今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第414話~神聖同盟盟主の秘密 プラトゥーンクローン~
第414話~神聖同盟盟主の秘密 プラトゥーンクローン~
ホルストたちがブレイブの町へと帰還して間もない頃。
「まだか。まだできぬのか」
某国、某建物。神聖同盟の本部の盟主の執務室では、盟主がその品物の完成を今か今かと待ちわびていた。
え?何の完成を待っているのかって?
それは……。
「盟主様。例の品物が完成いたしました」
おっと、そうこうしているうちに問題の品物が出来上がり、部下がそれを持ってきたようだ。
ということで、これからはその使用過程をご覧いただくことで、皆様には盟主が何をしようとしているのかを知ってもらおうと思う。
★★★
「盟主様。例の品物が完成いたしました」
部下にそう言われた盟主は部下が持ってきた品物をじっと見る。
部下が持ってきたのは宝飾品で飾られた木の箱で、いかにも大切な物が入っている雰囲気が滲み出ている箱だった。
「おお、これか!」
部下に箱を見せられた盟主は、その箱を手に取り、ふたを開けて中身を見る。
そして、歓喜の表情を浮かべ、箱の中身を取り出し、それをべたべたと何度も手で触った。。
なお、この箱の中身は一本の注射器だった。
この注射器はどこかで見たことがある代物である。
「これが、盗賊団の首領が使ったものと同型の注射器であるか?」
「はい、その通りであります。もちろん、首領に使った物と中身は異なりますが」
そう。この注射器は獣人の国の窃盗団が使った物と同型の物であった。
あの注射器を使った盟主は怪物になってしまった。
ということは、盟主も……。
という予感がするが、中身の液体は変えてあるそうなので、そうはならないのだろうと予想できる。
実際。
「それでは、早速使用してみるか」
と、気軽な感じで盟主は注射器の使用を開始しているし。
ともあれ、盟主が注射器を使用する。
グサッという音とともに注射器の針が盟主の腕に刺さり、ドバドバッと中身の液体が盟主の体の中へと入って行く。
すると、すぐに盟主の体に変化が訪れる。
どちらかというと貧弱な体格だった盟主の体中の筋肉が盛り上がって行く。
それだけでなく、背も伸び、どんどん顔つきを変わって行った。
しばらくして変化が終わると、盟主は背が高く筋骨隆々の立派な体格の男性へと変貌を遂げていた。
その盟主の顔、見る人が見ればマールスやジャスティスにそっくりだと思うことと思う。
いや、本当の事を言うと、マールスたちの方が盟主に似ているという方が正確な表現である。
なぜ、マールスたちが盟主の変身後の顔にそっくりなのか?その理由は……。
「おめでとうございます」
おっと、ここで部下が盟主に対して何かお祝いの言葉を言い始めた。
顔が似ている理由は部下の発言を聞けばわかるので、それを聞くことにしよう。
「盟主、いやプラトゥーン様。これでようやく仮の肉体を得ることができましたね」
「うむ、ようやく私も仮の肉体を得ることができた。これも皆の尽力のおかげである。感謝する」
何と、盟主は自分のことを邪神プラトゥーンであると名乗ったのだった。
★★★
事の次第を説明するとこうだ。
神聖同盟は遺跡の封印を解くことの他に、4魔獣の細胞を得ることを目的とする組織でもあった。
なぜそんなものを集めていたのかって?
簡単な話だ。その細胞を使ってプラトゥーンのクローンを作り出して、、プラトゥーンを仮に復活させるためだ。
そのためにプラトゥーンの細胞の一部から作られた4魔獣の細胞を集めたのだった。
ちなみに、盟主の魂は途中から、フソウ皇国で『アルキメデスの鍵』を入手した時から、プラトゥーンの魂に置き換わっている。
つまり、今まで見てきた盟主の行動のほとんどはプラトゥーン本人の行動でもあったわけだ。
そして、この度4魔獣の細胞を使った特殊な薬が完成し、それを盟主の体へと打ち込むことによって、めでたくプラトゥーンのクローンが完成したという訳だった。
★★★
さて、仮の肉体を得て完全復活へと大きく前進したプラトゥーンは早速神聖同盟の幹部を呼び出すと、こう命令するのだった。
「さて、諸君。君たちの活躍で、私はようやく仮にではあるが復活することができた」
「おめでとうございます」
「ありがとう。これで残るは私の本体を復活させるだけである。早速東の海の海底の遺跡を何とかするのだ」
「はは!!」
プラトゥーンの命令を受け、部下たちが自分たちの神の神命を達成するため、早速行動を開始する。
そうやって部下たちが活発に動く姿を見て、プラトゥーンはにやっと笑い、こうつぶやく。
「もうすぐだ。もすぐ私は完全に復活できる。ああ、楽しみだ」
そう話すプラトゥーンの瞳は歓喜の感情で満ち溢れていたのだった。
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