第203話~神命を果たすために行動する時がやって来た!さあ、エルフの国へ向けて出発するぞ!でも、その前に色々準備だ!~

 大分暖かくなってきた。

 春は間もなくである。


 ということで、俺たちは家族会議を開いた。


「さて、俺としては予定通りそろそろ北にあるというエルフの国へ向かいたいと思うのだが」

「そうですね。大分暖かくなりましたし、頃合いだと思いますよ」

「ワタクシも行ったらいいと思いますよ」

「アタシも賛成だな。そろそろアリスタ様の御用をしないとね」

「銀も行ったらいいと思います」


 どうやら全員賛成なようなので、その方針で行くことにした。

 その日、その後は、雑談交じりにい嫁たちと話しながら今後の方針について話した。


 割と有意義な会議ができたので、よかったと思う。


★★★


 次の日。


「エリカ、行こうか」

「はい、旦那様」


 俺はエリカとホルスターを伴って、エリカの実家へ向かった。


「みんな、よく来たわね」


 実家に行くと、エリカのお母さんが満面の笑みで出迎えてくれた。

 お母さんは俺たちに挨拶すると、すぐにホルスターに抱き着いてくる。


「ホルスター君、ホルスター君」


 そうやって、ずっとホルスターをなでなでしている。


 多分、最近忙しくてこっちへ来れてなかったので、久しぶりにホルスターに会えてうれしいのだと思う。

 お母さんがひとしきりホルスターをかわいがったところで、エリカが言う。


「お母様。そろそろ居間へでも行って落ち着きませんか。ここでは寒いので、ホルスターが風邪でもひいたら大変ですし。暖かいところでゆっくりしましょう」

「そうね。そうしましょうか。ホルスター君。おばあちゃんとお手手を繋いで行きましょうか」

「はい、おばあ様」


 ということで、お母さんはホルスターの手を引いてすたすたとリビングへ向かうのだった。

 俺とエリカはその二人の後姿を見て、ふふふと、ほほ笑むのだった。


★★★


「それで、お義父さん。頼みがあるのですが」

「何だい?何でも言ってみなさい」


 リビングでエリカのお母さんがホルスターと楽しく遊んでいるのを眺めていると、エリカのお父さんがやって来た。


「お久しぶりです」


 俺はお父さんにそう挨拶すると、早速用件を切り出した。


「実は、俺たち今度北のエルフの国へ行こうと思います」

「ほう、エルフの国かね」

「はい。それで、ヒッグス家の支店てエルフの国にもあるとうかがいまして、できたら支援をお願いできないかと思いまして、こうして参ったわけです」

「いいよ。例のアリスタ様の件で行くんだろ?好きに使いなさい」


 俺の頼みをお父さんはあっさりと了承してくれた。


「それともう一つ。旅に出ている間、またホルスターを預かっていただきたいのですが。お願いできるでしょうか」

「もちろんだよ」


 今度もお父さんはあっさりと了承したが、その顔は先ほどよりも嬉しそうだった。


「いつも、何かあるたびに預けてすみません」

「いや、全然気にすることはないよ。僕も妻もホルスターと遊ぶのは楽しいんだ。だから、何かあったら、いや、何かなくても遊びに来させなさい」

「そうします」


 ということで、お父さんとの話し合いは終わった。

 すぐにでもエルフの国の支社に連絡して、俺たちに協力するように手配してくれるという。


 話し合いが終わった後は、お母さんとエリカ、ホルスターも交えて楽しく食事をし、夕方ごろ家に帰るのだった。


★★★


 その次の日、家族全員でエルフの国へ行くための準備として買い物に出かけた。

 最初に行ったのはギルドの武器屋だ。


「銀ちゃんもそろそろちゃんとした防具を装備しないといけませんね」


 そう言いながら、嫁ズ3人で銀用の魔法使いのローブを選んでやっている。


「この黒いのとか、良くないですか?」

「いや、それでしたら、この白いのとかは」

「いや、ここは子供らしく、この薄いピンクのやつがいいんじゃないか」


 嫁3人であれやこれやと話し合い、銀に何度も試着させていた。

 着替えさせられるたびに銀は照れくさそうにしていた。

 子供らしいしぐさでとても愛らしいと思った。


 ただ、一つ思うことがある。

 ちょっとはしゃぎ過ぎでうるさいかな。

 たまたま店に他に客がいないのであまり他人に迷惑が掛かっていないというのは幸いだが、ちょっとうるさい。


 俺は店主に謝る。


「すみませんね。うちの嫁たちが騒がしくしてしまって」

「いや、構いませんよ。納得いくまで選んでいただける方が、私どもとしてもうれしいです」

「そう言っていただけると助かります」


 俺は優しい店主に感謝した。

 そうこうしているうちに、嫁たちの方も終わったみたいだ。


「どうですか」


 そう言いながら、ヴィクトリアが銀を連れて来る。


「銀姉ちゃん、かわいい」


 出てくるなり、ホルスターが銀を褒めた。


「そうかな?」


 ホルスターに褒められた銀は照れくさそうに頬を赤くした。


 銀の格好は薄いピンクのローブだった。

 魔法使い用の物なのでそれなりに防御力もあると思う。


 本当なら俺たちが所有しているドラゴンの皮やベヒモスの皮でローブを作ってやりたいところだが、あれは子供が着るには少々重いし、すぐにはできないので、今回はこれでいいと思う。


「結構いいじゃないか」


 もちろん俺も銀のことを褒めておく。


 さて、ここでの買い物は終わりだ。

 次へ行くことにする。


★★★


 ギルドの武器屋での買い物が終わった後は、雑貨やポーション、食料品を買い、昼飯を食べた。

 そして、そのまま冒険者ギルドへ向かう。


「あら、ホルスト様。こんにちは」


 俺たちの姿を見て、ギルドの受付の女の子が声をかけてくれる。

 俺たちは受付に移動し、女の子に声をかける。


「実は今度北のエルフの国へ行くんだけど、何かそっちの方に仕事はないかな」

「エルフの国ですか?ちょっと待ってくださいね」


 そう言うと、女の子は席を立ち、仕事を探しに行ってくれる。

 しばらくすると戻ってきて、


「エルフの国との境の町であるエルフガーデンの町への荷運びの仕事がありますね」


そう教えてくれた。


「みんな、どうする?」


 俺は嫁ズに相談する。


「いいと思いますよ」

「いいんじゃないですか」

「他にないんならそれでいいと思うよ」


 どうやら、全員賛成の様だ。


「それでは、お願いします」


 ということで、受付の女の子に手続きを頼み、俺たちは家へと帰った。


★★★


 数日後。


 俺たちはノースフォートレスの町の北の正門から旅立った。

 ホルスターは昨日のうちにエリカの両親の所に預けてきた。


「ちゃんと、おじい様とおばあ様の言うことを聞いて、いい子にしているのよ」

「うん、大丈夫だよ。ママ、パパ、行ってらっしゃい」


 そうやって預けてきた。


 もっともドワーフの国へ行った時と同じように、時々は『空間操作』の魔法でエリカの実家へ行くつもりだし、たまには銀もエリカの実家に預けてホルスターと遊ばせるつもりなので、そんなに寂しい思いをすることはないと思う。


「さて、それじゃあ、ひとまず北の関所へ向けていくぞ」

「「「「はい」」」」


 こうして俺たちはエルフの国へ向けて旅立ったのだった。

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