黒い瞳の竜使いと、銀髪の守護者

 ハンゲツ王国を舞台にしたこの物語は、黒髪黒目の竜使いの娘トーコと、銀髪の山岳警団員オズワルドの出会いから始まります。周囲と異なる容姿に悩みながらも竜使いとして働くトーコと、過去の傷を抱えながらも誠実に任務をこなすオズワルドが、次第に心を通わせていく様子が描かれます。

 主人公トーコは、自分の外見に悩みながらも、竜のエドガーや友人のリズに支えられ、少しずつ前を向いていきます。一方のオズワルドは、クールな外見とは裏腹に、トーコへの想いを素直に表現できる純粋さを持っています。補佐官のオスカーや次期王妃のソフィアなど、脇を固める登場人物たちも、それぞれに魅力的な個性を放っています。

 登場人物の心情を丁寧に描写しながらも、テンポの良い会話劇を織り交ぜることで、読みやすくなってます。季節や天候の描写が心情表現と結びつき、春の訪れとともに芽生える恋、冬の寒さに寄り添う温もりなど、自然描写が効果的に物語を彩ります。

 差別や偏見、過去との和解といった重いテーマを含みながらも、希望に満ちた温かい物語。竜と人が共存する世界で、互いの違いを認め合い、支え合って生きていく。そんな優しさに溢れた物語です。

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