今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第195話~新ダンジョン攻略 第2階層 ヴィクトリア、知っているか?きれいな生き物には毒があるんだぞ!~
第195話~新ダンジョン攻略 第2階層 ヴィクトリア、知っているか?きれいな生き物には毒があるんだぞ!~
2階層も1階層同様洞窟エリアだった。
ただ、1階層と異なるのは。
「旦那様、水路が流れています」
通路の横を水路が流れている点だった。
カンテラの光を当ててみると。
「そんなに幅は広くないみたいだな」
見る限りではそんなに幅の広い水路ではなかった。
平均3メートル、幅のある所でも5メートルといったところだ。
ただ。
「ヴィクトリア、長い棒を出せ」
「ラジャーです」
ヴィクトリアが収納リングから長い棒を取り出したので、俺はそれを受け取る。
俺はそれを水路に突っ込んでみる。
「全然底につかないな」
棒を全部水に入れてみても棒は底に届かなかった。
棒は5メートルほどの長さだったから、水深は最低でも5メートル以上はあるということだった。
その上。
「ここの水ってずいぶん温度が低いな。落ちたら、大変だから落ちないように気をつけろよ」
「「「「はい」」」」
ということで、2階層の基礎調査が済んだので、俺たちは先へ進むことにした。
★★★
2階層を探索するにあたって、パーティーの配置を変更した。
「先頭は任せておけ」
まずリネットの代わりに俺がパーティーの先頭に立った。
「後方は任せて」
次に後方の警戒にリネットが立つ。
さらに。
「エリカさん、ワタクシが地形をチェックするので、書く方はお願いします」
「わかりました。ちゃんと指示してください」
マッピングはヴィクトリアとエリカがするようになった。
こういうふうに時たま役割を変えるのは、長丁場のダンジョンの探索では重要なことだ。
というのも、こうしておかないと、パーティー内で疲労の蓄積に差が出てしまい、その差のせいで、パーティーが行動不能になることもあるからだ。
これは基本的なことで、ギルドの新人講習会の時とかにも、新人たちにその必要性を教えたりしたものだ。
ということで、今回のダンジョン探索においても実践しているというわけだ。
なお、銀は相変わらず待機ということになっているが、この階層に関しては修行の意味も込めて、銀にも少しばかり働いてもらおうと思う。
★★★
「『雷光術』」
銀が電撃の妖術を放つと、空を飛んでいたフライフィッシュの群れがバタバタと地面へと落ちていく。
「銀ちゃん、大分妖術が上手くなりましたね」
「エリカ様、お褒めいただきありがとうございます」
エリカに褒められた銀がうれしそうに笑う。
2階層に出現する敵は1階層と全く異なり、水棲系の敵が多くなった。
フライフィッシュ、ポイズントード、オオサンショウウオとかそういった連中である。
いずれも雷属性の攻撃に弱いので、俺たちからすれば大した相手ではない。
ということで、銀が覚えたての雷の妖術を使って攻撃していくことにし、残りの者は銀のサポートに回った。
そうやって、銀を中心にして、俺たちは次々に敵を撃破していった。
もちろん、銀はまだまだ子供なので、ケアすることも忘れない。
「銀ちゃん、大分疲れたでしょう?今魔法かけて、体力回復してあげるからね。『体力回復』」
「ヴィクトリア様、ありがとうございます」
「銀ちゃん、大分魔力を使ったでしょう?ちょっと子供には苦いかもしれないけれど、マジックポーションを飲みなさい」
「はい、エリカ様」
そういう風に、銀を労わってやりながら俺たちは先へ進んだ。
★★★
「ちょっと遅くなったけど、そろそろお昼ご飯にするか」
それからしばらくして俺たちは昼食を食べることにした。
俺的にはダンジョンに入ってからそんなに時間が経っている気がしなかったのだが、
「旦那様、もう14時を回っていますよ」
と、エリカに指摘されて、自分たちが全然休憩していないことに気が付いた。
まったく。本当、ダンジョンという場所は時間間隔がずれるので困る。
それはともかく飯だ。
いつもなら、用意してきたお弁当を食べるのだが。
「温かいスープを作りますね」
今日は温かいスープを昼食に作ってくれるみたいだ。
というのも、
「この階層って、結構寒いよね」
と、リネットを始め、皆がそう言うからだ。
というのも、この階層には水路が流れているせいで気温が低いのだ。
だから、暖かいものを作って体を温めようというわけだ。
そうは言ってもダンジョン内で煙を出すような調理器具は使えない。
「ヴィクトリアさん。あれを出してください」
「ラジャーです」
エリカに言われて、ヴィクトリアが魔石コンロと魔石ストーブを取り出す。
これは魔石の魔力を使用して熱を出す調理器具と暖房器具で、煙とか出ないので、ダンジョンで使うのには最適な品だった。
「結果石を設置して、テントを張るぞ」
結界石を使って、魔物の侵入を防いだ後、テントを張り、魔石ストーブを使用すると、すごく暖かかった。
「チキンスープができましたよ」
しばらくすると、チキンスープができたので、
「「「「「いただきます」」」」」
皆で一斉に食べる。
「うまい」
冷えた体に温かいチキンスープは最高だった。
食が進む。
ご飯を食べながら、この階層について検討する。
「ここは水が豊富なせいもあり、薬草が豊富だな」
「そうですね。結構珍しいのもありますね」
「後、敵の傾向も1階層とはガラリと変わるしな。ということで、ギルドへの報告は、『第2階層。敵のレベルは1階層よりも上。中級以上の冒険者が準備を整えた上で、挑むのが妥当。ただし、魅力的な薬草の数々を採取できる可能性あり』と、こんなところでいいかな」
「ええ、よろしいと思います」
そういうことを検討しているうちに、昼食を食い終わり、十分休憩したので探索を再開することにする。
★★★
「うわー。なんかきれいな色のカエルさんがたくさんいますよ」
ダンジョン探索を再開してしばらくすると、ヴィクトリアが水路上の岩場で、カエルの集団がゲコゲコ鳴いているのを見つけた。
そのカエルたちは赤、白、青と色とりどりのきれいな発色をした皮膚を持っていた。
「どんなのか。ちょっと触ってみたいですね」
ヴィクトリアの奴がカエルの色に魅かれて触ろうとするが、俺はそれを慌てて止める。
「バカ!きれいな色だからって見境なく触ろうとするな!」
「ええ~、どうしてですか?」
「いいか。自然界では、色鮮やかなキノコなんかには毒が含まれていることが多いんだぞ。いわゆる警戒色というやつだ。だから、もしかしたらこのカエルにも……」
「毒があるって言うんですか?まさかあ」
「いいから、俺に任せろ。『世界の知識』」
俺は魔法を使ってカエルを調べてみる。すると……。
『ヤドクガエル』
皮膚に猛毒を持つカエル。
その毒性は強く、素手で持つと、皮膚がただれることもある。
ただし、ものは使い方で、その毒を矢に塗って、毒矢として使用する部族もいる。
……と、まあ、こういう結果が出た。
それをヴィクトリアに伝えると。
「ふえーん。ホルストさん」
そうやってまた泣きついてくるのであった。
やれやれ、今日何度目だよ。
そう思いつつも、俺はヴィクトリアの頭を撫でてやるのだった。
「お、階段があるな」
それから2時間後。
2階層の探索を終えた俺たちは、次の階層へ行くための階段を発見した。
「さて、この階層の探索も終わったし、次へ行くか」
「「「「はい」」」」
そして、俺たちは次の階層へと進んでいくのだった
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