今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
閑話休題47~その頃の妹 妹、兄の人気の高さに困惑する~
閑話休題47~その頃の妹 妹、兄の人気の高さに困惑する~
皆様、こんにちは。レイラです。
「ホルストさん、滅茶苦茶カッコよかったね」
「本当、あんなすごい人見たことない」
「うん、あの戦う姿はとても素敵だったね」
兄貴の家の馬の世話からから帰って来て部屋でのんびりしていると、仲間たちがそうやって兄貴のことを話し始めた。
まあ、確かにダンジョン演習の時の兄貴はカッコよかったから皆がはしゃぐのもわからないでもない。
ただ、私的には兄貴のことがそんなに好きではないので、話に加わると余計なことを言ってみんなのヒンシュクを買いそうな気がしたので黙っておくつもりだったのだが。
「ねえねえ。レイラはお兄ちゃんのことどう思っているの?」
そう私の思惑通りに行くはずもなく、マーガレットが私にも火の粉を飛ばしてきたのだった。
まあ、こうなっては仕方がないので無難に答えておくことにする。
「普通に兄貴だって思っているよ」
「普通?何それ?」
「まあ、普通の兄妹関係ってことかな。というか、ちょっと仲が悪いかもしれないね。親とお兄ちゃんの仲が良くなかったから、その影響で私もお兄ちゃんとそんなに接点を持てなかったから」
本当は悪口を言ったり、いたずらをしていたりしたけど、都合の悪いことは黙っておこう。
どうせ兄貴は身内の恥をさらすようなことは口外しないからバレないだろうし。
「へえ、そうなんだ。意外と複雑なんだね」
それでマーガレットは納得したのか、うんうん頷いている。
やった。どうやら私の思惑はうまく行ったようだった。
「でも、仲悪いと言っても、昔は一緒に遊んだりしたんじゃないの?」
今度はベラが聞いてきたので答えることにする。
「まあ、小さい頃は鬼ごっことかしたりして遊んだかな。後、一緒にお風呂入ったり、寝たりしたこともあるかな」
「一緒に風呂入って、寝た?キャー、レイラって大胆!」
「大胆て……子供の頃の話だよ。今そんなことをしたら、兄嫁たちに殺されちゃうわよ」
「わかっているよ。ちょっと茶化してみただけだよ」
一瞬兄嫁の怖い顔が浮かんできてドキッとしたがどうやら冗談だったらしい。
「「あははは」」
私とベラ、お互いに苦笑いするのだった。
「それにしても、みんなお兄ちゃんの事やたら褒めるよね。もしかしてお兄ちゃんとくっつきたいとか思っていたりする?」
「「「ううん」」」
私の質問に全員が首を横に振る。
おや?みんなの反応に私は意外な思いをするのだった。
彼女たち、曰く。
「「「そんな恐れ多い」」」
ということらしい。
「だって、レイラのお兄ちゃんって人気者過ぎて、私たちじゃ不釣り合いすぎるよ。私たちは人気俳優さんとかそういうのに対するような憧れの目で見ているだけだよ」
「へえ、お兄ちゃんってそんなに人気なんだ?」
「そうだよお。知らないのはレイラだけだよ」
そう言うと、フレデリカは兄貴がどう人気なのか話してくれた。
「ホルストさんってノースフォートレス中の女冒険者の憧れの的なんだよ。何せホルストさんって、背が高くて強くて優しくて、おまけにお金持ちじゃない。女の子にモテる要素だらけだよ。だから、ホルストさんに抱かれたいって思っている女冒険者は多くて、中には結構アピールしている人も多いんだよ」
「あのお兄ちゃんがねえ。ちょっと信じられないなあ。お兄ちゃんの周りで奥さんたち以外の女の影なんて見たことないし。あっ!お兄ちゃんって割と朴念仁だから、女の人の気持ちには気付かないかもね」
「それもあるけど、奥さんたちのガードがすごいらしいよ。常に誰か一人は側にいて、誰かがホルストさんを誘惑しようとするとすぐに割って入ってくるから、誰もアプローチに成功しないんだって」
「そうなんだ」
まあ、あの兄嫁たちは兄貴のことを非常に愛しているみたいだからそうなのかなと私は思った。
「後、レイラのお兄ちゃんって男の冒険者にも人気なんだよ」
今度はベラが私に教えてくれる。
「ほら、ホルストさんってあちこちで大物の魔物を討伐してはここで換金するじゃない。それで大物の魔物って珍しいから大商人が集まって競い合って買っていくでしょ?そういう大商人がここへ来たついでに他の冒険者の商品も高く買って行ってくれるの。だからこの町の冒険者たちは他の町の冒険者たちよりも実入りがいいの。だから、ホルストさん大人気なの」
「へえ、そういう仕組みになっているんだ」
「後、ホルストさんって大規模な魔物との戦闘に参加しているからそこでホルストさんに命を救われて感謝している人も多いね。それに、後輩たちの面倒見もいいから、大規模訓練場なんかでホルストさんに教えてもらった人は今でもアドバイスしてもらったりなんかして、非常に助かっているんだって」
「ふーん」
フレデリカとベラの説明を聞いて私は困惑した。
だってそうでしょう?
兄貴がこんなに人気者だなんて思っていなかったんだもん。
女からも男からもモテモテじゃん。
正直羨ましいと思う。
私なんて兄貴みたいに異性にモテたことはないし、友達だってそんなに多くない。
この町で友達と言えるのは、目の前のフレデリカたちと大規模訓練場で知り合った魔法使いの子たちが数名位だ。
だから兄貴がみんなから敬われて楽しそうにやっているのを聞いて心にモヤモヤした感情が浮かんでくる。
同じ親の血を引いた兄妹なのにどうして私はこんなにも兄貴と差をつけられてしまったのだろうと。
昔は、兄貴が魔法を使えなかった頃は、私の方が立場が上だったのに。
それが今や立場が完全に逆転してしまった。
正直悔しくてたまらない。
見ていなさい、兄貴。
私もいつか大活躍して、兄貴を超えるような人気者になって見返してやるんだから!
そして、兄貴なんか目じゃない素敵な男の人と結婚して、その幸せな姿を兄貴に見せつけてやるんだから。
覚悟なさい!お兄ちゃん!
フレデリカたちの話を聞いて私はあらためてそう誓うのだった。
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これにて第14章終了です。
ここまで読んでいただいて、気にっていただけた方、続きが気になる方は、フォロー、レビュー(★)、応援コメント(♥)など入れていただくと、作者のモチベーションが上がるので、よろしくお願いします。
それでは、これからも頑張って執筆してまいりますので、応援よろしくお願いします。
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