測、そしてそれに合わせた作戦計画書。それぞれがまるで、実際にあった過去の記録をそのまま引っ張ってきたかのようだ。あんた、元は軍の指揮官だったりするのか?」


「いえ、DSで知識を得てからは、考えれば分かるようになったので……」


「…………なるほど」


 彼は雨宮に来てから、目覚ましいほどの活躍を見せている。精励勤勉の姿勢も、周りからは好意的に取られているようで、すぐに信頼を得た。


 一人で悩んでいては、何も解決しない。そう考えた広龍は、部屋に戻った後。片倉と怜を呼んで、会議室へと向かった。






 畳の敷き詰められた和室の中で。三人はそれぞれ座布団に座り、話を始める。


「二人を呼び出したのは、他でもない。この戦支度は、今のところ非常にうまくいっているように思う。しかし、一つだけ、足りないものがあるんだ」


「……それは、なんでしょうか」


「攻めの手だ。企業群とプレイヤーに建材や武装、設備を発注し、雨宮とアシダファクトリーがそれを配しつつ、訓練を続けている。ここまで形に出来たのは喜ばしいことだが、これは全て守りの手だ。白川家の戦力を削る手を、まだ取れていない」


 その言葉に、睡眠不足を解消しやっと元の見た目に戻った怜が、返答する。


「……劣勢の現状、どうしても守りに回るのは仕方がないのでは?」


「いや、それでも白川を抑えつける何かを仕掛けないといけない……俺が考えている真の目的の達成を目指す上でも、それは必要だ」


 一度背筋を伸ばし、座り直した片倉が口を開く。


「……広龍様。一つ、考えていたアイディアがあるのですが、それを今この場を借りて説明してもよろしいでしょうか。この案については、怜さんの意見も聞きたいと考えているので」


「分かった。聞こう」


 ごほん、と一度咳をした彼は、語り始める。


「怜さんや雨宮の妖異殺しの話を聞いて感じたことなのですが、今回の一連の騒動について、皆さんには……なんと言いましょうか……表世界側の視点が抜けているように思えるのです」


「今回、白川家と戦いになることが確定したのは、里葉様が決定的証拠である約定書を盗み出そうとし、捕らえられてしまったためです。確かに、白川という強大な家の圧力を感じる重家の峰々は、里葉様が奪おうとしたもののような決定的証拠がないと動けない。


「しかし、表世界側は別です。重世界の登場により、各企業は敏感すぎるほどにリスクを恐れている」


 前提となる情報を整理する彼が、そのまま続けた。

 彼が資料を手に取り、掲げるように見せる。


「こちらに里葉様が残された、白川家の悪行が分かりやすく丁寧に纏められた報告書があります。これを、企業群へリークしましょう。幸いにも、太客である我々に対して彼らは非常に好意的です。ここまで情報の解像度が高いものを見せられれば、いかに決定的な証拠がなかろうとも、彼らは白川家を含めた保守派との付き合いを考えねばいけなくなる。重世界に関するスキャンダルは今、企業にとって最もリスクが高い」


 彼が怜の方を向く。理路整然とした語り口に唖然としていた彼女が、ビクッと驚いていた。


「そこで質問なのですが……怜さん。保守派に、”まともな”重家はどれくらいいますか」


「……白川家と血の繋がりがある家。過激派。それを除けば、中道、穏健派と……”誇り”を重んじる名家は、とても多いです」


 ならば上手くいきそうだ、と頷いた片倉が、さらに続ける。


「リークを行うと何が起きるのかというと……企業群は保守派との取引を一時停止します。重家は間違いなく驚くでしょう。そこで理由を尋ねれば、濁した形で、彼らは白川のことを説明する……すると、保守派の彼らは疑いをかけ始めるはずです。もしや、重術の名家、白川家は後ろ暗いことをしているのではないか。実際に、企業は手を引こうとしているじゃないか、と。今までは劣勢に立たされている雨宮の妄言だと考えていたでしょうが、企業が動いたという形で、それに説得力が生まれます」


「そうすれば……その被害者とされる雨宮が白川へ襲撃してきた時。彼らは一度、静観の構えを取るでしょう。これが、戦力を削るためのアイディア。要は、経済制裁のようなものを仕掛け、敵に不戦を強いるということです。いかがでしょうか」


 びっくりしている怜を無視して、広龍は何度も頷いた。


「素晴らしい。柏木さんにも頼んで、妖異殺し側に噂を流すのも良さそうだな……失敗する可能性もあるが、やってみる価値はある」


「では、この案件は私にお任せを。仕掛けてみます」






 決戦の日。彼らを妨害することが分かりきっている雨宮分家。彼らを文字通り滅亡させることを、彼女は決意した。


「……怜。本当にいいんだな?」


「ええ。広龍。これは、雨宮の再誕のために必要な犠牲であり、覚悟です。それを知らしめるために、彼らには沈んでもらう」


「……雨宮の妖異殺しが、彼の誘拐に成功したと聞いた。やるぞ」


 重世界に潜り込んだ広龍は、薙ぐように。

 重世界の流れが変わり、飲み込まれるように空間は捻れ、吹き飛ぶ。






 ただ白川を討つということを目的に、彼らが過ごした二週間。その結果が今、如実に現れようとしていた。


 絶対的な死地となった雨宮の城に攻め込む白川の攻勢は、ぬかに釘を打つように上手くいかない。


「十分だッ! 負傷者を収容し本丸まで下がれッ! ここからが本番だっ! 撤退の支援を頼む! 芦田ッ! 濱本ッ!」


「ああ……僕は今、善行を積んでいる……理不尽な悪の魔の手に苦しんでいる彼らを助ける僕は……ぜぜぜぇえええええん!!」


 その言葉に合わせて勢いを増した、迸るような魔力。制圧を目的とした右ストレートが、追撃を目論む白川の兵を吹き飛ばした。


「……とんでもねえ奴もいるもんだな」


 戦地にて。土にまみれ、ポーションを何度も使い、生き返ったかのように起き上がる雨宮の妖異殺し。各地に配された重世界産の防衛機構。それを前に、白川の兵の顔が歪む。






 黒釣鐘の音がなる。彼が手に握るその小さな鐘の音色に、白川の妖異殺しは思うように動けない。

 最初は、基礎的な技能の差から戦いを優位に進めていた。しかし、あの鐘が鳴り響くたびに、彼は力を失っていった。

 

 (これは……特異術式)


 荒廃した町の中。跪き、首に凛とした煌めきを放つ刀を突きつけられ、彼は動くことができない。

 そこへ、表世界側であるのにもかかわらず、を着た二人のプレイヤーがやってきた。


「……場に居合わせた、一般のプレイヤーだな。協力を感謝する。ここからは我々が対応しよう。この妖異殺しは、国家機関へ突き出され、然るべき罰を受ける。事情聴取のため、貴方にも来ていただきたい」


「……申し訳ありませんが、急用がありますので。御免」


「あっ! 待てッ!」


 コートを靡かせた片倉は刀を納め、かの重世界へ向かうため道を駆け抜けた。









 白川の重世界にて。互角に見えた戦況は、偽りのものだった。

 戦いが長引けば長引くほどに。竜は、勢いを増していく。


「貴様ッ! 一体、どこまでの力ォッ!!」


「ハハハッ!! その剣技を見せてみろッ! 白川義重ぇえええええええっっ!!」


 黒雷が軌跡を残し、竜喰が彼の魔力を食らう。鍔迫り合いとなりなんとか技を以って、義重は刀をはじき返した。追撃を行おうとした竜へ、老桜の刃が迫る。


「お前は面倒だなッ! こいつを喰らってからお前の相手をしてやるから、後にしろッ!」


「そういうわけにも、いかんでなぁああああああっっ!!」


 哄笑し、魂を与えられた妖刀を振るう老桜。その妖刀がし、生み出された魔力の鎖が彼を縛る。


 竜の魔力を吸い取ろうとするその鎖は、一瞬でその容量を超過した。


「こんな紐ごときィッ!」


 簡単に引きちぎった彼の傍につく銀龍が、淡雪を撒き散らす本気の光線を放つ。それは老桜へ直撃し、彼女を木っ端微塵にさせた。


「ハハハハハッ!!!! 口ほどにもないッ!」


「……『不死鳥の炎』」


 どこからともなく聞こえた声を切っ掛けに、灰となった彼女の体が渦巻くように動き、炎に包まれ、再び体を形作る。それに、広龍は笑みを霧散させた。


「油断するでない。妾が、簡単に死ぬと思ったのかえ?」


「……空想種か? お前」


「このぷりちーな老桜を、お前のようなトカゲと同列に置くとは笑止千万よな。妾はもっと可愛いぞい」


「……」


 ずれた回答をした彼女に対し、彼は再び剣を振るう。


 息が乱れてきた義重に比べ、老桜はまだまだ余裕のある姿勢を崩していない。しかし、押されているようにも見えたその戦況に、重家のざわめきが空間に響いていた。


 前方にて。その戦の様子を眺める当主義広と鳴滝は、怒りを通り越して、だんだんと青ざめていっている。


「な、あの老桜様が、押されているではないか! も、ももももし、あの竜が儂の場所までくれば……な、鳴滝! た、他の重家の戦力を動かせ! 数の力で、竜を潰すのだ!」


「そ、それが……義広様。彼らに伝令を送ったものの、これは白川の戦ゆえに、と……じゅ、重家が、動く気配がありません……」


「な、なんじゃとッ! これは白川だけでなく、重家全体の問題であると言うのにッ……! あ、雨宮の城を攻めている奴らを呼び戻せッ!」


 目を震わせ、恐る彼は嘆く。

 壇上。一人彼の勇姿を見つめる彼女は体を震わせ、義広の様子にも気付かず高揚しているようだった。


 重家の峰々は、動こうとしない。白川に近しい、保守派のものでさえも。

 ただ竜と最古の妖異殺し、そして白川の戦いを見届けようとして、静観している。その様子が、竜喰を振るう広龍にも伝わっていた。それは、片倉の策により引き起こされた、狙い欲していた状況。


 (……でかしたぞ! 片倉ァ!)


 戦いの均衡は、少しずつ竜に傾いていく。


 後方。鳴滝と白川の重術師が、広龍に対して阻害術式を放った。死力を込めたその術式は、竜の心身には効かず、『曇りなき心月』が彼を祝福する。


 黒漆の魔力が夜空を作り出し、月光の輝きが世界を包む。





 重家の峰々に混じり、その戦を見守る雨宮怜。その横には佐伯家と晴峯家の者が集まっており、万が一にも怜が攫われるようなことはないだろう。


 激しさを増すその戦を前に、佐伯初維は慌てている。


「あわわわ……あの竜、やべーじゃないですか爺様。激かわな初維も見初められちゃってるかもしれません。それで竜が襲ってきたらどうしよう」


 その一言に、彼女を愛し育て上げようとする老軀の妖異殺しは怒り狂った。



「…………何を言っておるッ! 初維ッ! それは全て虚言よッ! 奴はあたかも気まぐれで白川に襲い掛かったように語っているが、実際は全くの別!」



 事前に雨宮の情報を仔細に探り、たった今雨宮の重世界の戦の様子を知らせる伝令を受けた彼は、竜の仕掛けた計画の全貌と、その真の目的を察する。



「……あの竜はこの戦を、単純な雨宮と白川のいくさとすることを避けたのだッ! 奴はDSの正式リリース以降に生まれた表世界側の重世界産業を使い、、古き名家である白川にいくさを仕掛けたッ!」



 彼は考える。まず、あの竜はこの戦に、封建的制度の犠牲者となろうとしている、雨宮里葉を救うという大義を見出した。


 そして彼は、DSにより生まれたプレイヤーや新たな勢力を使い、戦を成立させた。雨宮の城において防備を固めるために使用した資材や武装は全て、各企業群から手配されたものであり、妖異殺しの血の繋がりによって集めたものではない。また、表世界側の動きにより今、重家の動きが制限された。


 



「これはもはや、家と家の戦いではない! ! 変化を拒み、古き慣習にしがみ付く世! 対し、革新を求め新たな世界を築き上げようとする黎明!」



「この戦によって、この時代の行く先は決まるぞ! 初維!」 








 二人きりで、雨宮の城の外。夜空の下で、話をしたことを思い出す。


 (『怜さん。俺は……里葉がなんのしがらみにも囚われない。二度とこのようなことが起きない。自由に笑える場所を作るために……”妖異殺し”そのものを、時代を、変えようと思う』)


 最初は、何を言っているかよくわからなかった。ただ、彼が何度も行動を始めるたびに、その話は現実味を帯びてきて。彼は、ただ竜の力を振るうだけとするのを避けた。雨宮の妖異殺しに頼ることだけにするのをやめた。対立構造を作り出すことに注視し、時代に流れを作ろうとしている。


 盲目的に里葉を愛するその思いはビックリするくらいに視野狭窄で、恐ろしいくらいに視野が広く、天下を一望している。



 広龍は、戦うよりも政治の方が得意なんじゃないかな……


 

 とっくのとうに、もう認めていた。私が愛している可愛い可愛い妹は、とっくにおっきくなっていて、良い人を見つけてきてたんだなって。いや、まさか竜とは思わなかったけどさ。


 彼が剣を振るう。ただ愛する彼女のため、白川の者を追い詰めるその姿に。手に汗を握った。


 頑張れ。私の義弟おとうと


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