今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第307話~大規模訓練場の新設備 いつの間にかこの訓練場も立派になったものだな~
第307話~大規模訓練場の新設備 いつの間にかこの訓練場も立派になったものだな~
冒険者ギルドを出た俺たちは大規模訓練場へ来た。
「お、何か建物がでかくなっている」
大規模訓練場の敷地に入り建物を眺めると、建物が増築され少し大きくなっていた。
寮と魔法使い用の訓練施設を増やしたということでその分大きくなったということなのだと思う。
「建物少し大きくなっているだろう?どう思う?」
「いいんじゃないですかねえ。何と言うか、順調に発展しているという感じで」
「そうかい?ホルスト殿にそう言ってもらえると嬉しいな」
そう言うダンパさんはとてもニコニコ顔だった。
俺に褒められてとてもうれしかったのだと思う。
「さて、それでは早速中を案内して行こうかね」
「ええ、お願いします」
俺はダンパさんに案内されながら建物の中に入って行く。
★★★
「ふーん、ここが新しい寮ですか」
まずダンパさんが案内してくれたのは増築された寮だった。
既に使用されている部屋が大半なので見せてもらったのは予備として空けている部屋だった。
「へえ結構いい感じですね」
見せてもらった部屋は出来立てということもあってまだ木の香りが強く残っていた。
新築、いや増築感がよく出ていていい部屋だと思った。
部屋を見渡すと二段ベッドが2つあり、4人部屋だった。
机はスペースの関係上二つしかなかったが、ベッドの上でも書き物ができるための配慮だろう、小さな文机ふみづくえが2つ置いてあるので、その気なら全員が勉強することができた。
まあ基本ここの訓練は体を鍛えるのが基本なのでそう活躍する機会はないだろうが、それでも魔物の生態や魔法について勉強する冒険者もいるので、そういう人には大いに役立つと思う。
「他の部屋もこんな感じなのですか?」
「うん、どこの部屋も同じような感じになるようにしているよ」
「これなら見習い冒険者の部屋としては十分ですね。寝るスペースもちゃんとあるし、勉強もしようと思えばできる。これで家賃無料で、しかもここで修業させてもらえるとか、初心者冒険者にとってはこの上ないことですね」
「ホルスト殿にそんなに褒めてもらえると嬉しいな」
俺に褒められてうれしいのか、ダンパさんは終始ニコニコ顔だった。
建物の入り口のところからずっとこうだから、今日はずっとこんな感じじゃないかという予感がする。
「それでは、次に行こうか」
さて、寮も一通り見たことだし次へ行こうと思う。
★★★
「何でも好きなものを頼んでくれ」
寮の区画を離れた後は次の場所に行くつもりだったのだが、その前に食堂に行くことになった。
それでダンパさんがおごってくれるというので何か食べることにした。
正直な話をすると、さっきフォックスと話をするときに軽く飲み食いしたので腹はそんなに空いていない。
それでも折角の申し出を断るのも悪いので軽く食べることにして、メニューを眺めてみる。すると。
「おや、またメニューが増えているな」
メニューを確認すると以前よりも増えていた。
「ああ、以前よりも多くの場所から初心者の子が集まってくるようになったからね。そういう子たちに故郷の味を食べさせてあげたくてね。メニューを増やしたんだよ」
ダンパさん曰く、そういうことらしかった。
うん、何というかヴィクトリアだったら喜びそうだ。
絶対毎日通い詰めるに違いない。あげく。
「ふふふ。ようやく全メニューを制覇しましたよ」
とか、やりそうだった。
そういえば最近忙しくてここの訓練の様子を見に来てなかったから、今度様子を見に来た時にでもヴィクトリアに食べさせてやれば喜ぶかもしれない。
うん、是非今度来よう。
俺はそうすることに決めるのだった。
それはそれとして、軽く食べるつもりで俺はサンドイッチのセットを注文したのだが。
「これ凄い量ですね」
俺が頼んだサンドイッチの量はすごかった。
パンは厚くて具も多い。これが4切れもある。
これだけで普通に腹がいっぱいになりそうな量だった。
ヴィクトリアだったら大喜びしそうだが、腹が減っていない今はきつい。
しかもこのサンドイッチが銅貨3枚とかなり安い。
これなら金の無い初心者冒険者たちも大喜びだろう。
そう思ってその点をダンパさんに言うと。
「そうだろう。それがここの売りだからね」
とのことだった。
味も悪くなかったのでおいしく食べられたのだが、さすがに食いきれず、
「お持ち帰りで」
と、最後は包んでもらって持って帰った。
後でヴィクトリアにやったら、
「とってもおいしいです」
そう喜んでいたので、俺としてもうれしかった。
さて休憩もしたことだし、次の場所へ行くことにしよう。
★★★
食堂で休憩した後は今回の改修の目玉である魔法使い用の訓練施設に来た。
「ほう、これは中々ですね」
見せてもらった魔法使い用の練習設備は中々立派なものだった。
「これは魔法の結界が張ってあるのですか?」
「そうなんだ。これがここのメインの設備さ。これならそんなに場所がとれないここでも安全に魔法の練習ができるだろう?」
「確かにそうですね」
ダンパさんの言う通りだった。
この魔法の結界は闘技場とかにも使用されている強力なやつで、初心者魔法使いの魔法が暴走したくらいではびくともしなかった。
ただ、これは結構な高級品のはずだ。
「この結界良いお値段だったでしょう。思い切りましたね」
「うん、そうなんだ。何せヒッグス家の魔道具工房に頼んだ特注品だからね。家が一軒建つくらいのお金を使ったよ」
ダンパさんが笑いながらそう答えてくれたが、その笑いは苦笑いのように感じられた。
まあ、そのくらい高かったのだと思う。
というか、ヒッグス家の魔道具工房?
あそこ、こんなのも作っていったのか。
本当に手広く商売をやっているんだなと、改めて感心するのだった。
★★★
さて、一通り施設の見学も終わったので俺たちは帰路に就くことになった。
その道すがらダンパさんがこんなことを話してくれた。
「そうそう、今度講習会のメニューを少し変えることにしたんだ」
「ほう、どう変えるのですか?」
「ほら、最近ダンジョンが増えてダンジョン挑む冒険者が増えただろう?だから初心者の子たちにもダンジョン探索を経験させられるような授業をしようと考えているんだ」
「へえ、それはいいんじゃないですかね」
確かにそれはいいことだと思う。
ダンジョンという所は危険な場所だがきちんと対応策を知っておけば危険を減らすことのできる場所である。
初心者の内からそういうことを教えておくのは確かに有益だと思う。
ただこの話をしただけで終わらないのがダンパさんである。
「そうだろう?いい考えだろう?そこでホルスト殿に一つお願いがあるんだけど」
「何でしょうか?」
「そのダンジョンの授業の監修をしてくれないかなあ」
「え?俺がですか」
と、そんな具合にうまい事頼みごとをされてしまったのだ。
その後しばらく話しあった結果。
「わかりました。引き受けます」
ギルドの依頼ということで引き受けることになってしまったのであった。
なお家に帰って嫁たちにこのことを報告すると。
「「「いいですね。ぜひやりましょう」」」
そう全員が乗り気だったので、俺も気合を入れて臨むことにしたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます