今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第375話~盗賊団本部の探索開始 さあ、ロッキード山脈へ向けて出発だ!~
第375話~盗賊団本部の探索開始 さあ、ロッキード山脈へ向けて出発だ!~
数日程ヒッグス家の商館で待機していると、ブレイブの町の警備隊から使いの人がやって来た。
曰く。
「王都で捕まえた窃盗団たちの尋問により、窃盗団の本部の場所がつかめたので警備隊本部までご足労願いたい」
との話だった。
「そういうことらしいからちょっと出かけてくる」
それで俺が出かけて事情を聞いてくることにした。
「これはホルスト様。ご苦労様です」
警備隊に着くなり門番の人がそう歓迎してくれた。
まあ、今回の件で警備隊の隊長は王様から褒めてもらったみたいだし、部下の人たちも少しではあるが恩賞が出たみたいだった。
ということで、この歓迎っぷりである。
「どうぞ」
門番の人は俺をそのまま隊長室へと案内してくれ、隊長さんが取り調べで分かったことを俺に教えてくれた。
「ホルスト殿、よくぞ来てくださいました」
隊長さんも、門番同様、俺のことをニコニコ顔で歓迎してくれた。
「それで、早速なのですが今までの取り調べで分かったことをお話ししますね」
そして、窃盗団のアジトの情報について色々と話してくれたのだった。
★★★
「窃盗団のアジトはロッキード山脈の山中の森の中にあるという情報が入って来た」
警備隊本部から帰って来た俺は皆を集合させると、もらって来た窃盗団の情報について披露した。
「ホルストさん、あの窃盗団のアジトがロッキードの山中の森にあるというのは間違いないのですか」
「ああ、間違いないな。しかも、ただあるだけじゃなくて多額の費用をかけて要塞化しているという話だ」
「要塞かい?それは落とすのが厄介そうだね」
「そうだな。この前も密猟団のアジトを壊滅させたけど、あそことは比べ物にならない程度には要塞であるという話だ」
「要塞化と一口で言いますけど、どんな感じなんですか?」
「何でも山中に大規模な工事を行って、巨大な洞窟を掘って、簡単には攻略できないようになっているそうだ」
「それはすごくお金がかかっていますね。盗んできたお金がよほど多かったのでしょうね。それで、旦那様はそれにどう対処するつもりですか?」
「とりあえずもっと情報が必要だな。それに俺たちだけでは全部を捕まえることはできないからまた警備隊に協力してもらう必要があるしな。ということで、早速現地へ行って調査開始だ」
ということで、話し合いの結果、現地で調査してから作戦を考えることになったのであった。
★★★
次の日、俺たちはロッキード山脈へ向けて出発した。
ヒッグス家の商館で馬車に荷物を積み込み、出発の準備を整える。
メンバーはうちの嫁たちにネイアさん。
後、白狐がついて来てくれるらしい。
「うちの娘にこんなひどいことをしてくれた連中に復讐したいと思うのです。狐を怒らせた者の末路がどうなるか、目に物を見せてやるつもりです」
と、銀を傷つけられたことに大変お冠なようで、復讐する気満点だった。
それと。
「もちろん。私もついて行くぞ!」
ヴィクトリアのお父さんもついてくる気の様だった。
「ロッキード山脈と言えば私の神獣がいるからな。紹介してやろう」
ということのようだった。
ロッキード山脈の神獣と言えば、フェンという前に助けたオオカミのひいおじいさんのはずで、すでにフェンから紹介状代わりのフェンの毛をもらっていたりするが、お父さんも紹介してくれるというのならより盤石な信頼関係を築けそうな気がするのでありがたい話ではある。
ただ、お父さんの目的はそれだけという訳でもないらしく。
「私の試練を受ける前に、その男の実力が試練を受けるにふさわしいかどうかを見させてもらおうか。その男が窃盗団相手にどういう手を取るか、見学させてもらおう。つまりは本試験前の仮テストと言ったところだな」
ということを言っていたので、俺がヴィクトリアにふさわしいかどうかの仮テストをするつもりの様だった。
まあ、お父さんがテストをするというのなら別に構わないけどね。
俺はヴィクトリアを手放すつもりは無いから、どんな試練でも乗り越えて見せるつもりだ。
「いいですよ。受けて立ちましょう」
だからお父さんにはそう言っておいた。
「ホルストさん……」
それを聞いていたヴィクトリアが非常に嬉しそうにしていたので、俺の発言はこれで正しかったのだと思う。
こうやって行くメンバーは決まった。
ちなみにホルスターや銀は今回はお留守番だ。
二人とも傷とかはもう癒えているけど、もうしばらくは休養させてやりたかった。
銀もずっとホルスターにくっついて離れないし、これはそのままにしてやっておいた方がいいと思った。
まあ、ジャスティスが残って護衛してくれるので、二人の安全は問題ないしね。
後、俺たちが留守にしている間、ジャスティスが二人に稽古をつけてくれるという話だった。
「ホル坊に銀よ。今度のようなことが二度と起こらないように私が修行をつけてやるのである。だから、しっかり修行をするのであるぞ」
「「はい」」
二人のやる気は十分そうだったので、後はジャスティスに任せておくことにする。
さて、これで後顧の憂いも無くなったので、敵の本拠地へ向けて出発することにする。
★★★
「はい、お父様。ワタクシが作ったパンケーキですよ。食べますか?」
「おお、ヴィクトリアが私のためにお菓子を作ってくれたのか。もちろん食べるぞ!」
旅に出てから数日。
その間お父さんの機嫌がとても良かった。
娘のヴィクトリアがお父さんのためにご飯やお菓子を作って食べさせてくれているので、そのおかげだと思う。
娘ラブのお父さんにとっては嬉しいことなのだと思う。
「娘にこんなことをしてもらったのは初めてだ」
と、とても感動していたしね。
まあ昔のずぼらなヴィクトリアだったら、絶対にお父さんに食べ物とか作ってあげなかった・……というか、そもそも作れなかったからね。
だからお父さん的には料理を通じて娘の愛情を感じることができてうれしいのだと思う。
もっともその料理、俺にも出てきて食べているんだけれどな。
今回の旅ではいつものように嫁たちが料理を作ってくれている。
三人で分担して何か作ってくれている。
しかも今回はそれだけではない。
「ホルスト様、私も料理を作ってみたのですが食べてもらえないでしょうか」
何とネイアさんまでご飯を作ってくれているのだ。
ネイアさんの料理もとてもおいしかった。
元々ネイアさんは一人暮らしで自炊していたらしいのだが、最近ではうちの嫁たちに料理を習っているらしい。
急にどうしたんだろうと思ったものだったが、理由を聞くと。
「私も将来旦那様においしいご飯を食べさせてあげたいので」
と、恥ずかしそうな顔で理由を話してくれたのだった。
そうやって恥ずかしそうな顔をするネイアさんはとてもかわいらしかった。
その余韻は俺の中にずっと残っていて、今二人でこうやって並んで馬車を走らせながら見張りをしている時にも、さっきのネイアさんの顔を思い出してドキッとしたりする。
そんな時、思わずネイアさんの手を握りたくなったりもするのだが、ここは我慢だ。
何せ俺にはすでに嫁が三人もいる。
いくらネイアさんがかわいいとはいえ、ここで手を出しては嫁たちに言い訳ができなかった。
と、まあそんな感じで俺たちは窃盗団のアジトがあるロッキード山脈へと向かっているわけなのだが、ここで異変が起こった。
「ホルスト様。どうやら魔物のようですわ」
ネイアさんの、エルフの鋭い聴覚に魔物たちの出す音が引っ掛かったようだった。
どうやら魔物たちが襲来してきたようだった。
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