今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第331話~ヴィクトリアとのデートと世界創造補助ボックス~
第331話~ヴィクトリアとのデートと世界創造補助ボックス~
ヴィクトリアです。
今日はホルストさんと久しぶりにデートに行きます。
最近、訓練所での訓練や魔物退治が忙しかったので、二人きりでイチャイチャする機会が少なかったのでとても楽しみです。
「ヴィクトリア、そろそろ出かけるぞ」
「は~い」
朝、朝食を食べた後にホルストさんが誘ってきたので、その腕を取り思い切り引っ付きながら出かけます。
「『空間操作』」
家を出てしばらくすると、ホルストさんはワタクシを路地裏に引っ張り込み誰もいないのを確認すると、一気に魔法で移動します。
そして、ついた先は……。
「王都に来るのも久しぶりですね」
王都でした。前にオークションに来て以来なので久しぶりです。
「それでは行きましょう」
王都に着くなり、ワタクシはホルストさんの腕を引っ張って先導します。
え?えらい積極的だって?
そりゃあ、そうです。
だって今日のデートずっと楽しみにしていたのですもの。
張り切るに決まっているじゃないですか。
ということで、今日はワタクシがリードしてデートを成功させてみるつもりです。
★★★
一体ヴィクトリアのやつ、どれくらい食うつもりなんだ?
俺は俺の横で大盛りに盛ったアイスを食いながらディナーショーで演じられている劇を嬉しそうに見ているヴィクトリアを見ながらそんなことを考えていた。
今現在、昼のデートが終わって俺とヴィクトリアはホテルのディナーショーに来ている。
それで、二人で飯を食いながらディナーショーの劇を見ているというわけだ。
劇の内容は屋敷のメイドとの恋に落ちた貴族の跡取り息子の恋愛劇だ。
普通ならメイドと跡取り息子が駆け落ち、みたいな展開になり、そのうちに親に認められて帰宅、何て展開になりそうなものだが。
「くたばれや!クソ親爺!」
とか言いながら、いきなり跡取り息子が親と殴り合いのけんかを始めちゃう何て訳の分からない展開になっている。
「アルス様!頑張れ!」
しかも、メイドがけんかを止めるどころか跡取り息子の応援までしているし。
これはあれか!父親を亡き者にして邪魔者を消して強引に結婚、という話なのか!
一体誰だよ、こんなプロット書いた奴は!と俺は思ったのだが。
「意外にコミカルで面白いです」
と、ヴィクトリアはじめ観客には好評なようだ。
どうやら恋愛劇ではなく、コミカルな内容の劇の様だった。
おっと、話が逸れてしまった。
ヴィクトリアの食欲の話をしていたんだったな。
そんなわけで、ヴィクトリアのやつは大量のアイスを食いながら劇を楽しんでいるわけだが、こいつはアイスの前にも大量の食事を食べている。
ステーキを三枚ほどペロリと食ったし。
「ステーキは脂っこいですからね。サラダを食べて体の中を浄化しなければ」
ステーキを食うのに合わせて、サラダもがっつりと食べていた。
「炭水化物も食べないと後でお腹空きますからね」
と言いつつ、パンもかなり食った。
まあ、これだけならまだいいのだが、こいつは昼間のデートの時も食いまくっていた。
昼間のデートでは、本屋で新刊の本を買ったのと、美術館に行ったのと、王城がよく見えるという丘に行ったのとで、合計三か所ほど回った。
「オーク肉の串焼き五本ください」
「アイスください。ストロベリーとチョコレートレアチーズのトリプルで」
「チョコクレープください」
そして、行く先々の屋台で食いまくっていた。
しかも、昼飯に大食いメニューで有名な料理店に行った上でこの行状である。
ちなみに料理屋ではドカ盛りのパスタとグラタンとチキンステーキを食べていた。
正直言って、俺は内心蒼くなったね。
こんなに食ってヴィクトリアが腹を壊さないかとね。
だが、そんな俺の心配をよそにこいつはピンピンしている。
「一応、この子も神様だからね」
前にヴィクトリアのお母さんが食べ過ぎを心配した俺にそう言っていたので、そういうことなのだと思う。
まあ、いいんだけどね。
体を壊さないんだったら。
それに食いまくっているせいか、こいつの体つき、俺好みになって来たしね。
こいつ食ってもお腹とかに肉はつかずに、女性らしい部分が大きくなるんだよね。
だから俺は呆れつつもヴィクトリアが食うことに対して何も言えないのだった。
まあ、本当に食い過ぎで体調が悪くなりそうだったらその時に言えばいいし、今は事態の推移を見守ろうと思う。
★★★
ディナーショーが終わった後は、風呂に入って夫婦生活を楽しんでから寝ることにする。
ヴィクトリアが先に風呂に入ったので、俺が風呂から出た時にはヴィクトリアの方は準備が出きていて日課をこなしていた。
日課。
前にも言ったことがあると思うが、『超聖石』の作成である。
『超聖石』は聖石の上位互換の品で、魔力だけでなく神気まで溜めておけるという優れモノなのだが、結構作成が難しいらしい。
現にヴィクトリアもお母さんに超聖石を作成するための箱をもらって以来、ずっと作り続けているのに未だに完成していないからな。
一人で寝るときはもちろん、俺と一緒に寝る時も毎日こうやって一定時間箱を抱き続けているからな。
飽きやすいヴィクトリアにしてはよく頑張っていると思う。
さらに今日のヴィクトリアはもう一つ何かやっていた。
超聖石作成用の小箱を抱きかかえつつ、両手で別の小さな箱をガチャガチャと何やらいじっていた。
俺はその小さな箱に見覚えがあった。
「ヴィクトリア。お前が今いじっているその箱って、前に裏オークションで手に入れたやつじゃないか?」
「そうですよ。『世界創造補助ボックス』ですよ」
「やはりか。それで、お前は何をしているんだ?」
「使い方の練習です。お母様に『あんたも神様なんだから、これを使えるようにしておきなさい』って、言われてしまいましたので」
「そうなのか?それで、どう練習していたんだ?」
「少量の空気を作っていましたね」
空気か。まあ、そのくらいなら問題ないか。
ヴィクトリアの話を聞いて俺はそう思った。
『世界創造補助ボックス』は、神様が世界を創造する時に使う神器で、大抵のものを無尽蔵に作り出すことができるという、ある意味でとても危険なものだ。
例えば、塩を作ろうと思って世界創造補助ボックスを起動させたとする。
それで、おっちょこちょいなヴィクトリアが塩を出すのを止め忘れたとする。
すると、世界中が塩であふれてしまうという寸法なのだ。
だからヴィクトリアのようなおっちょこちょいな神様が使うと取り返しにつかないことになる可能性がある。
ということで、練習するのはいいが、お前も気をつけて使えよ。
とか、考えていたのだが。
「ホルストさん、何か変なことを考えていませんか?」
ヴィクトリアのやつに悪口を考えていたのがバレそうになった。
本当、こういう時だけこいつは勘が鋭い。
仕方ないのでごまかしておく。
「何の話だ?それより、ルームサービスでワインでも頼んで飲もうか?ここ、結構良いワインを置いているらしいから好きなの頼めよ」
「本当ですか?では、早速」
俺の提案を受けたヴィクトリアはメニューを見ながら、ワインを頼むのだった。
「「カンパ~イ」」
その後は二人でワインを楽しみ、最後は夫婦生活を夜中までじっくりとして、その日は寝るのだった。
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