今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第341話~はぐれグリフォン退治 そして、退治した翌日の朝に……~
第341話~はぐれグリフォン退治 そして、退治した翌日の朝に……~
その日も俺たちはいつもの通りギルドの依頼を受けていた。
今日の獲物はノースフォートレスの町の南の方に現れたというはぐれグリフォンだ。
近くの村々の家畜を襲っているという話だった。
まあ、大して手強い敵でもなかったが相手は空を飛べるので逃げ足だけは速かった。
ということで罠を張ってはめることにする。
「俺が誘導してポイントに誘い込むから、ポイントに入ったらエリカはグリフォンの頭上に大量に『金剛槍』の魔法を落として地面に叩き落してやれ!」
「はい、旦那様」
「それで、地面に落ちたグリフォンはヴィクトリアが『土の精霊』を使って地面に縛り付けてやれ!」
「ラジャーです」
「そして、最後はリネットが大斧で一思いに首をはねてやれ!商品価値が下がるから、他の部分はあまり傷つけるんじゃないぞ。今回の依頼料はあまり高くないからな。グリフォンを売って稼がないと割に合わないからな」
「うん。大丈夫だよ。任せて!」
こんな感じで作戦が決まったので早速行動開始だ。
グリフォンはいつも夜に家畜を襲いに来るそうなのでとりあえずそれまで待つことにする。
馬車にこもって獲物が現れるのを待つ。
交代で二人ずつ見張りにつき、残りのメンバーは馬車の中で待機だ。
それで今は俺とヴィクトリアの二人で見張りをしている。
「うーん、中は楽しそうでいいですね」
俺の横ではヴィクトリアが羨ましそうに中の様子をうかがっている。
「ねえ、ママ。ババ抜きしようよ」
「ええ、しましょうか」
「銀ちゃん、お菓子食べなよ」
「ありがとうございます。リネット様」
今日はホルスターと銀も一緒に連れて来ているので中は賑やかそうだった。
それが楽しそうなので羨ましがっているのだと思う。
というか、今は仕事中なんだからお前は見張りに集中しろ!
俺はヴィクトリアの肩をポンポンと叩く。
「お楽しみは仕事が終わってからだ。今はちゃんと見張りの仕事をしろ」
「は~い」
俺に注意されたヴィクトリアは渋々といった感じで指示に従うが、まだ未練があるのか、時たま中の様子を窺ったりしている。
こいつは……仕方ないなあ。
そう思った俺はヴィクトリアの肩を抱き寄せると、そっと頭を撫でてやる。
ヴィクトリアは最初驚いた顔をしていたが、すぐに俺の意図を察したのか、自分の方から俺にくっついてきだした。
ヴィクトリアの温もりを感じられてとても良い時間だった。
★★★
「ホルストさん、敵みたいです」
そうこうしているうちに偵察に放っていたヴィクトリアの精霊から『敵襲』の報告があったようで、ヴィクトリアがそう俺に知らせてきた。
「おい、敵襲だ!」
俺が馬車の中に声をかけると、中から全員が出てくる。
見ると、全員武装して準備は万端のようだ。
というか、ホルスターと銀まで出てきているし。
まあ二人は訓練の一環として連れて来ていたし、二人の実力ならグリフォンに後れをとることはないと思うので問題はないと思う。
「銀姉ちゃん、とうとう僕たちの実力を見せる時が来たね」
「そうだね。ホルスターちゃん」
しかも妙に張り切っているし。
まあ、エリカたちもいるので大丈夫だろう。
さて、それでは作戦開始だ!
★★★
嫁たちが作戦位置についたのを確認すると、俺はグリフォンの方へと近づいて行く。
「『重力操作』」
魔法で空を飛び、一気にグリフォンへと突っ込んで行く。
「グア?」
俺が近づいたことに気が付いたグリフォンは驚いた顔をするが、それも束の間、すぐに迎撃してくる。
「ブオオオオ」
火の玉で俺を攻撃してくるが、この程度俺にとっては何でもない。
「『天氷』」
魔法で氷の刃を作って軽く反撃する。
そのまま、相手が火の玉を放ってくる隙をついて背中に回り込み背中から蹴りを入れる。
「グハッ」
背中にケリを入れられたグリフォンは思い切りのけ反り、逃げ始める。
もちろん、俺に逃がすつもりなどない。
「逃がすか!」
すぐさまグリフォンを追撃し、わなを仕掛けている方向へ誘導して行く。
そして、ポイントに追い込んだところで。
「エリカ!今だ!」
エリカに指令を出す。
「『金剛槍』」
「『金剛槍』」
エリカとホルスターの魔法が発動し、ダイヤモンドの槍の雨がグリフォンに降り注ぐ。
「グホ、グホ」
グリフォンは必死にそれを避けている。
見た目には意外にうまく避けているようにも見えるが、これも計算のうちだ。
ボン、ボン。
槍に混ざって大きな石が降り注いでそっちがグリフォンに命中して行く。
まあ、本当に槍が当たったら素材が傷ついてもったいないからな。
傷が少ないように石で地面に叩き落したのだった。
ドン!と、石を体にあてられたグリフォンが地面に叩きつけられる。
「『精霊召喚 土の精霊』。さあ、グリフォンを拘束するのです」
地面にグリフォンが倒れたのを見て、すかさずヴィクトリアが土の精霊で地面に縫い付けるように拘束する。
「ウガアアア」
それでもグリフォンは拘束を解こうともがく。しかし。
「『八門遁甲の術』」
そこに銀がすかさず妖術を放つ。
八門遁甲の術。
幻を敵に見せる高等妖術だ。銀も頑張って修行していて、最近使えるようになったらしかった。
「ぐう」
幻を見せられて混乱しているのだろう。グリフォンは暴れるのをやめ、低くうなるくらいしかできなくなった。
「うおおりゃああ」
そこへ大斧を持ったリネットが突っ込んできてグリフォンの首を一瞬で切断する。
切断面から大量の血が噴き出し、グリフォンは絶命する。
これで村々を荒らしていたグリフォンは退治され、俺たちの仕事も完了したのだった。
★★★
「はい、依頼の終了を確認しました」
翌朝、グリフォンの死体を商業ギルドに引き渡した後、冒険者ギルドに立ち寄った俺たちは職員さんに依頼の終了を認定してもらった。
「さて、それじゃあ帰るか」
これで手続きもすべて終わったので家に帰ろうとすると。
「ホルスト様。ギルドマスターがお会いしたいそうですよ」
そう職員さんに引き留められた。
仕事終わりで疲れてはいたが、俺的にはダンパさんの頼みはあまり無視したくないので会っていくことにした。
「お前たちは先に帰って休みな」
「「「はい」」」
嫁や子供たちを先に家に帰し俺一人で会いに行くことにする。
「それじゃあ、ダンパさんに取り次いでくれ」
嫁たちを先に帰した後、俺は職員さんにそう告げてダンパさんに会いに行くのであった。
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