第404話~魔竜神王ゴッドドラゴン復活~

遺跡の最深部への扉を開けて最深部へと突撃した。


 最深部の状況を簡単に説明すると、中心部で神聖同盟の神官服らしき服をきた連中が儀式を行っており、その周囲を武装した護衛の連中が取り囲んでいる、そういう配置だった。


 それで、最深部に侵入した俺たちに真っ先に気がついたのはその護衛の連中だった。


「おのれ!何奴!」


 そう叫びながら、剣を抜くなり俺たちに襲い掛かって来た。

 敵かどうかを確かめもせずにいきなり襲いかかってくると、せっかちな連中だと思った。


 まあ、当然といえば当然の反応か。

 連中からしてみれば、こんな遺跡の最深部まで来られる奴なんて、自分たちの仲間でなければ敵で間違いないのだから。


 それはともかく、連中がこうして敵対行動をとってくれたので俺たちとしても遠慮なく戦えるという訳だ。


「よし!行くぞ」


 ということで、俺たちは護衛部隊との戦闘を開始した。


★★★


 護衛部隊との戦闘はそれほど困難ではなかった。


 というのも、敵の人数がそれほどでもなかったからだ。

 全部で二十人程度だ。

 どこかの遺跡では数百人程度の護衛部隊と戦ったものだったが、それに比べると遥かに人数が少なかった。

 この人数だけを考えると、まるで防衛する気など最初からないような印象を受けた。


 とはいえ、防衛する方はやる気は十分にありそうだ。


「曲者!覚悟しろ!」


 そう叫びながら俺たちに襲い掛かって来る。

 向こうは殺意満々なので俺たちも遠慮をする必要はない。


「お前ら、行くぞ!」


 そう叫びながら迎撃する。


「えい」

「ぎゃあ」

「ふん」

「ぐふっ」

「はあああ」

「ぐえっ」


 と、一分も経たないうちに全滅させることに成功した。

 これで残りは神官たちだけだ。


 さっさとこちらも片づけさせてもらうとしよう。


★★★


 儀式をしていた神官たちを捕らえることに成功した。


 え?やけにあっさりとしているな、だって?

 だって仕方がないじゃないか。

 護衛の奴らとは違って、神官の奴らはほとんど無抵抗だったのだから。


 今までの遺跡だと、護衛はもちろん神官の奴らまで徹底抗戦してきたものだったが、一体どういう風の吹き回しなのだろうか。

 まあ、俺たちとしては抵抗せずに捕まってくれた方が楽でいいのだけどね。


 そんなわけで、神官たちも捕まえたことだし、早速尋問しようと思う。


★★★


 さて神官たちの尋問が始まった。

 まずは神官たちの仲で一番偉いであろうと思われる司祭長から尋問を始める。


 なぜ司祭長だとわかるのかって?

 簡単な話だ。

 前に他の遺跡で同じ服を着ていたやつが司祭長と名乗っていたから、すぐに司祭長だとわかっただ。


 そんな司祭長への尋問だったが、思いのほか話を聞けた。


「お前が司祭長で間違いないか?」

「そうだ。私がここの集団を統括している司祭長で間違いない」


 そうやって妙に素直に俺の質問に答えるのだった。

 これまでの経緯から、今回の司祭長も絶対に口は割らないんだろうな、と予想していただけに拍子抜けする思いだった。


 まあ、話してくれるというのなら別にそれでも構わないので尋問を続ける。


「それで、お前たちはここで何をしていたんだ?まさか魔獣を復活するための儀式をしていたのか?」

「その通りだ。我らはここに封印されている4魔獣が一体『魔竜神王まりゅうしんおうゴッドドラゴン』様の復活の儀式を行っていたのだ」


 ゴッドドラゴン。

 どうやらそれが残る一体の魔獣の名前の様だった。


 何かとても強そうな名前だったので、こうやって神官共を捕えて復活を阻止できたのは僥倖だったと思う。


「そうか。ゴッドドラゴンとやらを復活させようとしていたのか。でも残念だったな。こうやって俺たちに捕らえられてしまっては、もう儀式も続けられないだろうから、ゴッドドラゴンは復活できなくなったな」

「ゴッドドラゴン様の復活はできない?お前は何を言っている?」


 と、ここまで大人しく俺の質問に答えるだけだった司祭長の目が怪しく光り、俺のことをじろっと見る。

 その目はとても不気味で、その目を見た瞬間俺は嫌な予感がしたのだった。


「小僧、一つ良いことを教えてやろう。ゴッドドラゴン様復活の儀式は完了している」

「完了しているだと?何を言っているんだ。完了しているのだったら、ゴッドドラゴンはどこにいるというんだ」

「ふふふ」


 俺の質問を受けて司祭長はそう言いながら不敵な笑みを浮かべる。


「それは簡単な話だな。まだ、最後のピースの一欠けらが埋まっていないからだ」

「最後のピース、だと?」

「そう、それこそが我らの命。最後に我らが命を捧げればゴッドドラゴンは復活する」


 そこまで聞いて、ハッとなった俺は慌てて司祭長を止めようとするが、すでに遅かった。


「皆の者!我が神に命を捧げるのだ!」


 司祭長がそう叫ぶと同時に、捕らえていた神官全員が口から大量の血を吐いてその場に倒れる。

 これは後で調べて分かったことだが、全員自分の心臓に魔力で反応する投薬装置を仕掛けていて、司祭長の言葉でそれを一斉に作動させ、心臓に直接毒を注入したようだった。


 俺は倒れた司祭長を揺り動かし、反応を見た。

 司祭長はまだ死んではいないようだったが、目から急速に命の光が失われて行くのが分かってこれはもう助からないなと思った。


 そんな中、司祭長が俺にこんなことを言う。


「ふふふ、我らの命を捧げることでいつでもゴッドドラゴンを復活させることができたのに、お前たちが来るのを待っていたのはなぜだと思う?」

「俺たちを待っていただと?どういうことだ?」

「簡単な事よ。ゴッドドラゴン様を復活させてお前たちを確実に殺させるためにお前らを待っていたのだ。だから、我らの真意を悟らせないために護衛の者をけしかけたりもしたのだ」


 つまりは俺たちとゴッドドラゴンを戦わせる為に俺たちを待っていたという訳か。


「さあ!無駄話はこれまでだ。いよいよゴッドドラゴン様は復活する!」


 最期にそう言い残すと、司祭長は息絶えた。


 そして、部屋の中心部に黒い球体が出現するのだった。

 あの球体には見覚えがある。

 他の4魔獣の時にも見たことがあるやつだ。


 ということは!


「来るぞ!」


 俺はそう全員に警戒の言葉を発して俺自身も身構える。

 その次の瞬間。


「グオオオオオオオ」


 球体が割れ、中から全身黄金色のドラゴンが出現する。

 それこそが4魔獣が一体、ゴッドドラゴンであった。

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