今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第424話~ネイアさんの家族への挨拶と指輪
第424話~ネイアさんの家族への挨拶と指輪
「旦那様。昨晩はネイアさんと一緒に宿屋に泊まって、二人で仲良くしたそうですね」
昨日ネイアさんとキョウの宿屋で一泊した俺は、ネイアさんを送って行って家に帰ってリビングでのんびりしていた。
すると、エリカにそんなことを言われた。
その上、ヴィクトリアとリネットまでエリカの後ろに立って、俺のことをじっと見ている。
正直俺はドキリとした。
え?昨日の今日でもうバレてる?
嫁たちに昨日のことが既に知られていたことに焦った。
だが、よく考えれば不思議ではないのかもしれない。
昨日は家に帰る予定だったのに帰らなかったし、嫁たちとネイアさんは連絡を取り合っている。
俺が何をしようとバレないわけがなかったのだ。
このままでは嫁たちに怒られる!
俺はそう覚悟を決めたが、俺の思いとは裏腹に嫁たちにはネイアさんと一晩過ごした件で俺を怒る気はないらしく、エリカは優しく俺にこう語りかけてくる。
「別に私たちはネイアさんと一緒に過ごしたことを怒ったりしませんよ。ネイアさんには『機会があったら旦那様とくっついてしまいなさい』と言っておいたので。ただ、旦那様には以前から言っていましたよね。私たちに他の女性との関係を隠すような真似をするな、と」
そう言いながらエリカは俺のことをじろっと睨んで来る。
睨まれた俺の方は蛇に睨まれた蛙のような心境になり、心の中でぶるぶると震えた。
「何で帰ってくるなり私たちに報告しなかったのですか?ネイアさんはすぐに連絡をくれたというのに!」
嫁たちの怒りはすさまじく、こうなったら俺にできる事は嫁たちに謝ることだけだった。
「ご、ごめんなさい。もう二度としないから許してください」
そうやってひたすら謝った。
「「「まあ、いいでしょう」」」
すると、ようやく嫁たちは許してくれ、事なきを得たのだった。
一時はどうなるかと思ったが助かった。
うん、今度から、今度があるかは知らないが、もっと慎重に行動しようと思う。
★★★
それから数日後。
「ネイア。それじゃあ、行こうか」
「はい、ホルストさん」
俺はネイアを連れてエルフの国へ向かった。
行き先はネイアの育ての親であるネイアの叔母さん夫妻の家だ。
「「「ネイアさんと結婚するつもりなら、ネイアさんの叔母さんたちに結婚する旨を伝えてきなさい」」」
嫁たちにそう促されたので、挨拶に来たのだった。
「あ、ネイアお姉ちゃん」
「マロン、久しぶりね。元気だった」
待ち合わせ場所に行くとネイアのイトコのマロンが待っていてくれたので、そのまま叔母さんの家へ行く。
ちなみに、マロンはその叔母さん夫婦の娘である。
「よく来てくれたわね」
「まあ、入りなさい」
家へ行くと叔母さん夫婦はそうやって俺を温かく迎えてくれた。
「ホルスト・エレクトロンです。よろしくお願いします」
「ネイアの叔母のバーバラ・キャンドルよ。よろしくね」
「ネイアの叔父のビル・キャンドルだ。よろしくな」
そうやってお互いに自己紹介をした後は、食事をしながら和やかな感じで雑談をする。
「この山バトは俺が狩って来た物なんだ」
今日のメイン料理は、ネイアの叔父さんが狩って来た山バトだった。
脂が乗っていてとてもおいしかった。
さて、こうして良い雰囲気になった所でいよいよ本番だ。
ネイアと二人でテーブルを挟んで叔母さん夫婦の前に座る。
そして、頭を下げながら挨拶をする。
「お二人の大切な姪御さんを僕にください」
「わかった。そこまで言うのなら、お前たちの仲を認めよう。大切にしてくれよ」
「ネイアは亡くなった私の兄の大切な忘れ形見なの。大切にしてやってね」
「もちろんです。お二人に誓って、一生大事にします!」
こうして俺はネイアの育ての親である叔母さん夫婦の許しをもらえたのだった。
「ネイアお姉ちゃん、ホルストさん、おめでとう」
「ネイアちゃん、ホルスト君、おめでとう」
「ホルスト君、ネイア、おめでとう。ネイア、頑張るんだぞ」
「マロン、叔母さん、叔父さん、ありがとう」
「みなさん、ありがとうございます」
許しをもらった後はそうやってみんなに祝福してもらい、その後は根掘り葉掘り聞かれた。
「ホルスト君はネイアのどこが気に入ったんだ?」
「何にでも一生懸命な所ですかね。ネイアさんのような女性とならいい家庭を築けると思いました」
「子供は何人くらい作るつもりなの?」
「二人で相談した結果、二人くらいは欲しいという話になっています」
「子供ができたら是非連れて来てくださいね。遊んであげるから」
「もちろん連れて来るよ」
こんな風にいろいろ聞かれ、楽しい時間を過ごせて、俺たちは幸せいっぱいだった。
本当、親しい人に祝福してもらえることこそ幸せなことはないと思う。
★★★
「それではまた来ます」
「ああ、気を付けてけるんだよ」
ネイアの叔母さん夫婦への挨拶が終わり、叔母さんたちとしばらく話した後、俺たちは叔母さんの家を離れた。
「『空間操作』」
そして、そのまま魔法でノースフォートレスの町へと向かう。
そして、二人で向かった先は……。
「ここだ!ここ!ここの宝飾店だ!」
エリカとヴィクトリア、リネットが左手薬指に着けている指輪を買った宝飾店だった。
ここへ来たのは、もちろんネイアにも指輪を買うためだった。
「いらっしゃいませ」
店の中へ入ると、前にも接客してもらった初老の白髪頭の品の良い店員さんが応対してくれた。
「本日はどういったご用件でいらっしゃったのでしょうか」
「実は俺の身に着けているこの指輪、この店で買った物なのだが、まだこの店にこれと同じ物はあるかな?」
「指輪ですか?少し拝見させていただいてもよろしいですか?」
「ああ、、いいよ」
「ではお預かりします」
そう言いながら店員は俺から指輪を預かり、指輪の鑑定をする。
そして、すぐに結論を出す。
「確かにこの指輪は当店で製造販売している物でございます。もちろん在庫もございます」
「それじゃあ、一つ売ってくれ。この子に身に着けさせたいんだ」
俺がそう言いながらネイアを指さすと、店員さんはすぐに対応してくれる。
「畏まりました。それでは指の採寸などさせていただきますので、こちらへどうぞ」
こうしてネイアが奥へ案内され、指のサイズを測られてから一時間後。
「商品の調整が終わりました。こちらでございます」
指輪の調整が終わり、店員さんが指輪を持ってきてくれた。
「それじゃあ、ネイア。早速着けてみなよ」
「はい」
俺に促されて、ネイアが指輪を指にはめてみる。
結論から言おう。
その指輪はとてもネイアに似合っていた。
だからその感想を俺は正直に言う。
「ネイア、とても似合っているよ」
「ありがとうございます。こんな素敵なものをプレゼントしていただいて、とてもうれしいです」
俺に褒めてもらったネイアはとてもうれしそうな顔になり、何度も指輪を見つめ直しては余韻に浸るのだった。
★★★
「どうもありがとうございました」
指輪の代金を払って店を出た俺たちは俺の家へ向かった。
「「「おかえりなさい」」」
家では他の嫁たちがごちそうを作って待っていてくれた。
そして、そのごちそうをみんなで食べながら今日の出来事について報告した。
「「「そうですか。うまく行きましたか。これで、ネイアさんも晴れて旦那様のお嫁さんになれましたね」」」
エリカたち三人はうまく行ったことを我が事のように喜んでくれ、みんなでお祝いの言葉を述べてくれたのだった。
そうやって、皆で楽しく食事をした後は、ネイアさんをブレイブの町は送り届けてあげた。
「ネイア、キスしようか」
「はい」
最後にそうやってちゃっかりとキスをした後。
「また来るよ」
「お待ちしております」
と、挨拶をかわして別れた。
去り際にネイアが見せたとても幸せそうな顔が印象的だった。
その顔を見ていると、これで俺もネイアと夫婦になれたんだな、と実感できたのだった。
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