今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第357話~獣人の国のウェストリバーの町 そして、ギルドマスター直々の依頼~
第357話~獣人の国のウェストリバーの町 そして、ギルドマスター直々の依頼~
ノースフォートレスの町から街道を西へ一か月ほど進むと、獣人の国との国境の町ウェストリバーの町に着いた。
この町の側にある川を越えればもう獣人の国である。
「さて、それじゃあ。冒険者ギルドとヒッグス商会へ荷物を届けたら、宿屋に泊まるぞ!」
「「「はい」」」
とりあえず先に仕事をこなしてから宿屋に泊まることにする。
今回、旅をするにあたって冒険者ギルドとエリカのお父さんの所から荷物の輸送の依頼を請け負って来た。
まあ、長旅に出る時には少しでも資金の足しにするためにこういう風に輸送任務を請け負っているのだけどね。
そういうわけでとりあえず冒険者ギルドへ向かう。
「うわああ、お耳ふさふさの人が多いね。銀姉ちゃんと一緒だ」
冒険者ギルドへ向かっていると、馬車の中からホルスターのそんな声が聞こえてくる。
ホルスターの言う通り、町の中には獣人の姿が目立った。
さっきも言ったようにここは獣人の国との国境なので、獣人が多くいるのだと思う。
獣人は自分の国からあまり出ないことで有名なのだが、交易などの所用で国境付近までは出てくるようだった。
そんな獣人たちを見ながら俺たちは冒険者ギルドへ向かう。
★★★
「すみません。ノースフォートレスの町のギルドから荷物を運んできたのですが」
ウェストリバーの町の冒険者ギルドへ着いた俺は受付に行き、荷物の到着を報告する。
「ノースフォートレスの町からの荷物ですか。荷送り状をお持ちですか?」
「はい、これです」
「え~と。ホルスト様ですか……ホルスト様って、もしかしてあの名高いSランク冒険者の?」
「多分、そうだと思いますよ」
そう言いながら、俺がギルドカードを見せると、受付のお姉さんが狂喜乱舞する。
「うわー、本物だあ。私、ホルスト様の大ファンなんです。サインもらえないですか?」
何かサインまで頼まれてしまった。
どこに隠していたのか、色紙を取り出してきてここに書いてくれと示してくる。
割と強引な子だな。
それはまあいいとしても、俺、サインとか書いたことが無いんだけど。
どうすればいいのだろうかと、俺が戸惑っていると。
「旦那様、普通に名前を書いてあげればよろしいのではないですか」
そうエリカがアドバイスをくれたので、その通りにすると。
「うわー、ありがとうございます。大切にします」
と、すごく喜んでくれたのでこれでよかったかなと思った。
★★★
その後は、荷物の納入をした。
納入と言っても、預かってきた荷物をヴィクトリアの収納リングから出すだけの簡単なお仕事だ。
「これで、全部ですね」
「それでは確認させてもらいます」
荷物を出した後は職員さんが荷送り状を元に荷物を確認する。
「はい、確かに全部そろっています。これで依頼は完了ですね」
三十分ほどで荷物の確認が終わった。
これで、後はヒッグス商会に行くだけだな。
そう思っていると、職員さんがこんなことを言い始めた。
「実は先程ギルドマスターにホルスト様がいらしていることを報告したらぜひお会いしたいとのことで、会っていただけないでしょうか」
どうやらギルドマスターが面会を求めているようだった。
俺はギルドでも名のしれた人物。
ギルドマスターに呼ばれた以上会わなければ、色々と角が立つだろう。
まだ他にも用事があるのだが、こうなっては仕方がない。
「いいですよ。案内してください」
ということで、急遽ギルドマスターと面会することになったのであった。
★★★
「初めまして、ウェストリバーの町のギルドマスターを務めておりますホッジスと申します」
「こちらこそ、初めまして。ホルストと申します」
ウェストリバーの町のギルドマスターであるホッジスさんと面会した俺は、軽く挨拶をして握手をした後、席に着く。
ホッジスさんはオオカミの獣人で、とても背が高くがっしりとした体つきの人物だった。
聞くところによると、現役時代はAランクの戦士として活躍したらしかった。
通りで筋肉ムキムキなわけである。
「皆様、お茶とお菓子をどうぞ」
俺たちが席に着くとすぐにさっきの受付の職員さんがお茶とお菓子を出してくれた。
「おいしそうですね、銀ちゃん」
「はい、ヴィクトリア様。ホルスターちゃんも食べよ」
「うん」
お菓子を見るなり、早速ヴィクトリアのやつが銀とホルスターを誘ってお菓子をほおばっている。
あまり意地汚いことをするなと注意しようかと思ったが、ホルスターと銀もうれしそうに食べているので止めておいた。
というか、ホッジスさん、子供たちも部屋に入れてくれてお菓子までくれるとか、優しい人だと思う。
それはともかく、子供たちのことはヴィクトリアに任せておいて他の者たちはホッジスさんと雑談をする。
「ほほう、それではホルストさんはこれから王都のブレイブへ向かうご予定なのですか」
「はい、その予定です」
「そうですか。ブレイブに行くにはまだ一か月ほどかかりますから大変でしょう」
「まあ、俺たちみんな旅慣れていますから。どうとでもなりますよ」
「そうですね。みなさんお強いみたいですから、問題なく行けるでしょうね」
「ええ、途中、魔物が出てきたらそれでも退治しながらのんびりと行く予定ですよ。魔物の素材はお金になりますし、一匹でも魔物を退治すればそれだけ人々が安全に暮らせるようになりますし」
「なるほど、良い心掛けですね。ところで、今のんびり行く予定とのことでしたが」
「ええ、そうですが」
「それでしたら」
と、ここでホッジスさんの口調が急に改まったものになる。
そして、こんなことを言ってきたのだった。
「一つ依頼を引き受けてくれないでしょうか」
★★★
ギルドから出た後はヒッグス商会に行き、商品を納入し、その後ホテルに泊まった。
「うわーい」
「もう、ホルスターちゃん、走り回ったら危ないですよ」
「ほら、ほら。二人とも大人しくしなさい」
部屋のリビングで走り回る子供たちをネイアさんが見てくれている間に他のメンバーで相談する。
何をかって?
もちろん、昼間ギルドでホッジスさんに頼まれた依頼の件だ。
「この辺りの野生動物を不法に狩る密猟団か。そんなのがいるんだね」
「しかもそのせいで餌が少なくなった魔物たちが人里を襲っているとか」
「本当、とんでもない話です。これはワタクシたちが何とかしなければいけませんね」
「そうだな、何とかしないとな」
そう今回の依頼。
それは密猟団の摘発だった。
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