第410話~封印装置の秘密解明! そして、獣人の国の遺跡、封印完了!~

「お前たちの今までの行動が試されるのだ!」


 俺が封印装置を起動できなかったのを見て、ヴィクトリアのお父さんがそんな意味深なことを言い始めた。


 それを聞いた俺は、この装置を作動するためには何か作業をする必要があるのだと悟った。

 ただ本当にその考えが正しいかはわからないので、一応お父さんに聞いて確認してみることにする。


「ヴィクトリアのお父さん。この装置を動かすためには何かしないといけないということですか?」

「その通りだ」

「つまりはこれも試練という訳ですか」

「当然だ。これがこの遺跡の最後の試練という訳だ」


 最後の試練、か。

 要はこの封印装置を動かすことができれば試練はクリアということか。

 ということは、ここさえクリアすればお父さんは俺とヴィクトリアの仲を認めてくれるということなのだろう。


 お父さんの態度からは全然そんな感じはしないが、試練を全部クリアすれば俺とヴィクトリアの仲を認めてくれるという約束だからな。

 認めてくれるはずだと思う。


 実際、ヴィクトリアも。


「ああ、この装置が動きさえすれば、お父様もワタクシたちの仲を認めてくれるのですね」


 と、うきうき顔でワクワクしているようなので、大丈夫だと思う。


 さて、それではこの装置の秘密を探って行くとするか。


★★★


 この装置の秘密を探り起動させて地脈の封印を完了させる。

 それがお父さんの用意した最後の試練だった。

 ということで、早速装置を確認してみることにする。


「みんな、装置の周囲を探ってみてくれ!」

「「「「はい」」」」


 皆で協力して装置の周囲に何かないか探してみる。

 すると。


「ホルストさ~ん。これを見てください」


 ヴィクトリアが何やら見つけたようだった。

 早速みんなで近寄って確認してみる。


「これは狼とドラゴンの彫刻か」


 狼とドラゴンの意匠が描かれたレリーフを発見した。

 今までの傾向からして、これに何かをすれば試練を突破できるのだろうと直感できた。


「さて、これをどうすべきかな?」


 俺はどうすべきかと考えながらレリーフを見た。

 上から下までじっくりと見てみた。

 そうすると、レリーフに違和感を覚えた。


「あれ?このドラゴン、何か変じゃないか?」

「変?どこが?」


 俺の意見に対してリネットがそう質問してきたので、俺はそれに対してこう答えた。


「ほら、この狼とドラゴンの目を見てくれ。狼の目には宝石が埋め込まれているけど、ドラゴンの方にはそれが無いだろう?これって、物凄く違和感を感じないか?」

「確かに、そう言われればそんな気がするね」


 どうやらリネットも俺の意見に納得してくれたらしく、ウンウンと頷いている。

 他のみんなもリネットと同様のようで、みんなしてウンウンと頷いている。


 こうやってみんなの意見が一致したところで、今度はドラゴンをよく見てみる。

 そうすると、エリカが新たな発見をした。


「旦那様。ドラゴンの目をよく見てください。ほら、ちょっとした窪みがあるでしょう。ちょうど宝石か何かを嵌め込むのにちょうどいい感じの」

「宝石を嵌め込むのにちょうどよい窪みか。ということは……」

「「「「「ここにはかつて宝石が嵌め込まれていたに違いない」」」」」


 最後はそれで全員の意見が一致した。

 多分、ここに宝石を嵌めればこの遺跡の装置は動くようになるのだと思う。


 これで解決への糸口はつかめた。

 後はここに嵌める宝石をどうすべきかである。


★★★


 レリーフに描かれてあるドラゴンの瞳に宝石を嵌めれば遺跡の装置を動かすことができる!

 そこまで掴んだのは良かったが、問題はそこに嵌めるための宝石だった。


「宝石ですか。ここに嵌めるのにピッタリの宝石なんてあるのでしょうか」


 そのネイアさんの当然の疑問に全員がう~んとうなる。

 確かにここに嵌めるための宝石はどこで手に入れればいいのだろうか。

 それで俺たちは悩んだ。


 しばらく悩んだ末、エリカが一つのことに疑問を抱いたらしく、こんな話をし始めた。


「旦那様。そう言えばマールス様は先ほどこう仰られていましたよね。『お前たちの今までの行動が試されるのだ!』と。もしかしたら、それは私たちが今まで旅を続けてきた中で手に入れた可能性があるということではないでしょうか」

「ふむ。なるほどな」


 あのお父さんの言葉にはそういう意味があったのか。

 俺はエリカの話を聞いて妙に納得できた。


 ということで、エリカと駆け落ちしてから今までのことを思い出してみる。

 ノースフォートレスの町でエリカと冒険者をはじめて、ダンジョンでヴィクトリアと出会って、北部砦で魔物の大軍を倒して、リネットを連れてオリハルコンの剣を求めて旅に出た。

 その後女神アリスタに神命を授かり、地脈を封印するためにドワーフやエルフの国へ行ったりした。


 ……と、ここまで記憶を蘇らせたところで、ドワーフとエルフの国である物をもらったことを思い出した。


「そうだ!確かドワーフの国とエルフの国で、『龍の右目』、『龍の左目』とかいう宝石をもらわなかったか?」

「そう言えば、そんなこともありましたね。もしかして、それが正解なのかも……ヴィクトリアさん!」

「ラジャーです!」


 エリカに言われたヴィクトリアが、収納リングから『龍の右目』と『龍の左目』を取り出す。


「よし!それでは試してみるぞ!」


 ヴィクトリアが出してきた二つの宝石を、俺は早速ドラゴンの目に嵌めようと試みる。


「おお、ピッタリだ!」


 すると、二つの宝石はピッタリとドラゴンの目に嵌ったのだった。


 これで遺跡の装置を動かせる!

 そう確信した俺は、装置にもう一度魔法を使ってみることにする。


★★★


「『地脈操作』」


 俺は再び装置に対して魔法を行使する。

 すると、ブウウウンと低い音を立てて装置が起動して俺の中に地脈のエネルギーが流れてくる。

 俺はいつもの感じでこれをコントロールする。


 五分後。


「これで、終わりだな」


 地脈の封印が完了した。

 これで今回の仕事も終わりだ。

 俺はホッとして一息つく。


 さて、後はここの遺跡から出て町へ帰るとしようか。

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