第418話~妹の様子がなんか変なんだが~
久しぶりにノースフォートレスの町へと帰って来た。
城門の近くまで転移魔法で飛び、そこから町へと入り、一気に家まで帰る。
「おや、家の外も中もかなりきれいに掃除されていますね。どうやらレイラさんたち、私たちが留守にしている間、きちんとサボらずに掃除してくれていたみたいですね」
家の状態を見たエリカがそうやって珍しく妹のことを褒めていた。
久しぶりに家に戻ってくると、家はきちんと掃除されていて、すぐにでも生活できそうな状態だった。
今回留守中の掃除は妹たちに任せていたのでちょっとだけ心配していたのだが、どうやら杞憂だったようだ。
とはいえ、特に掃除もせずにすぐに家を使用できるのはありがたかった。
「ヴィクトリアさんにリネットさん。今日は無事に帰ってきたお祝いに、おいしいものでも食べましょうか。ただ、旅から帰って来たばかりですぐに家事をするというのもしんどいので、今日はレストランに頼んでオードブルでも取り寄せて、それを食べましょうか」
「「賛成です」」
ただ家を使用できるとは言え、嫁たちも今日は働く気が無いらしく、急遽レストランにオードブルを発注する事になった。
結論から言うと、この日は平和に過ごすことができた。
料理はおいしかったし、嫁たちの機嫌も良かったので俺ものんびりとして過ごせた。
さて、こんな風に帰宅初日は平和に過ごすことができた。
明日はとりあえず身内を回って、帰還の挨拶をしていこうと思う。
★★★
翌日、昼頃家を出た俺たちはまずリネットの実家へと向かった。
「お父さん、お母さん、ただいま~」
「おお、リネット。よく帰って来たな」
「本当、無事で何よりだわ」
リネットの実家へ行くと、リネットの御両親はそうやってニコニコ顔で俺たちを歓迎してくれた。
「すぐに昼ご飯を用意するから食べて行ってね」
リネットの母さんがそう言うのでご飯を食べて行くことにする。
メニューはいつも通りのこってりとした肉料理が中心のメニューだった。
リネットの実家は鍛冶屋なので体力勝負な側面が強く、体力維持のため出てくる飯はこってりしたものが多かった。
ただ、味はいいので俺たちも好きな料理である。
「いただきます」
出された料理をそうやってみんなで食べる。
久しぶりに食べるリネットのお母さんの料理はとてもおいしく、大満足だった。
食事の途中。
「あ、お父さん、お母さん。これ獣人の国のお土産です」
「あら、何かしら?」
「チーズですね。獣人の国の名産品です」
「チーズ、いいわね。これを使って今晩はピザでも作ろうかしら。うちの若い衆も喜びそうだし」
と、お土産のチーズを渡したら非常に喜んでくれた。
「ピザですか。おいしそうですね」
ピザと聞いてヴィクトリアが羨ましそうにしている。
本当にヴィクトリアのやつ、食い物の話になると節操がない。
リネットのお母さんの前でそういう物欲しげな顔をするとか恥ずかしいだろうが!
ここは止めねば!
そう思い、俺が注意しようとすると、先にヴィクトリアの顔を見てすべてを理解したリネットのお母さんがこんな提案をしてくれた。
「あら、ヴィクトリアちゃんもピザ、食べたいの?」
「はい、食べたいです」
「それだったら、できたらあげるから夕方ごろ取りに来なさい」
「え?くれるんですか?ありがとうございます。もちろん、取りに行きます!」
「おい、ヴィクトリア、それはちょっと厚かましすぎないか?」
「別にいいのよ、ホルスト君。みんなが食べてくれた方が私も嬉しいから」
「はあ、すみません。それでは、皆で食べさせてもらいます。ということで、ヴィクトリア、後でお前がちゃんと取りに行けよ」
「は~い」
最後はピザまでもらってしまい恐縮する気分になったが、こうしてリネットの御両親への挨拶は終わり、俺は一仕事終えた気分になったのだった。
★★★
リネットの実家を出た後は、妹たちのパーティーが住むアパートへ向かった。
俺たちの留守中、妹たちもうちの家の掃除を頑張ってくれていたみたいだからお土産を渡そうともって来たのである。
「「「お帰りなさい」」」
アパートへ行くと、妹のパーティーの子たちがそうやってお帰りなさいの挨拶をして出迎えてくれた。
というか、妹のやつはどこへ行ったんだ?
そう思い聞くと。
「何かレイラ、掛け持ちで色々アルバイトをして稼いでいるみたいなんですよ。たまにその稼いだお金で、私たちにもおごってくれたりしますし。多分、今日もアルバイトに行っていると思います」
とのことだった。
あの面倒くさがり屋であまり努力をしたがらない妹のやつが追加でアルバイトをしている?
にわかには信じられない話だった。
実際、エリカも。
「あの子が自分から進んでそんなに働いたりしているのですか?」
と、妙に訝しんでいるし。
とはいえ、妹のやつが本当に心を入れ替えて勤労意欲に目覚めたというのなら、俺としては不安材料が一つ消えたので良いことだとは思うけどね。
まあ、少し様子見かな。
それよりもお土産を渡さなきゃな。
「ほら、獣人の国のお土産だ。甘く味付けされたチーズがたっぷりとかかったクッキーだぞ」
「「「ありがとうございます。食後のデザートに食べさせてもらいます」」」
妹のパーティーの子たちも喜んでくれたことだし、こうやってお土産を持ってきてよかったと思った。
その後、しばらくパーティーの子たちと雑談した後、俺たちは家へ帰った。
★★★
その夜、ご飯にリネットのお母さんがくれたピザを食べた後はすぐに寝た。
今日はヴィクトリアの日なので、一緒の部屋に入り、一緒にベッドに座る。
そして、軽くお酒を飲んだ後、そろそろ夫婦生活を始めようかなという雰囲気になって来た時、ヴィクトリアがこんなことを言い始めた。
「そうそう、ホルストさん。一つ報告したいことがあるんですよ」
「何だ?」
「実は超聖石が遂に完成したんです」
そう言いながらヴィクトリアは収納リングから完成したという超聖石を取り出すと。
「じゃじゃ~ん」
と、俺に見せてくる。
ヴィクトリアの作った超聖石をは普通の聖石より一回り大きい感じだった。
その他には特に変わった感じはない。
前にヴィクトリアに聞いた話だと、この超聖石には魔力の他にも神気を貯め込んでおけるという話だった。
「ちょっと試してみてもいいか?」
「いいですよ」
実験として超聖石に魔力と神気を流し込んでみることにする。
すると。
「お!うまく行ったな」
超聖石は俺の魔力と神気をうまい具合に吸い込んでくれたのだった。
実験がうまく行った俺は嬉しくなって、ヴィクトリアの頭を撫でてやる。
「うまくできたじゃないか。偉いぞ!」
「ホルストさんにそうやって褒めてもらえると、とてもうれしいです」
俺の褒められたヴィクトリアは嬉しいのか、俺に抱き着いて甘えてくるのだった。
そして、この晩は気分がうまく乗って夫婦生活を大いに楽しむことができた。
何にせよ、こうして俺たちは新たな力を得ることができた。
これをうまく活用して、早く女神アリスタの神命を成し遂げたいものである。
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