今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第348話~秘密の研究所 キメラの秘密を暴き出せ!~
第348話~秘密の研究所 キメラの秘密を暴き出せ!~
『生物研究所』とかいう怪しげな場所を見つけたので侵入することにする。
「さて、どうやって侵入しようか」
そこで悩んだのは進入手段だ。
一番手っ取り早いのは扉を破壊して入ることだが、それが最悪の悪手だという事は子供でも分かる話だ。
ということで別の方法を模索していると、エリカがこんなことを言い始める。
「旦那様、あそこの穴、通風孔ではないですか?」
エリカの言う方を見ると、確かにそこには小さな穴があった。
エリカの言うように通風孔だと思う。
「あそこから侵入してはどうですか?」
「あそこって、あの大きさでは人は入れないと思うぞ」
「確かに人は入れませんが、小動物ならば大丈夫だと思います。そして、旦那様にはそれを可能にする魔法があるではないですか」
そういえばそうだった。
エリカの言うことを理解した俺は早速魔法を唱える。
「『神獣召喚 ミー 猫を被る 発動』」
俺は猫の神獣ミーを召喚し、中m全員に「猫を被る」の効果を付与する。
すると、ボンという小さな音とともに全員がネズミの姿になる。
これなら通風孔の中へ入って行けそうだった。
「さあ、行くぞ!」
「「「はい」」」
準備のできた俺たちは早速研究所の中へと入って行くのであった。
★★★
ホルストたちが研究所へ侵入しようとしたその時、研究所では研究員たちがこんな会話をしていた。
「キメラの培養は順調かな?」
「はい、所長。順調であります。あと一か月ほどで出荷可能と考えられます。これでまたスタンピードなどを起こし、世の中を混乱させることができます」
キメラの培養の件について所長に尋ねられた研究員がそんな返事を所長に返している。
この研究所には所長の他に10名ほどの研究員がいるのだが、その全員が白衣を着用している。
魔法大学などを見てもわかる通り、この世界では研究者と言えども白衣など着ず、ローブなどを着て研究しているので、他の者が見たら彼らの格好を奇異に感じることと思う。
もちろん彼らはそんなことを気にしない。
というのも、この衣装は彼らの神が「これこそ研究者らしい衣装だ」と決めたものであり、崇めこそすれけなすようなものではないからである。
それはともかく、研究員の返事を聞いた所長は満足げに頷く。
「それは結構なことだ。それで、例のクローンの方も順調か」
「もちろんでございます。こちらはまだ予定通りの出力を出せるように調整できておりませんが、半年ほどでどうにかなるのではないかと考えております。さすれば、世界中の国々が大混乱に陥ること間違いなしでございます」
「そうか。それは楽しみだ。この分ならば盟主様にもよい報告ができそうだ」
「はい、正にその通りでございます」
「うむ、この分なら我ら神聖同盟の悲願が成就する日も近いようだ」
★★★
「おい!お前ら、今の会話を聞いたか?こいつら自分たちのことを神聖同盟だとかぬかしてたよな」
「はい、私には確かにそう聞こえました」
「アタシもそう聞いた」
「ワタクシもです」
嫁たちが口を揃えてそう言うので、ここが神聖同盟の施設であることは明白だった。
というか、あいつらこんな所でこそこそキメラなんか作っていやがったのか。
そう思いながら施設の中を見ると、等身大のガラスの筒の中にキメラが入ったものが研究所中に置かれていた。
「なるほどこの筒の中でキメラを育てているということか」
「そのようですね。あと一か月で出荷とか言っていましたから、もうちょっと来るのが遅かったらまずいことになっていましたね」
「まったくだ」
本当エリカの言う通りだった。
もう少し来るのが遅かったらキメラがそこら中にあふれて、下手をすればスタンピードが起きまくって手を付けられなくなっていただろう。
それと俺的には奴らの会話の中でもう一点気になったことがあった。
「なあ、あいつらクローンがどうとか言っていたが、クローンってなに?」
「さあ、何なんでしょうか。私は聞いたことがありません」
「クローンというのは生物の複製体のことですよ」
クローンが何だかわからない俺とエリカにそう教えてくれたのは、ヴィクトリアだった。
「生物の複製体?」
「そうです。クローンは何らかの生物の細胞を培養して、オリジナルの生物と同じ存在を作り出すことです」
「ふーん。そんなことができるのか?」
「できますね。他の世界ではそういう技術を確立している世界もあります。ただ」
「ただ?」
「作成できても禁止している所の方が多いですね。倫理的に問題がありますから」
「なるほど。そういうものなのか。で、あいつらは何の生物のクローンを作ったんだ?」
「さあ、そこまではわかりません。ただ、あいつらの口ぶりからすると相当強力な生物のようですね」
その通りだ。
俺はヴィクトリアの話を聞いてそう思った。
奴らが弱い存在のクローンなんか作るわけがないからな。
となると、激戦が予想される。
「ということは、あれの出番かな。おい、ヴィクトリア」
直感的にそう思った俺はヴィクトリアを呼ぶのだった。
★★★
「なんでしょうか」
「あれの出番だ」
「あれ?ああ、『神意召喚』ですか」
「そうだ。だからキスをしよう」
「それはいいのですが、このネズミの姿のままで、ですか?」
「何か問題があるのか?」
「いえ、キスをするときに前歯が邪魔そうだったので」
確かに言われてみればそうだが、今はそんなことを言っている場合ではないと思う。
「お前、変なことを気にするな。それよりも時間がないんだ、早く!」
「もう!ホルストさんはせっかちですね。まあ、いいでしょう。そんなホルストさんも悪くないです。力を授けてあげましょう」
そう言うと、ヴィクトリアは俺に近寄ってきてそっとキスをする。
ヴィクトリアの懸念通りキスをするときに二人の前歯がちょこんと接触したが思ったよりは大したことなかった。
それよりもキスにより『神意召喚』が発動する。
「シンイショウカンプログラムヲキドウシマス」
いつもの声が頭の中に流れてくると同時に体中に力があふれてくる。
これで戦闘準備は整った。
後は神聖同盟の野望を打ち砕くまでだ。
「じゃあ、お前ら、行くぞ!」
「「「はい」」」
そして俺たちは戦場へと赴くのである。
★★★
と、その前に魔法を確認しておく。
『神属性魔法』
『神強化+6』
『天火+6』
『天凍+6』
『天雷+6』
『天爆+6』
『天土+6』
『天風+6』
『天罰+6』
『神獣召喚+5』
『神約+3』
『重力操作+6』
『魔法合成+4』
『地脈操作+4』
『空間操作+6』
『世界の知識+6』
『十戒+3』
全体的に見るとよく使っているものの熟練度が上がった感じである。
それと『十戒』とかいうのが増えている。
後でヴィクトリアに聞いた話によると、特定の範囲内で決まり事を定め、侵入してきた相手をその決まりに強制的に従わせる魔法だそうだ。
使い道があるのかどうかわからないが、何だか神様っぽい能力が使えるようになってきたなと思った。
さて、魔法の確認も済んだし、神聖同盟の奴らを叩き潰すことにする。
★★★
ドンと研究所の中に突然派手な爆発音が響き渡る。
俺が魔法で通気口のダクトを破壊した音だ。
と同時に、人間の姿に戻った俺たちが姿を現す。
「何事だ!」
突然の事態に慌てた研究所の奴らが大声で騒ぎだす。
それに対して俺は余裕の表情でこう言ってやる。
「キメラを使って世界を混乱させようなどと言うお前ら神聖同盟の企みもここまでだ!今からこの研究所ごと粉砕してやるから、覚悟しろ!」
それだけ言うと俺はエリカに合図する。
「『極大化 小爆破』」
すると手筈通りにエリカが魔法でガラスの筒を破壊して行く。
パリン、パリンと次々にガラスが割れて、中のキメラが培養液ごと飛び出してくる。
「『極大化 天火』」
出てきたキメラに対して俺がすかさず魔法を使用する。
以前生体のキメラに使った時と同じように、次から次へと細胞一つ残らず灰と化して行く。
それを見て研究所の所長が悲鳴を上げる。
「貴様!我らの努力の結晶になんてことをしてくれるのだ!」
「ふん。人々を苦しめるための努力の結晶なんかこうして灰になってしまうべきだと思うがね」
喚く所長に対して俺はそうやって冷たく言い放つのだった。
そうしている間にもエリカがどんどん筒を割って行き、出てきたキメラを俺が灰にしていく。
その状況を見て、とうとう所長がキレて、部下にこう指示を飛ばすのだった。
「このままではキメラがすべてダメになる。アレを出して阻止するのだ!」
「アレ、ですか?しかし、あれはまだ調整不足で……」
「構わん!早く上位キメラを出すのだ!」
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