今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第196話~新ダンジョン攻略 第3階層 鉱石探査ならこのワタクシ、ヴィクトリアにお任せください!~
第196話~新ダンジョン攻略 第3階層 鉱石探査ならこのワタクシ、ヴィクトリアにお任せください!~
「さて、今晩はここでキャンプをするぞ」
2階層まで攻略したところでいい時間になったので休むことにした。
結界石を使用し、テントを張り、まず飯を作る。
「今日は銀ちゃん頑張りましたからね。晩御飯は銀ちゃんの好きなハンバーグにしましたよ」
「ありがとうございます。ヴィクトリア様」
今日の晩飯の当番はヴィクトリアで、そのヴィクトリアは銀が頑張ったということで、銀の好きなハンバーグにしたということらしかった。
ということで、晩飯のメニューは、ハンバーグ、パン、コンソメスープとなった。
「ごちそうさまでした」
晩御飯を食べたら、後は余計なことをせずに寝るだけだ。
というか、銀がいるのに嫁さんたちと余計なことはできなかった。
銀も大人になればそういうことをするのかもしれないが、現状ではまだまだ早かった。
ということですぐに休む。
魔石ストーブで暖を取り、常夜灯としてカンテラを吊るしてから布団に入る。
「おやすみなさい」
そして、そのまま寝る。
配置は入り口から、俺、エリカ、リネット、ヴィクトリア、銀だ。
奥の方が安全なので、銀を一番奥にして、俺が入り口に寝ているわけだ。
ちなみに嫁たちの順番は、じゃんけんで決めたらしかった。
で、エリカが俺の横を勝ち取ったというわけだ。
布団に入ってしばらくの間は、嫁たちの女子トークが続いていて中々眠れなかったが、やがて3人とも寝入ったのか、聞こえなくなる。
それに伴い俺も寝る。
今日は色々あって疲れたなあ。
と、その夜はよく寝られた。
★★★
翌朝。
朝食にパンと目玉焼きとカリカリベーコンを食べた後、俺たちはテントを回収し、探索を再開する。
「さてと、それでは3階層を今から探索するわけだが、……3階層は鉱山エリアか」
3階層は鉱山エリアだった。
天然の鉱石があちこちに露出しており、採掘のし甲斐がありそうなエリアだった。
「こういう場所なら、あれが有効かな、ヴィクトリア」
「ラジャーです。『精霊召喚 土の精霊』」
俺の指示でヴィクトリアが土の精霊を呼び出す。
土の精霊は鉱石の探知能力があるそうなので、こういう場所で使うのには最適だった。
「さあ、お宝ゲットの時間ですよ。土の精霊よ。頑張ってください」
「……」
ヴィクトリアの指示を受け、土の精霊が無言で行動を開始する。
というか、今無言と言ったが、俺は精霊たちが話すところを見たことはない。
だから、ヴィクトリアに本当に指示が伝わっているのか、どうやって確認しているのか、聞いたら、
「心の中で会話しています」
とかいう、よくわからない回答が返ってきた。
多分、召喚者にしかわからない意思伝達手段があるのだと思う。
まあ、いい。
それよりも、今は3階層の探索の方が優先だ。
「それじゃあ、ヴィクトリア、頼むぞ」
「はい」
こうして3階層の探索はスタートするのだった。
★★★
「ホルストさん、ホルストさん、ここに金鉱石がありますよ」
「ホルスト君、ホルスト君、ここにはミスリル鉱石があるよ」
「旦那様、こちらにはエメラルドが埋まっていますよ」
第3階層で嫁ズが子供のようにはしゃいでいた。
やはり女性というのはきらびやかな物に魅かれるのだろうか。
そう言う嫁たちの顔は輝いていた。
前にも一度、『希望の遺跡』でこういう状況になったはずなのだが、今回はあの時よりも嫁たちのはしゃぎ方がすごい。
まあ、あの時は先の見えない緊張感があって、そんなに鉱石あさりに集中できなかったしな。
それに今回は、土の精霊がいるおかげで鉱石探しの効率がいいから、あの時よりも簡単に見つけられて、嫁たちも楽しいのだと思う。
と、そんなことをしているうちに、俺のセンサーに敵がひっかる。
「おい、敵だぞ」
早速俺が嫁たちに警告の声をかけると、嫁たちは一斉に鉱石探しを止め、武器を構える。
この切り替えの早さはさすがは俺の嫁だと思った。
「よし、行くぞ!」
「「「「はい」」」」
そして、そのまま俺たちは敵へ立ち向かっていく。
★★★
「アイアンゴーレムか」
現れたのはアイアンゴーレムだった。
全身を鉄の鎧で覆い、いかにも強そうな外見をしている。
実際、並の冒険者ならその分厚い鎧に阻まれて攻撃が届かないことだと思う。
アイアンゴーレムも一応ゴーレムなので、核が体のどこかにあるので、倒すのならそこを砕かないといけない。
ただ、防御力が並外れているので、そこへ痛撃を与えるのが難しいというわけだ。
まあ、俺たちにとっては大した問題ではないがな。
「行くぞ、リネット」
「おう」
俺とリネット二人がかりで、攻撃する。
ブルン。
アイアンゴーレムはその太い腕を大きく振り回して迎撃してくる。
しかし。
「させないよ」
リネットが自慢のオリハルコンの盾でアイアンゴーレムの攻撃を完璧に防いでしまう。
「うがあああ」
その後も何度かアイアンゴーレムはリネットに対して攻撃を繰り返すが、どれだけ攻撃しても結果は変わらない。
俺と同じく、『人の行』、『地の行』、『天の行』をジャスティスから修行したリネットからしたらこの程度の攻撃、今更だ。
そして、俺はリネットがつくってくれた隙を縫って攻撃に移る。
「うおおりゃああああ」
大上段に振りかぶった愛剣クリーガでアイアンゴーレムに切りかかる。
その俺の攻撃を防ごうと、アイアンゴーレムは腕を振り上げるが、
「なんの」
スパっと、俺はアイアンゴーレムを腕ごと叩き切ってやる。
ガクッ。
腕を斬り飛ばされたアイアンゴーレムは体勢を崩してよろめく。
「旦那様!アイアイゴーレムの核はお腹のあたりです」
と、ここでエリカのアドバイスが入る。
俺はエリカの言葉に従い、アイアンゴーレムの腹のあたりを魔力感知で探る。
「そこだ!」
俺はアイアンゴーレムの核に対して剣を突き刺す。
「ぐおおおお」
核を破壊されたアイアンゴーレムは断末魔の悲鳴を上げ、動きを止める。
「終わったな」
こうして、俺たちはアイアンゴーレムを討伐したのだった。
★★★
「アイアンゴーレムに使われている鉄は質が良くて高く売れるからな。回収は丁寧にしろよ」
「ラジャーです」
俺の指示で、ヴィクトリアがアイアンゴーレムの残骸を丁寧に回収している。
実際俺の言う通りで、アイアンゴーレムに使われている鉄は固いのに柔軟性も兼ね備えた良い鉄でできており、打ち直して剣や盾にすると良い武器がつくれると評判だった。
「それにしても、このダンジョンは『希望の遺跡』と比べても、敵のレベルの上がり方が早いな。一応ギルドの報告書には、『第3階層。上位の中級冒険者から上級冒険者向け。アイアンゴーレムなどの強敵が出現する可能性あり。ただし、出現する鉱石は貴重なもの多数』としておくか」
「そうですね。私もそのくらいの報告が妥当だと思います」
俺の意見にエリカも同意のようだ。
これでギルドへの報告書の内容は決まった。
「それは、それとして、ダンジョンという場所はどうしてこうも多種多様な鉱物が取れるんだろうな」
話がひと段落つたところで、俺が前から思っていたことを口にすると、
「それは地脈のエネルギーの影響だと、学術書にかかれていました」
エリカがそんなことを言い出した。
「学術書?」
「ええ、前に王都の図書館で見た学術書にそんなことが書かれていました」
王都の図書館?
そういえば、エリカやヴィクトリアは暇なときはよく図書館へ行っていたな。
まあ、もっともヴィクトリアの奴は物語本ばかり読んでいるようだったが、さすがはエリカ。
そんな難しい本も読んでいたのかと感心した。
「その本によりますと、ダンジョンというものは地脈のエネルギーの強い場所に出現し、その地脈の影響を受け、魔物や植物の生態系、露出する鉱石の種類など、ダンジョンの外の世界と比べて、異なったものになる……という話らしいです」
「へえ、そうなんだ。さすがエリカだ。勉強熱心だな」
「いえ、そんなことはありません。ただ、私は旦那様のお役に少しでも立ちたくて、こうしているだけです」
俺に褒められたエリカが照れくさそうにそう言う。
あ、エリカがデレた。
俺はそう思った。
というか、こういうエリカはあまり見たことがないのでとてもかわいらしいと思った。
たまには奥さんの変わった一面を見るのも悪くないと思った。
★★★
「お、下り階段だな」
それから3時間後。
第3階層のマッピングが大体終わったころ、俺たちは下り階段を発見した。
ということで、早速次の階層へ向かうことにする。
「よし、お前ら行くぞ!」
「「「「はい」」」」
そして、俺たちは次の階層に進むのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます