今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
閑話休題60~その頃の妹 妹、投資にのめり込んでいく~
閑話休題60~その頃の妹 妹、投資にのめり込んでいく~
「ふふふ、あははは。お金儲けって、こんなに簡単なことだったんだ!」
私は目の前に置かれた銀貨の山を見て大声でそう笑うのだった。
★★★
どうもレイラ・エレクトロンです。
最近、私は養殖の投資を始めました。
これが儲かってしょうがないのです。
私は養殖への投資によって毎週儲けを分配してもらっているのですが、その額がすごい。
配当金額は一週間で銀貨二十枚の出資につき銀貨三枚。
私は銀貨三十枚出資しているから一週間で銀貨四枚と銅貨五十枚の配当がある。
正直バカ儲けだ。
今まで苦労して働いていたのがバカに見えるくらいお金が入ってくる。
だから最近私は羽振りがよく。
「みんな、クッキーの詰め合わせを買って来たから一緒に食べよう」
「あら、レイラまたお菓子を買ってきたの?最近、妙に金使いが荒いけど、そんなにお金使って大丈夫なの?」
「大丈夫。だ~い丈夫!最近ちょっとバイトが忙しくて臨時報酬が出たからそれを使っているだけよ」
「そう?ならいいんだけど」
そうやってみんなに何かおごっては、変に心配されるのだった。
みんな別に大丈夫だって。これは健全な投資をして利益をもらっているだけだから。
そうだ!もうちょっとうまく行ったら皆にも教えてあげよう。
そうすればみんなでハッピーになれる!
そんなことを思いながら、私は投資にはまって行くのだった。
★★★
そんなある日、投資先の会社からこんな手紙が来た。
「『出資の追加募集のお知らせ』?」
手紙の表題にはそんなことが書かれてあった。
気になった私が中身を確認してみると。
「あの養殖事業、事業を拡大するんだ」
あの事業をさらに拡大するつもりらしく、そのことで説明会があるらしかった。
「でも、私、さすがにもう出資するお金は無いんですけど」
ただ、私にはもう出資するようなお金は無かった。
しかしお金は無いが気になりはする。
「とりあえず出るだけ説明会に出てみるか」
ということで、追加の出資とやらが気になって仕方がない私は説明会に出るだけ出ることにしたのだった。
★★★
「皆様、弊社ではこの度事業拡大に伴って出資金を募ることにしました」
説明会は社長のそんな話から始まった。
「本投資事業は、皆様もご存じの通り、高利率の配当を行えるくらい順調です。そこでさらに投資を募って事業を拡大することにしました。今回は前回よりも大規模に事業を拡大する予定なので、募集金額も多いです。総額で金貨二百枚を募集する予定です」
金貨二百枚の募集か。
結構な金額を募集するんだな。よほどうまく事業をやっているんだろうなあ。
社長の話を聞いて私はそんな感想を持った。
そこまで事業がうまく行っているのなら私も追加で出資してもっとたくさんお金を儲けたい。
ただお金はもうない。ここはどうすべきか。
そうやって私が真剣に悩んでいると社長が声をかけてきた。
「おや?どうかなさいましたか?」
「それが出資したいのですが、ちょっと手持ちの資金が心許なくて」
「ああ、そういう話ですか。ならばお金を借りて出資されてはいかがですか?」
「お金を借りる?でも、お金を借りたら利子が発生しますよね?」
「ええ、お金を借りると利子が発生しますが、それ以上の利益が得られるのなら借りてでも投資に回す。資産運用の基本ですよ」
なるほどそう言われれば確かにそうだった。
借金の利子よりも儲けの方が大きければお金を借りてでも出資すべきなのだろう。
「確かに社長さんの言う通りだと思いますが、私には借金する当てがないのです」
「大丈夫です。幸いあなたは見目麗しい女性だ。そういう人になら喜んでお金を貸してくれる所があるのですよ。ご紹介しましょうか」
欲に目がくらんでいて追加の出資を是非にと思っていた私は、その話に飛びついてしまった。
「ぜひ紹介してください」
そして、社長に貸金業者を紹介してくれるように頼んだのだった。
★★★
翌日、社長の紹介で金融業者に行き、お金を借りた私はあらためて養殖業に出資した。
お金は全部で金貨十枚借りた。
「借金の利息は『十日で一割』らしいけど、養殖業の配当は一週間で十五パーセント。十日に換算すると二十パーセント弱だから、十分儲けられるよね」
社長から説明を受けたことを口に出しながら、私は自分の判断の正しさを信じ、将来の配当に期待し胸を膨らませるのだった。
★★★
しかし、この時の私は知らなかった。
『十日で一割』という金利の金貸しは、世間では『トイチ』と呼ばれる超高金利の金貸しで、養殖業の『十日で二十パーセント』の配当も、世間ではありえない額の配当だったということに。
そのことを後で知った時、私は自分のことを本当に世間知らずだったと、思い知ることになるのだった。
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