第344話~妹たちとのダンジョンピクニックは続く やはり人が入っていないダンジョン手お宝が多いんだな~

 第二層も洞窟エリアだった。

 第一層と同じような洞窟が続いている。


 第二層には第一層よりも若干強い魔物が出現する。

 とは言ってもオークやビッグスパイダー程度の小者であり大した敵ではない。


 それと第二層は第一層に比べて鉱物や薬草の採取量が少ない。

 敵が強い上に収穫物は第一層より少ない。

 これだけ見れば第二層は第一層よりもそんなエリアということになる。


 しかし、ここには……。


「キャー、宝箱よ!宝箱!」


 妹のやつが宝箱を見つけて大はしゃぎしている。


 そう、ここの第二階層は第一階層よりも宝箱の出現割合が高いことで知られていた。

 しかも中身も悪くないらしく。


「これはショートソードかな?しかも新品みたいに新しそうだし」


 今回も新品同然のショートソードが入っていた。

 売ればそれなりの値段になると思う。

 ただ、妹のやつにはこれを売るつもりは無いらしい。


「そういえばベラのショートソードって古くて年季の入ったやつだったよね。だったらこれを新しく使ったらいいんじゃない?古いのは予備としておいとけばいいしね。皆もそれでいい?」

「「「うん、異議なし」」」


 そう言って仲間の武器として使うつもりみたいだった。

 この辺、妹のやつ意外に仲間思いだと思う。

 まあ、だからこそ色々やらかしても仲間の子たちが離れて行かないのだと思う。


 こんな感じで第二階層の探索も順調に進むのだった。


★★★


 こうやって宝箱を回収しながら第二階層を回って行くと魔物と遭遇することもある。


「グオオオ」


 宝箱からショートソードを回収してしばらく進むと、オークとゴーストの混成部隊と遭遇した。


 まあ、別に俺たちが相手をしてやっても良いのだが、今回は妹たちに任せることにする。

 大規模訓練所での訓練やその後の仕事でそれなりに実力をつけてきたみたいなので、その成果を見てみたかったからだ。


「レイラ、お前たちがやれ!この際だからどの程度実力がついてきたか見せてみろ!いざという時は助けてやるから、行ってこい!」

「うん、やってみる」


 俺に命令されて文句の一つでも言うのかと思っていたが、意外なことに妹のやつは素直に敵へと向かって行くのであった。

 妙だなとは思ったが、敵はオークが一匹とゴースト二体という大した相手ではないので、自分たちだけで倒して報酬を独占しようとか考えているのだと思う。


 まあ、別にいいけどね。

 妹のパーティーが倒した魔物については最初から妹たちに渡すつもりだったから。


 それはともかく、肝心の戦闘の方だがきちんと連携が取れていて驚いた。


「『精霊召喚 風の小精霊』。風の小精霊よ、マーガレットとベラに素早さを与えて」


 まずフレデリカが風邪の小精霊を召喚して、味方にバフをかける。


「「うおおおおお」」


 それを受けてマーガレットとベラがオークに突撃して行く。

 二人は素早くなったのを活かして、動きでオークを翻弄している。


「エイ、ヤー」

「『火矢』」


 そうやって前衛職の二人がオークを足止めしている間に残りの二人がゴーストを攻撃する。

 妹は魔法で、フレデリカは聖水を塗った弓矢で。


「「ギャアアア」」


 二人の攻撃を受け、ゴーストが一瞬で消滅する。

 これで残りはオーク一匹だ。


「『風刃』」

「風の小精霊よ!真空の刃でオークの腕を切り飛ばして!」


 これに対しては、妹とフレデリカが風の魔法を放ちオークの両腕を切り飛ばしていく。


「えい!」

「とどめだ!」


 そうやって戦闘力を完全に喪失したオークに対して、マーガレットとベラがとどめを刺しに行く。


「ギュウ」


 二人に攻撃されたオークは短い悲鳴を残して地面に倒れ伏す。

 このようにして妹たちはオークを倒したのであった。


★★★


 そうやって宝箱の回収やときには魔物たちとの戦闘を繰り返しながら第二階層を探索した。

 一応第二階層中を一通り回ってはみたものの、俺たちの持つ探知手段には何も引っかからなかった。


「何もなかったですね」


 この状況を受けてヴィクトリアがそんなことを呟く。

 何もなくてよかったと思う反面、折角ダンジョンに来たのに何もイベントが起こらず残念さも感じているという複雑な感情から出た言葉である。

 俺たちがそうやって喜びとも落胆ともつかない複雑な感情を抱く一方。


「みんな、儲けたね」

「本当、良かったね」

「これでパーティーの装備が強化されたね」

「魔物の肉や素材も手に入ったから、これで財政的に一息付けるね」


 と、妹たちはかなりの収穫物を手に入れたことに大喜びだった。


 結局妹たちはこの階層で三つの宝箱を開けることができ、ショートソードを一本と、ダガーを一本、鉄の兜を一個手に入れていた。


「ショートソードはベラが、鉄の兜はマーガレットが、ダガーはフレデリカが使えば戦力アップだね」

「レイラはいらないの?」

「私はいいかな。そうだ!フレデリカがダガーを持ったら今使っているナイフが空くからそれをいざという時のために持たせてもらおうかな」

「いいよ。ほれ」

「じゃあ私が鉄の兜を使うから、今使っている革の帽子はベラが使う?」

「うん、ありがとう」


 そんな風に手に入れた武器とすでに自分たちが持っている武器とを融通し合って戦力の増強を図っているようだ。

 意外に手堅いことをやっていると思う。


 これでオークなどの魔物の素材も手に入れたのだから言うことなしだと思う。


 まあ、いいや。

 これで第二階層の探索も終わったことだし第三層へ進もうと思う。


★★★


「ヒャッハー、またまたお宝だ~」


 第三層でも妹たちのお宝探しは続く。

 ここの第三層は泉が湧いて出る部分があり、その周辺には薬草が自生していた。

 妹たちは今度はそれらをメインに回収しているようだ。


 というか、ヒャッハーってなによ。

 お前はいつそんな下品な言葉を覚えたんだ。

 オヤジやオフクロが聞いたら泣くぞ。


「妹さん、いつからどこかの世紀末世界のならず者になったんですかね」


 ヴィクトリアのやつも妹のセリフを聞いてあきれているしね。


 ……というか、世紀末世界ってどこよ。

 いつものことだが意味不明なことは言わないでほしかった。


 とまあ、こんな感じで第三層も順調に探索して行くわけだが、ここへきて初めて俺たちの探知手段に反応があったのであった。

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