今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
閑話休題44~その頃の妹 さあ新パーティーを結成して、訓練を始めるぞ!~
閑話休題44~その頃の妹 さあ新パーティーを結成して、訓練を始めるぞ!~
兄貴の側室のSランク昇進式へ行ってから数日後。
「マーガレットといいます。よろしくお願いします」
「ベラです。よろしく」
「「よろしくお願いします」」
私とフレデリカの部屋に同居人が増えた。
一人はマーガレットという子でタンク職の戦士だ。
武装は銅の剣に革の鎧、皮の盾とタンク職らしいものをそろえている。
結構筋肉質のガタイのいい体つきをしている上に背も普通の男より高いくらいはあった。
栗色の髪に強いウェーブを当てた髪型をしていて、顔の造形もかわいらしい子だった。
一方のベラの方は槍使いだ。
青銅製の槍に革鎧という槍使いらしい装備であるが、一応予備としてショートソードも身に着けている。
ベラの方は青く長い髪を首のところで一本に結んで背中に垂らした髪型をしている。
動きの激しい槍使いらしい機能的な髪形である。
ベラの方もマーガレット同様端正な顔立ちをしていてとてもかわいらしいと思う。
さて、お互いに挨拶が終わった後はみんなで訓練所の食堂へ行きご飯を食べることにした。
その席で私は二人に聞いてみた。
「ねえ、マーガレットとベラって他にパーティーメンバーがいたりするの?」
「いいや、私もベラも同じ村の出身で今度ノースフォートレスの町へ出てきたところなんだ。だからまだパーティーとかは決まっていないんだ」
「そうなんだ。それじゃあ私とフレデリカのパーティーに入らない?『乙女浪漫隊』っていうパーティーなんだけど」
「『乙女浪漫隊』?かわいらしい名前のパーティーだね。ここで同室になったのも何かの縁だと思うし、他に当ても無いから私はいいよ。ベラはどうする?」
「私もマーガレットが入るのなら入ってもいいよ」
「本当?それじゃあ決まりね。この後一緒にパーティー結成届を出しに行こう」
ということで、私たちのパーティーに新しいメンバーが加わったのだった。
★★★
「ねえ、講習会が始まる前に何か依頼を受けてみようよ」
パーティーを結成した翌日、マーガレットがそんなことを言い始めた。
それを聞いて私を始め他のメンバーもいいんじゃないのって顔をしている。
というのも、訓練開始までまだ時間があって暇だったからである。
だから私はこう言った。
「私は賛成よ。みんなは?」
「私はいいと思うよ。訓練前に資金を稼げるのならそっちの方がいいし」
「私も暇だから少し体を動かしたいと思っていたからいいよ」
フレデリカとベラも賛成してくれた。
これで決まりだ。
「それじゃあ、ギルドに行ってみようか」
全員の意見が一致したので一緒に冒険者ギルドへ行ってみることにした。
★★★
「それじゃあ私とベラが周囲を警戒しているから、レイラとフレデリカはその間に薬草を回収するということで」
「「「了解~」」」
4人で相談した結果、そういう配置で今回の仕事をこなすことが決まったのでそれで行くことになった。
今の会話でもわかるように今回の仕事は薬草の回収だ。
『発火草』という気付け薬を作る時に使う薬草だ。
この成分を含む気付け薬を飲むと、気を失っている人物が一瞬で目を覚ますという中々に有用な薬の原料になるのだ。
ただ入手は多少面倒でこうして森の奥に生えているのを取りに来る必要があるのだ。
今回の報酬は銀貨3枚なので4人で割ると一人当たり銀貨1枚にちょっとと足りないくらいの稼ぎという計算になる。
訓練開始前にやる仕事としては悪くない部類だと思う。
ただ、この依頼には一つ問題があった。
「みんな、敵が来たよ」
マーガレットの警告で皆が一斉に武器を取り身構える。
そうこの『発火草』の群生地には魔物が出現する可能性が高いのだった。
だからこそこうして冒険者に採集の依頼が来るというわけなのだが。
さて、敵が出てきたことだしさっさと蹴散らすことにしよう。
★★★
「敵はオークが一匹にゴブリンが五匹か」
私はこちらに走りながら近づいてくる敵を見ながらそう呟いた。
全部で6匹。そんなに大した数ではないがオークがいるのだけが厄介だった。
「マーガレットにベラ。私とフレデリカが魔法と弓でゴブリンを片付けるからその間オークを防いでいて!」
「「オッケー!!」」
私がそう言った作戦を提案すると二人は二つ返事で引き受けてくれた。
というか、作戦的には標準的なものなのでこれ以上の作戦案は二人にもないので乗って来たのだと思う。
「「行くぜ!!」」
マーガレットとベラの二人が前に出て、武器を構える。
その隙に私とフレデリカの二人が攻撃する。
「エイ、ヤー」
まずフレデリカが気合を込めて矢を放つ。
ビュッと矢は勢いよく飛んでいき、グサッとゴブリンの眉間を貫く。
「グヘ」
と短い悲鳴を残してゴブリンは倒れる。
「『風刃』」
続けて私が魔法を放つ。立て続けに放った二発の魔法がゴブリンに襲い掛かる。
「へ?」
「は?」
魔法を受けたゴブリンたちの首が空中に舞う。
これで残り二匹。
「エーイ」
さらにそこでフレデリカが矢を放て一匹仕留め、
「『風刃』」
残りの一匹も私が魔法で葬り去る。
これで残りはオーク一匹。
そう思った私はマーガレットとベラの方を見る。
★★★
「くっ」
「強い!さすがオーク」
マーガレットとベラはオークに苦戦していた。
まあ二人とも冒険者になりたてだ。
オーク相手には少々荷が重いのだと思う。
「フレデリカ!」
「了解!」
フレデリカがオークに牽制の矢を放つ。
しかし、そこはオーク。
「ウガ」
軽く手を払っただけで矢を弾き飛ばしてしまった。
どうも私以外の三人の攻撃では未熟過ぎてオークを倒すのは無理らしかった。
となると私の魔法しかない。
「フレデリカ、私の魔法の準備ができたら合図するから、そうしたら二人に声をかけて退避させて。後、目くらましのために矢を放って牽制して」
「オッケー、任せて!」
フレデリカに指示を出したところで私はすぐに意識を魔法に集中する。
30秒後。
「フレデリカ!」
「マーガレット、ベラ!オークから離れて!」
フレデリカがそう言い放つと同時にオークに矢を放つ。
フレデリカも時間をかけて狙いを定めていたのだろう。
矢はまっすぐオークの顔面目掛けて飛んでいく。
「グッ」
オークが必死で矢を払う。
「「今だ!!」」
その隙にマーガレットとベラがオークから離れる。
「『火球』」
そこへ私の魔法が炸裂する。
「グギャアアアア」
魔法が直撃したオークはたちまち炎に包まれ、黒焦げになっていく。
さすが私が集中して放った魔法だ!オークを黒焦げにするとはすごい!
「やるじゃん!」
「レイラ、凄いよ!」
マーガレットとベラが私に寄って来て褒めたたえてくれる。
二人に褒められた私はうれしくてニッコリとする。
こんなに人に褒めてもらえたのはいつぶりだろうか。
そう思うと嬉しさが止まらなかった。
ただ、私が喜んでいられたのはここまでだった。
「キャー!火事よ!」
フレデリカの叫び声が聞こえる。
見るとオークを焼き殺した火が木に引火し火事になりそうになっていた。
「ああ、大変。早く消さなくちゃ」
その後、私は燃え広がりそうになった火を消すのに一苦労する羽目になったのであった。
★★★
「「「「カンパ~イ!!!!」」」」
依頼を達成して帰った後は皆で飲み会をした。
意外なことにマーガレットもベラもいける口で4人で一緒に飲みまくった。
「しかし、オークは売れなかったね。まあ森に延焼しそうなくらい燃えちゃったから売り物にならないよね」
「うん、ちょっと魔力を込め過ぎたわ。その上、あのオーク太ってて脂がのってたからよく燃えたのよ。おかげで『水球生成』の魔法を何回も使う羽目になっちゃった」
「仕方ないよ。オーク手強かったし。レイラが倒してくれなかったら私もベラも危なかったし」
「そうそう、助かったよ」
依頼の方は何とか達成して報酬はもらえたのだがオークは金にならなかった。
まあ命優先だからこれは仕方がない。
ということで、皆で飲んで楽しくすることにしたのだった。
本当に楽しかった。
おかげで今日の依頼達成で得た報酬はすっからかんになり、挙句。
「もう飲めない」
「うげえ」
「気持ち悪い」
「完全に飲み過ぎた」
4人仲良く翌日は二日酔いで苦しむ羽目になったのであった。
ああ、私って本当つくづく反省しない人間だな。
そう身に染みた一日だった。
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