今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第337話~開拓村の建設 いよいよ建物の建設だ~
第337話~開拓村の建設 いよいよ建物の建設だ~
村内の道も完成したことだし、いよいよ村の建物の建設に入る。
まずは村の周囲の防御壁の建設からだ。
この世界、魔物がそこら中にいるからこうした設備は必要不可欠なのだ。
「『精霊召喚 土の精霊』。さあ、土の精霊よ。村の周囲に堀を掘って行くのです」
最初はヴィクトリアが土の精霊を使って村の周囲に堀を掘って行く。
この堀は深さ三メートルくらいの深いものだ。
通常なら汗水たらしながら掘るのだろうが、土の精霊の力を使えば簡単だ。
二時間ほどで村の周囲に堀ができてしまった。
「さて、堀の方は順調なようだし俺たちは柵を造るぞ」
「おう!」
ヴィクトリアが堀を掘る一方で、俺とリネットが中心となって木の柵を作る。
「おりゃああああ」
「うりゃああああ」
二人で力任せに杭を打ち込んでいく。
普通の人なら杭を一本打ち込むだけでも大変な作業だが、俺とリネットの二人なら話は別だ。
ドン、ドン、ドン。と、数回ハンマーで打つだけで杭が地面に刺さって行く。
「俺だったら杭を打ち込むのに20回以上叩くのに……」
「人間技じゃない」
俺たちの作業を見ている工夫さんたちが感心した眼差しで俺たちの仕事を見ている。
あんまり熱心に見てくるものだから、見られている俺たちの方が恥ずかしくなって思わず赤面してまったものだった。
そうやって俺とリネットで杭を打ち込んだ後は。
「よいしょ、よいしょ」
「こら!もっとちゃんと固定しないと、魔物が来た時に役に立たねえだろうが!」
「へい、親方。すいやせん」
職人さんたちが杭と杭の間に分厚い木の板を設置し、きちんとした壁を造成していく。
木の壁とはいえ、これだけ分厚いと簡単に突破できるものではない。
それこそドラゴンクラスでないと無理だと思う。
まあ、こんな所にそんなにドラゴンが来るはずはないのでこの位の防衛施設があればこの村は安泰ということだ。
「そんなわけでどんどん造っていくぞ!」
こうして俺たちはどんどん壁を造って行き、大体5日ほどで立派な柵が完成したのだった。
★★★
柵の後は建物を建てていく。
最初にやるのは村人の住居の建設だ。
村人にはなるべく早く引っ越してきてもらって、畑の整備とか建物の建設とか色々手伝ってもらいたいからな。
だから、最初にいくつか家を造って男衆だけでも移ってきてもらって、さらに家を建て、最終的には家族も呼び寄せてもらって村として機能するようにしたいのだった。
今回の開拓で300人くらい移住してくる予定らしい。
一世帯4、5人とすると、60~70軒ほど家が必要になるが俺たちだけでそんなには造れない。
十数軒ほど建てて、後は移住者たちに建ててもらうことになる。
村の中に五つほど集落をつくる予定なので、各集落に3つずつ家を建てていく。
「親方、柱を立てました」
「よし!次は壁の骨組みを組んでその後は屋根だ!」
大工さんと先行して移住してきた村人たちが協力して、のこぎりと木槌を手に取り家を建てて行っている。
まあ、さして大きくない平屋の家だが、家を建てるとなると数日はかかる。
柱が立ち、骨組みができ、屋根もついて最後に壁ができていく様は見ていて楽しい。
「「おじちゃん、その木は何に使うの?」」
「これは、屋根に使うんだよ」
特にホルスターと銀は、他の作業の時と同様に、興味津々でみんなにあれこれ聞いて回って行っている。
というか、お前ら、工事の邪魔だからあまりウロチョロするなよ。
「ホルスターと銀ちゃん。工事の邪魔になるから、あまり話しかけたりするのはダメですよ。見ている分には構わないから、大人しくしていなさい」
「「は~い」」
見かねたエリカに注意された二人は、以後椅子に座ってのんびりと見学するようになるのだった。
こんな感じで建物の建設は順調に進んで行った。
ところで、建物の建設には欠かせないものがある。
え?それは何かって?
もちろん、建築資材だ。
そもそものことを言うと、俺たちのパーティーに建物を造る技術などない。
そんな素人の俺たちが手伝おうとしてもかえって作業の邪魔になるだけだ。
ということで、俺たちは自分たちにできることをする。
「さあ、お前ら木を伐りに行くぞ」
「「「はい」」」
そんなわけで、俺は嫁たちを引き連れて森に木を伐りに行くのだった。
★★★
「おりゃあああ」
リネットが斧を一振りするとドゴーンという音を立てて気が根元から倒れていく。
「次は俺の番だな」
リネットに続いて俺も斧を構える。
「えい!」
まず軽く木に切れ込みを入れて木が倒れる方向を調整する。
そして木の後ろに立つと。
「えええいい!」
と気合を入れて一撃を叩き込む。
ドゴーンとそれだけで木が倒れていく。
「まだまだ木材はたくさんいる!どんどん行くぞ!」
「おう」
そうやって俺とリネットでどんどん木を切って行く。
その一方でヴィクトリアとエリカは。
「それでは切った木を回収して行きますね」
「私は切った木の後に植林して行きますね」
ヴィクトリアは切った木をどんどん収納リングへと入れていき、エリカは切った木の根っこを魔法で引っこ抜き、木の苗木を植林していていた。
まあ、木を切っただけで放置しておくと森が荒れるからな。
植林して次世代に豊かな森を残しておきたい。
そうモーリスさんにお願いされたので、木を切るついでに植林も行っているというわけだ。
「『精霊召喚 木の精霊』。木の精霊さんお願いします」
それらの苗木には早く大きくなりますようにとの願いを込めて、木の精霊の加護を付与して行く。
木の精霊の力を与えられた苗木たちは通常の場合よりもよく育つそうなので、これで今回の件で荒れた森の回復も早くなるはずだった。
それと、こうやって作業をしている間にも当然魔物は出てくる。
「ギャオオオオオ」
今も植林をしているとオークとゴブリンの群れが出てきたしね。
「『風刃』」
もっとも、それらの魔法は周囲を警戒していたエリカの魔法で一瞬にして全滅させられてしまって今晩のおかずになってしまったけどね。
一応村人や職人さんたちにはエリカのお父さんが食料を支給してくれているが穀類中心で肉はあまりない。
しかし、肉体労働で働く以上肉はあった方がいい。
さもないと力が入らないからな。
ということで、俺たちの仕事はきこり兼食料調達係が正確な所だった。
このようにして俺たちは木を集めているわけだが、この木をどうするかというと。
「『天風』」
「『風刃』」
「『精霊召喚 風の精霊』」
村まで持って帰ると、魔法で角材や木の板に加工するのだった。
そしてそれを用いて村人たちや職人さんたちが家を建てていくのだ。
役割分担がはっきりしていて、とても仕事の効率が良かった。
こんな感じで住居の建設は急ピッチで進んで行くのであった。
★★★
大体一か月で予定の数の家は完成した。
計画よりも大分速かった。
これは家を建てるたびに新しい村人が引っ越してきて作業人員が増えたので建物の建設速度が上がったからだった。
残りの家は俺たち抜きで村人たちで作ることになるわけだが、材料の木材はすでに用意済みなので村人たちだけでどうにでもなると思う。
ということで俺たちの仕事も、残すところ村の代官所と倉庫の建設だけだ。
さて、あと一息だ。
頑張るとしよう。
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