今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第200話~ホルスターの誕生日パーティー 前編~
第200話~ホルスターの誕生日パーティー 前編~
息子のホルスターの誕生日が近くなったので、俺とエリカは誕生日のパーティーを開いてやろうと画策した。
「昨年は家族だけで家の中で慎ましいパーティーをしましたけど、今年は、私の父や母も招待しないわけにはいきませんし、いかがいたしましょうか」
エリカがいかにも悩ましげな顔で俺に相談してくる。
そうなのだ。
今年はエリカのお父さんたちも呼ばなければならないのだ。
そうなると、家の中でというわけにもいかず、どこか広い場所を借りなければならなかった。
さて、どこを借りて、どのようなパーティーにしようか。
俺とエリカが悩んでいると。
「ホルスト君、話があるんだが」
突然、エリカのお父さんから連絡が来た。
「お義父さん。何でしょうか」
「そろそろ、ホルスターの誕生日だろう?だったら、うちでパーティーを開きたいんだが」
何の話だと思って聞いてみると、どうもエリカのお父さんは、自分の手でホルスターの誕生日パーティーを開いてやりたいみたいだった。
「いや、お義父さん。そこまでしていただくわけには」
「そんな風に遠慮することはないんだよ。ホルスターはかわいい孫だからね。僕もおじいちゃんとして何かしてやりたいんだよ。だから、ここは僕に任せてくれないか」
最初俺は断ろうと思ったが、エリカのお父さんは有無を言わせぬ雰囲気を漂わせながらそう言ってきた。
よほど、孫の誕生日パーティーを開きたいのだと思った。
一応エリカに確認すると。
「いいではありませんか。父もホルスターのことがかわいくてたまらないのでしょう。そこまで言うのなら、やりたいようにやらせてあげればいいと思います」
そんな風にエリカも賛成みたいだったので、俺はお父さんにこう返事した。
「わかりました。よろしくお願いします」
「任せておきなさい」
ということで、ホルスターの誕生日パーティーはエリカのお父さんが開いてくれる事になったのだった。
★★★
ホルスターの誕生日パーティーは、ヒッグスタウンのヒッグス家の屋敷で開催されることになった。
それに備えて、うちの家族は前日からヒッグス家の屋敷に泊まることになった。
ヒッグスタウンの近くまで『空間操作』の魔法で飛び、そこからパトリックに馬車を引かせてヒッグス家の屋敷へ赴く。
「こんにちは」
「やあ、よく来たね」
すると、エリカのお父さんとお母さんがとてもうれしそうな顔で出迎えてくれた。
「おじい様、おばあ様、こんにちは」
久しぶりにじいちゃんばあちゃんに会えてうれしいのだろう。
ホルスターが前に出て挨拶すると。
「あら、ホルスターちゃん、こんにちは。おばあちゃん、しばらくホルスターちゃんに会えなくて寂しかったわ」
そう言いながら、エリカのお母さんがホルスターを抱きかかえ、頭をなでなでするのだった。
エリカのお父さんたちとあいさつした後は、そのまま屋敷の中へ移動する。
「その荷物は、会場へ運びなさい」
「はい」
「そっちの班は会場の設営、こっちはもうすぐ業者が来るはずなので、食材の搬入を手伝いなさい」
「畏まりました」
屋敷の中に入ると、明日のパーティーに備えてだろう、屋敷の使用人たちが忙しそうに駆けずり回っていた。
それらの人たちを横目に見ながら進んでいくと、
「皆様、お久しぶりですね」
エリカのお兄さんの奥さんであるヘレンさんが、屋敷のリビングでお菓子とお茶を用意して待っていてくれた。
「これは、お義姉さん。こんにちは」
慌てて挨拶すると、ヘレンさんはにっこりと笑い、席へ着くように促してくる。
その後はみんなで雑談する。
ただし、エリカのお父さん、お母さん、ホルスター、銀の4人だけは居間のストーブの前に置かれたふかふかの絨毯の前で一緒に遊んでいる。
「おじい様、おばあ様、すごろくしましょ」
「はい、はい」
そうやって楽しそうにしているので、二人のことはお父さんとお母さんに任せておくことにする。
それで、俺たち、特に女性陣は雑談で盛り上がっている。
今日の話題は子供の話のようだ。
「私たち、頑張っているんですけど、中々子供ができなくて」
ヘレンさんがそんなことを愚痴る。
どうやら、中々子供ができないのが現在の悩みらしかった。
「実家からも催促されて、結構精神的につらいです」
「お義姉さん、何を言っているのですか。まだ結婚して半年とかじゃないですか。まだ、これからではないですか」
「そうです。ヘレンさん。これからです」
「そうだよ。周りの声なんか気にする必要ないよ」
それに対してエリカたちが励ましている。
「そうでしょうか?」
「「「そうです」」」
「みなさんにそう言ってもらえると嬉しいです」
皆に励まされてヘレンさんはとてもうれしそうだった。
と、ここでエリカがある提案をする。
「そうですわ。お義姉さん。ここは一つ神様にお願いしてはどうですか?」
「神様ですか?」
「ええ、そうです。私もアリスタ様を祭っているナニワの神社でお参りした後くらいにホルスターを授かりましたので、ご利益はあると思いますよ」
「ナニワの町の神社ですか。でも、ナニワって確かフソウ皇国ですよね。物凄く遠いのでは?」
「大丈夫です。うちの旦那様の魔法なら一瞬です。ね、旦那様」
そう言うと、エリカが俺のことをじっと見てくる。
明らかにこれは連れて行けという意味だ。
まあ、別に構わないけどね。
そんなに手間なわけでもないし。
そういやナニワの神社と言えば銀の故郷だしな。この際、里帰りさせてやるのも良いかもしれない。
「わかりました、お義姉さん。お義兄さんと一緒に今度行きましょう」
「本当ですか?ありがとうございます」
こうして俺たちは今度ナニワへ行くことになったのであった。
★★★
次の日の昼頃。
「お?たくさん人が集まって来たな」
エリカの実家の窓から外の様子を眺めていた俺は、屋敷にたくさんの人が集まって来ていることに気が付いた。
無論、全員ホルスターの誕生パーティーのために集まってきた人たちだ。
どうやら、エリカのお父さんはたくさんの人に招待状を出したらしく、こうして人がたくさん集まってきたというわけだ。
と、俺がそんな風に外を見ていると。
「旦那様、準備が整いました」
エリカがやって来た。
「そうか。それじゃあ、行くとするか」
エリカの声を聞くと、俺は立ち上がり、そのまま手を取り合って二人して屋敷の玄関へと向かう。
何せ今日は息子の誕生日パーティーだからな。
俺とエリカが中心になって客を出迎えねばなるまい。
「さて、気合をいれなきゃな」
俺はパーティーに備えて、改めて気合を入れ直すのであった。
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