今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第336話~開拓村の建設 次は道の整備だ~
第336話~開拓村の建設 次は道の整備だ~
俺たちの活躍により一週間ほどで開拓村に用水路を張り巡らすことができた。
「さて、ということで次は道の整備か」
用水路の整備が終わったことで、道の整備の作業に移る。
「道の整備か。前にエルフの遺跡に行く時にもやったけど、あれとは大分感じが違うようだな」
「ええ、そのようですね。あっちは元々あった道を通れるように修復しただけですからね。今回モーリスさんに聞いた話だと、こんな感じでやるみたいですよ」
俺の疑問に対してエリカがモーリスさんから聞いてきたことを話してくれた。
「まずは主要な街道への接続用の道路ですね。これを最初にやるのは物資や移民の輸送の効率を上げるためですね」
「街道への接続用の道路の工事か。一番面倒な所からやるんだな」
「ええ、そうですね。これを造るのが一番面倒だと私も思います。物資を大規模に輸送するための道なので、馬車が通りやすいように石を敷き詰めてしっかり舗装しますからね」
「舗装か。確かに面倒だな」
「確かに面倒ですが、一番困難な作業を最初にやってしまえば後が楽ですから、私としてはそれで構わないと思います」
「それもそうだな」
エリカの意見に俺も納得した。
そう言われれば、確かに面倒な作業を先に片づけてしまうのも悪くない気がした。
「それで、街道への接続用の道路ができた後はどうするんだ?」
「その後は農道の整備と、道の水はけをよくするための排水路の設置ですね。こっちはだいぶ楽だと思います。農道は舗装までする必要はないですし、排水路は用水路と同じ要領であれよりだいぶ小さいのを造ればいいだけですからね」
「ふーん、そうなんだ」
俺はエリカの話を聞いて色々納得できた。
それと同時に何とかなりそうな気もしてきた。
「わかった。そういうことなら、さっさと造ってしまうか」
「「「はい」」」
ということで、早速工事を開始することにする。
★★★
さて、最初に工事を開始したのは予定通り街道へ接続する道路からだ。
とりあえず街道まで出て、そこから順次道路を建設していく。
「『天土』」
まず俺がガイドロープに沿って道路を平たんにするための作業と基礎工事を同時に行う。
道路に石を敷いて舗装する場合、単に石を敷くだけでは舗装したことにならない。
石を敷く前にその下の部分を石を敷いても大丈夫なように基礎工事をしておく必要がある。
本来ならこの基礎工事だけでも何日もかかるはずなのだが、俺の魔法を使えば一瞬でできる。
『天土』の魔法は土に関することなら何でもできる万能魔法だから、この位の事、容易いことだった。
というか、『天土』の魔法でここまでできるだなんて初めて知った。
さすがは神の力を宿す魔法。
やりたい放題である。
『神属性魔法』最高!
思わずそう叫びたくなったが、いい年をした大人が天下の公道でそんなことをしたらただの奇人なので、そんなことはしないけどね。
それと平坦にするとは言ったが、正確には道路の端が少し低くなるように角度をつけていたりする。
これは道路の端に作る予定の排水路に水を流すためである。
このように道を造ると言っても面倒なことだらけなのだ。
そうやって俺が整地工事をしている一方で。
「エリカさん。魔法で石を作りましたので、加工をお願いします」
「はい。では、行きますよ。『風刃』」
ヴィクトリアとエリカは今度は舗装に使う用の石の制作に励んでいた。
「『精霊召喚 土の精霊』」
土の精霊をヴィクトリアが呼び出し、大きな石を作らせたのを。
「『風刃』」
エリカが魔法で使いやすいように加工するという手法でやっていた。
そしてそれらの石を、工夫さんたちが頑張って敷き詰めていく。
「お前ら!気合い入れてどんどん敷いていけ!」
「はい!親方!」
そう親方さんに指揮されてどんどん道路が舗装されて行く。
その光景は、何というか、パズルのピースが埋められていくようで見ていてとても気持ちよかった。
それはホルスターたち子供組も同じようで。
「見て、見て、ホルスターちゃん。きれいにお道ができて行っているよ」
「うん、きれいだね。銀姉ちゃん」
と、二人して目をキラキラさせながら見ていた。
しかも、一日中だ。
よく飽きないなと思うが、子供って琴線に触れるようなことがあるとずっとそればかりやっているからな。
こんなものなのかもしれない。
と、まあこんな感じで舗装道路の工事は順調に進んで行くのであった。
★★★
大体三日ほどで舗装道路は完成した。
「さて、お次は農道の整備か」
ということで、次は農道の整備である。
農道は舗装道路よりは大分簡素に作る。
表面を固めて平坦にする。
それだけである。
もちろん舗装道路同様に端の方に少し傾斜をつけて排水路に水を誘導するようにするが舗装道路よりはずっと楽だ。
そんなわけでサクサクとやって行く。
「『天土』、『天土』」
次々に魔法で道を造っていく。
俺的には楽な作業だが、唯一面倒な点があるとすれば敷設すべき道の長さだろうか。
まずは村の中心部、舗装道路で街道とつながっている部分、と村人たちの集落予定地とを繋ぐ道から造って行っているのだが、これが何本もあるので何度もあちこちを行ったり来たりする羽目になったのだった。
しかも村落内には俺が造った用水路があちこちに走っているので、用水路とぶつかる度に簡易な橋を造っているので、それも面倒な作業だった。
まあ、俺には橋を造るとかはできないので、そっちは職人さんに任せている。
そのたびに整地工事が中断するのが時間を食う原因だが、俺だけ先走って進んでも道が完成したことにならないので橋の建設を手伝うことにしている。
とは言っても大したことはできないので、材料の加工を手伝うくらいである。
「『天風』、『天風』」
風の魔法で橋の材料となる木を切って行く。
それを使って職人さんが橋を組んでいく。
「えいほ、えいほ」
橋といっても幅60センチの用水路を渡るための橋なので、材料さえあればすぐにできていく。
大体数時間ほどで橋ができると道路工事の再開だ。
「『天土』、『天土』」
そしてまた道を整備していく。
単純な作業の繰り返しだった。
「ホルスト君、お弁当持ってきたよ」
工事中はそうやって俺の嫁たちが弁当を持ってきてくれたりする。
今日持ってきてくれたのはリネットだった。
弁当の中身は焼きそばパンだった。
昨日のうちに嫁たちが麺を用意し、それを使って今日作った物だった。
パンも自家製の物を使っている。
そうやって嫁たちが苦労して作ってくれている逸品なので、俺的には嫁たちの愛情が非常によく感じられて大好きなメニューだった。
「いただきます」
それを職人さんたちと一緒に食べる。
「何ですか、このパンは!めっちゃくちゃうまいっすね」
「本当!こんなおいしいものが毎日食べられるのなら死んでもいいくらいだ!」
中には、死んでもいいとかいう大袈裟なことを言うくらい喜んでいる人もいる。
まあ、焼きそばは非常においしいからな。それにこの国では非常に珍しいメニューでもある。
それに、これは旦那である俺の思い込みかもしれないが、嫁さんたちの愛情がたっぷり入っているからそれもおいしさを引き立てているのだと思う。
職人さんたちが喜ぶのも無理はないと思う。
このように一仕事した後の弁当はとてもおいしく、楽しく過ごすことができたのだった。
弁当は次の仕事のための活力になる。
「さて、次だ」
そして、弁当を食べた俺は再び仕事に臨むのだった。
ちなみに仕事が終わって帰った後、嫁さんたちに「焼きそばパン、おいしかったよ」と言うと。
「「「喜んでもらえてうれしいです~」」」
三人同時に俺に抱き着いてきた。
急に抱き着かれてちょっとだけ面食らったが、嫁たちの愛情を感じられてよかったと思う。
最高!
そう叫びたくなるほどいい一日だった。
★★★
農道の工事は一週間ほどで終わった。
ということで、道路工事も残すところあと一つである。
「さて、排水溝を掘るぞ」
道路の側面への排水溝の設置である。
これは道路工事の中で一番サクサクできた。
何せ俺たちはすでに用水路を造った経験があるからな。
あれと同じ要領でやればいい。
「粘土を作り、お水を混ぜて、こねて焼けばレンガの出来上がり」
この前の用水路工事で大分慣れたのか、ヴィクトリア何か鼻歌交じりにレンガを作っているし。
この分なら道の完成ももうすぐだと思う。
★★★
そんなこんなで三日ほどで排水溝も完成し、道路は完成した。
「さて、次はいよいよ建物を建てていくぞ!」
ということで、次の段階である建物の建設へと俺たちはステップアップするのである。
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