今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
閑話休題52~その頃の妹 レイラさん、無駄遣いなどこの私が許すと思っているのですか!~
閑話休題52~その頃の妹 レイラさん、無駄遣いなどこの私が許すと思っているのですか!~
「へへへ……大金だあ」
皆様こんにちは。レイラです。
今、私は目の前にある40枚ほどの銀貨を見て悦に浸っていた。
今回のダンジョンの件でうちのチームは銀貨200枚ほどの報酬を手に入れた。
内訳は兄貴からもらった報酬が銀貨150枚。素材や肉を売ったお金とギルドの非常招集に参加した分の報酬が合わせて銀貨50枚だ。。
それらを合計して銀貨200枚というわけだ。
そのうち各自の分配金に一人銀貨40枚を割り当て、残りはチーム共通のお金として次に受ける依頼などの経費として使うことにした。
そんなわけで私の目の前に銀貨40枚という大金があるわけだ。
これだけのお金、何に使おうか。
それを想像するだけで、私の胸の内のワクワクは止まらない。
欲しかった服や靴、その他もろもろの品の映像が頭の中に次々と浮かんでは消えていく。
よし!この際だから欲しかった物全部買ってしまおう!
色々妄想した末、私は最後にはそういう結論に至るのだった。
ちなみに、私以外の仲間は堅実な使い方を考えているようだ。
「マーガレットは仕送りにいくら送るつもりなの?」
「銀貨10枚かな。それで5枚ほどは冬に必要になる服なんかに使って、残りは貯金する。ベラは?」
「マーガレットがそうするんだったら私もそうする」
マーガレットベラは故郷にいる弟達に仕送りを送って、必要な物を買って、残りは貯金するつもりらしかった。
「私は最低限の物だけ買って残りは貯金して結婚資金にする!」
フレデリカも最低限の物だけ買って貯金するつもりのようだ。
というか、結婚資金って何よ。
あんた、彼氏いないじゃない。
フレデリカの結婚願望が強いのは知っているけど、そういうのはせめて彼氏ができてから言いなさいよ。
と、心の中でツッコみを入れつつも、皆堅実だなと感心するのだった。
まあ、私は今度こそほしかった物を買うけどね。
皆を横目に見ながらそう決意し直すと、私はもう一度銀貨の山を見て、ニヤニヤするのだった。
★★★
しかし、そんな私の素敵な計画も次の日には水の泡となって消えた。
「こんにちは」
そうやってニコニコ顔で兄嫁のエリカがうちにやって来たからだ。
「あら、お義姉さん。何の用でしょうか」
兄嫁の顔を見た私はとても嫌な予感がして内心慌てた。
その証拠にそうやって兄嫁に挨拶をした時にも焦りで声が裏返っていたしね。
そんな慌てる私に対して兄嫁はとても落ち着いた抑揚のない声色でこういうのだった。
「レイラさん。あなた今回のことで随分と大金を得たようですね」
「いや、それほどでも」
「そんなごまかしをしても無駄ですよ。私が気付いていないとでも思っているんですか?」
そう言いながら兄嫁は私のことをじっと睨みつけてくる。
私を睨みつける兄嫁の瞳は微動だにせず、ずっと私を捉えて離さず、非常に怖かった。
だから誤魔化しきれずつい本当の事を言ってしまった。
「まあ、それなりに稼ぎました」
「そうですか。それなら出かけましょうか」
「出かける?どこへでしょうか?」
「もちろん冒険者ギルドですよ。今回の報酬でさっさとギルドへの借金を返済してきれいな身になりましょうね。後、ちゃんと貯金もしましょうね。あなたが無駄遣いをする前に!」
全部バレてる!
兄嫁のその言葉を聞いて私は心底ゾッとした。
金があればあるだけ使う。
そのことを完全に兄嫁に見透かされていた。
やばい!このままでは私の計画が……。
「さあ、行きますよ」
そう思っている間にも兄嫁は私の腕を引っ張り強引にギルドへ連れて行くのだった。
★★★
「おめでとうございます。これで借金を完済ですね」
兄嫁とギルドへ行くとまず借金を返さされた。
この時点で借金の残りは銀貨15枚。
それを一気に返済する。
「確かに銀貨20枚。お預かりします」
そして銀貨20枚を強制貯金させられる。
ああ、私のお金が~。
ギルドの職員さんが私のお金だったものを奥の金庫へと持ち去るのを見て、私は泣き出しそうになるのだった。
そんな私を見て、兄嫁がこう私に言うのだった。
「何を嘆いているのですか。ほら、ご覧なさい。あなたの仲間たち何か私が何も言わなくても自主的に貯金したり、家族に仕送りをしているではないですか。あなたも少しは見習いなさい」
兄嫁の言う通りだった。今日は私の仲間たちもギルドに来て貯金などの手続きをしている。
「「銀貨10枚を故郷の村に送金してください。そして銀貨20枚を貯金してください」」
マーガレットとベラはそうやって故郷の孤児院にいる弟妹達に仕送りをしているし。
「銀貨30枚!貯金しますので、よろしくお願いします!」
フレデリカはそうやって稼ぎの多くを貯金していた。
兄嫁はそんな仲間たちをほほえましそうに見ている。
兄嫁は仲間たちのような堅実に生活するタイプの子がお気に入りのようだ。
だからそういう仲間たちを好ましく思っているのだと思う。
というか、マーガレットとベラはともかく、フレデリカ、あんた昔は私と同じように修道院に放り込まれるくらいのワルだったじゃない。
一体どうしちゃったのよ!あの頃のあんたはどこへ行っちゃたのよ!
とは言ったものの、修道院を出た後色々苦労したため、「私、真面目に生きることにする」と、フレデリカが丸くなったのを私は知っている。
底辺冒険者の生活とはそのくらい厳しいものなのだ。
ただ、私は変わることができなかった。
だから日々兄嫁に説教され続けているというわけだ。
本当、私はいつまでこの地獄のような日々に耐えなければならないのであろうか。
と、そんなことを考えている間に仲間たちの手続きも終わったようだった。
「さあ、それでは行きましょうか」
これでギルドでの用事も終わったので、皆で外へ出るのだった。
★★★
ギルドを出た後は皆で古着屋さんへ行った。
「服を買いたいんですけど、どこか安く買えるところはないでしょうか?」
と、仲間たちが聞いたら。
「それでは質の良い服を扱っている古着屋さんを知っていますので、そこへ行きましょうか」
そう言いながら、兄嫁が古着屋さんへ連れて行ってくれたのだった。
ここの古着屋さんは確かに兄嫁の言う通り良い古着屋さんだった。
「ベラ、ここの服、すごく安いね」
「そうだね。マーガレット」
新品なら銀貨一枚以上はするであろう服が、銅貨十数枚程度で買えるのだ。
「値段の割にはかわいい服が多いね」
その上女の子らしいかわいらしい服もたくさん置いており、フレデリカもお気に入りのようだ。
「本当。冬物の服、結構いいの買えちゃった」
私もお目当ての服が買えたのでうれしかった。
なるほどこういう服の買い方もあるんだなと、私は知った。
★★★
古着屋に行った後は兄嫁が美容室に連れて行ってくれた。
「あなたたちも女の子なんですから、身だしなみはきちんとしなさい。パトリックの世話もきちんとしてくれているみたいですし、ホルスターたちとも遊んでくれているようですから、今日は私がおごってあげます」
ということで、おごってくれたのだった。
「おや、みんなスッキリしましたね」
美容室を出てきた私たちを見て、兄嫁がそんな感想を漏らす。
マーガレットは髪の毛が少し伸びてきてウェーブが取れかかっていたのを、肩下くらいでそろえてもらって、ウェーブをかけ直してっもらった。
ベラも髪の毛が腰に届くくらいまで伸びていたので、背中くらいまで短くしてもらってスッキリした。
私とフレデリカはショートヘアから伸ばしている最中でもさっとしていたので、肩につくくらいの長さでそろえてもらった。
「「「「大満足」」」」
出来上がった髪型に、全員大満足だった。
★★★
その後は全員でカフェに行った。
「エリカさん。お化粧ってどうすればうまく行きますかね」
「エリカさん。男の子と付き合うようになったら、デートとかどこへ行けばいいでしょうか」
「エリカさん。今度料理の仕方教えてください」
みんなそんな風に兄嫁に悩み相談をしていた。
「それはですね……」
と、兄嫁も真面目に答えているので、皆話に聞き入っていた。
そんな中でこんな話が出た。
「へえ、エリカさんって投資とかもなさっているんですか」
「ええ、してますよ。まあ、折角稼いだお金を遊ばせておくのも、もったいないですからね」
「ふーん、すごいんですね」
「まあうちの父に勧められた不動産とか、そういうのに対してですけどね。怪しい話には手を出していませんからね。それでも結構お金が入ってくるので、助かっていますよ」
その兄嫁の話を聞いて私は思った。
へえ、投資ってそんなに儲かるんだ。
だったら私もいい話があったらやってみようかな。
そんなことを思ってしまった。
ただ、この時の私はまだ知らなかった。
投資は必ずしも儲かるばかりではないことを。
ーーーーーーー
これにて第15章終了です。
ここまで読んでいただいて、気にっていただけた方、続きが気になる方は、フォロー、レビュー(★)、応援コメント(♥)など入れていただくと、作者のモチベーションが上がるので、よろしくお願いします。
なお第16章は明日一月一日から連載開始予定です。
それでは、これからも頑張って執筆してまいりますので、応援よろしくお願いします。
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