今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第268話~魔物の村攻略戦 前編 ベースキャンプを設置して、新人たちに偵察のノウハウを教え込む~
第268話~魔物の村攻略戦 前編 ベースキャンプを設置して、新人たちに偵察のノウハウを教え込む~
魔物の村の近くまで来た俺たちは早速行動を開始する。
まずは安全な宿営地の確保から始める。
「手筈通り騎士団の奴らは白薔薇魔法団の子たちに『姿隠し』の魔法をかけてもらって周囲の地形を確認して馬車が安全に過ごせる場所を探してこい」
「はは!」
俺のその指示で早速全員が動き始める。
「『姿隠し』」
白薔薇魔法団の子たちに次々に魔法をかけてもらった騎士団の子たちが次々に出発して行く。
「無理はするなよ。敵を見つけても近づいたりせず、すぐに離れろよ」
「はい」
出発際に俺がそうやってアドバイスをしてやると、騎士団の子たちは素直に頷き馬車から離れていく。
とても素直でよろしい。
俺は彼らを温かく見守りながら報告を待つのだった。
★★★
1時間後。
探索へ行っていた騎士団の子たちが次々に帰還してきた。
「この位置で魔物の部隊と遭遇しました」
「この辺は岩が多くて、馬車を隠すのにはぴったりの場所だと思います」
「ふむふむ」
俺は騎士団の子たちの報告を聞いて、その結果を地図に書き込んでいく。
その地図を見て検討した結果。
「よし!この辺りの岩陰にキャンプを張るぞ!」
宿営地の設置場所を決定する。
「早速移動するぞ!」
場所が決まったら早速行動開始だ。
「『遮音』」
白薔薇魔法団の子たちが音を消す魔法をかけて移動する。
20分ほど移動すると目的地に着いた。
「早速宿営地を設置しろ!」
「はい」
俺の指示で全員が宿営地の設置にかかる。
以前エリカのお父さんに軍の若い連中の訓練を頼まれた時にも似たような指示をした事があったが、今回のメンバーはあの時よりもずっと若く新人ばかりだ。
当然キャンプの設営も下手糞なわけで、俺の見る限りでも設営に時間がかかっているように感じられた。
「おい、皆、行くぞ!」
「「「はい」」」
ということで、俺と嫁たちでアドバイスしてやることにする。
「テントを張る時はちゃんと広げてからじゃらないとダメだぞ」
「テントを張る場所は木の下とか日が直接当たらない所がいいですよ」
「結界石を設置する時は、ちゃんと魔力の残量を確認してからですよ。寝ている最中に効果が切れたら最悪ですからね」
「警鈴は手を抜かずに設置してね。設置し忘れたりするとそっちから攻撃された時に気が付けないから」
等々、アドバイスをしてやると新人の子たちでも何とか宿営地を設置できたのだった。
それで、拠点を設置した後は飯の準備だ。
「飯を作る係りの者はさっさと材料を切れ。火を起こす係りの者はさっさと火を起こせ!後、馬に餌と水をちゃんとやれよ。各自各々の役目を果たせ!」
「はい」
俺の指示を受けて新人たちが飯の準備を始める。
「材料はなるべく大きさをそろえて切るのですよ」
「はい、エリカ先輩」
まず、白薔薇魔法団の子たちが一斉に材料を切り出す。
今日は野戦食なので、携帯用の黒パンに干し肉の炙ったのと、スープと最初からメニューは決まっている。
それで一番時間のかかるスープの材料から切っているわけだ。
エリカに指示された白薔薇騎士団の子たちは手際よく材料を切っていく。
中々いい手つきだ。
次々とジャガイモやその他野菜の皮が剥かれて行き、今夜のおかずになっていく。
その一方で、騎士団の奴らは火を起こすのにアップアップしていた。
「ほらほら。もっとちゃんと風を遮断してからじゃないと、火は点かないよ。後、種火は決して消すんじゃないよ。万が一でも消したら、罰として腕立て100回だよ」
「はい」
こっちはリネットが中心となって指導している。
実際、火を起こすのって思ったよりも難しいからな。
俺も最初できなかったし。
もっとも、魔法使いがいれば簡単に火を起こせるが今回は禁止だ。
騎士団の場合、魔法使いなしで行軍することも多いので魔法なしでもちゃんと火を起こせるようになってないといけないからだ。
だから今回は自力でやってもらっている。何事も練習あるのみだ。
後、リネットが種火云々言っているのは、それが一番大事なことだからだ。
万が一種火を喪失すれば本当の意味で一から火を起こさなければならないからな。
旅をする場合、それは是が非でも避けなければならない行為だからな。
だから罰則を設けてまで大事にする必要があるのだった。
そうやって火を起こすのに苦労する騎士団の子がいる一方で、残りの奴らは馬たちの餌やりに一生懸命だ。
マジックバックから餌や水を取り出して、馬の前まで一生懸命運んで行っている。
火起こしよりは簡単な作業だが、餌や水は重量があるので運ぶのは思ったより大変そうだ。
まあ軍馬の世話は騎士団でも大事な仕事だからな。
ここは一生懸命頑張ってもらって、やり方を体得してもらうことにする。
と、まあこんな感じで拠点での作業は順調に進んで行った。
★★★
「よし、行くぞ!」
「はい」
飯を食った後、夜のとばりが大分降りた頃、俺とリネットは騎士団の子たちと共に夜間偵察に出た。
「『姿隠し』」
白薔薇魔法団の子たちに魔法をかけてもらった上で出発する。
目的地の村には全力で駆けて行く。
というのも、『姿隠し』の魔法には制限時間があるからだ。
一応『姿隠し』の魔法の効果を延長できる魔道具を身に着けているので、3時間ぐらいは大丈夫だと思うが、逆に言えば3時間で作業を終えないといけないので、とにかく急いだ。
15分ほどで目的地の村へたどり着くと侵入を試みる。
一応村の周囲には柵が張り巡らせられてはいたが、簡易なもので、簡単によじ登れる程度のものだった。
「急げ!」
俺が指示を出し全員で一斉に柵をよじ登って侵入に成功する。
「よし、手筈通りにやれ!」
「はい」
侵入に成功した後は、打ち合わせ通りに何組かに分かれて村の中を探索する。
俺も2名ほど騎士団の子を連れて魔物の住居となっている洞窟へと向かう。
「お、あれだな」
お目当ての洞窟はすぐに見つかった。
洞窟は村の中でも山に面した場所にあった。
全部で20くらいの洞窟があり、洞窟の前の方には見張り当番らしい魔物たちがうろうろしていた。
「いいか。俺が指示するからその通りにメモを取れ!」
俺は騎士団の子たちに指示をしてメモを取らせる。
もちろん、偵察任務の訓練のためだ。
入りたての子にやらせると、たいていの場合、どうでもいい事ばかりメモして、必要なことが書かれていなかったりするものだ。
だから俺が監修することによって、そのあたりのコツを身に着けさせるつもりだ。
「よし、次だ!」
洞窟に関しての調査が終わったので俺たちは次の調査に行く。
俺たちの次の調査対象は柵の内側の魔物たちの弓隊が潜んで攻撃してきそうな場所の特定だ。
集団戦では弓は脅威となることが多い武器だ。
ということで、その脅威を排除するためにあらかじめ弓隊が外に対して攻撃しやすい場所に目星をつけ、俺たちが攻撃する際に真っ先に潰す気だった。
「よし、こんなものか」
外周を2,3周回って調査を終えた俺たちは最初の場所へ戻る。
「やあ、帰って来たね」
最初の場所に帰るとすでにリネットたちが調査を終えて帰って来ていた。
なのでさっさと脱出することにする。
「さっさと、登れ」
再び村の柵をよじ登って外へ出た俺たちは、一目散に俺たちのベースキャンプ目掛けて疾走する。
その道中、俺は思う。
さて、準備は整った。後は魔物を始末するだけだ。
ご期待あれ。
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