今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第184話~久しぶりのノースフォートレスの町~
第10章~冬の間ノースフォートレスの町でゆっくりしたら、エルフの国へ行こう!~
第184話~久しぶりのノースフォートレスの町~
「この町を見るのも久しぶりですね」
ようやくたどり着いたノースフォートレスの町並みを見ながら、ヴィクトリアがため息交じりに言う。
本当にこの町に帰ったのは久しぶりだった。
街並みを眺めていると、何だかノスタルジアを感じるほどだ。
ただ、すべてが前のままというわけでもなく、所々に新しいお店ができているのが散見できた。
「あ、あそこに新しいお菓子屋さんができていますう。エリカさんたち、今度食べに行きましょう」
早速それらの店に目をつけたらしヴィクトリアが、エリカたちを誘ったりしている。
うちの奥さんズはとても仲が良いので、俺抜きでよく親睦を深めているようだ。
うん、とてもいいことだと思う。
家族関係が良好だと、俺も気持ちいいからな。
ずっと奥さんズにはこのままの関係でいてほしいと思う。
それはともかく、とりあえず俺たちはヒッグス家のノースフォートレスの別荘に預けてある家の鍵を取りに行くつもりだ。
何せ、家の鍵がないと家に入れないからな。
ということで、俺はエリカの実家の別荘へ向けて馬車を走らすのだった。
★★★
「家の中は意外ときれいだな」
ヒッグス家の屋敷で鍵を受け取って家に帰った。
すると、家の中は割ときれいだったので驚いた。
多分、ヒッグス家の人たちが定期的にきちんと掃除をしてくれていたからだと思う。
本当にエリカのお父さんには感謝しかない。
さて、家に着き荷物の整理を少しすると、夕飯の時間になったのでご飯を食べに出掛けた。
「今日は疲れていて、ご飯を作るのが億劫なので、ご飯を食べに行きましょう」
嫁さんたちが口を揃えてそう言うので、ご飯を食べに行くことにした。
行先は近所の宿屋がやっている家庭的な雰囲気が売りのレストランだった。
「いらっしゃいませ。あら、お久しぶりですね」
アットホームな店で、今までに何度も利用しているので店主がそう言いながら笑顔で出迎えてくれた。
「え~と。このステーキセットを4つと、子供たちにはこのハンバーグとエビフライのセットを。飲み物は大人4人はワインで、子供たちはオレンジジュースでお願いします」
そうやって注文してからしばらくすると、飲み物と料理が運ばれてきた。
「「「「「「かんぱい」」」」
とりあえず乾杯して、ノースフォートレスへの帰還を祝うと、ご飯を食べ始める。
「ここの料理、久しぶりに食べましたけど、やっぱりおいしいですね」
「だよね。おいしいだけじゃなくて、懐かしい感じもするしね」
「ここの料理は、家庭の味という感じがしますからね」
女性陣は久しぶりにここの料理が食べられて、満足そうだ。
一方、銀とホルスターはというと。
「ホルスターちゃん。銀姉ちゃんがお肉とエビ切ってあげるからね」
「ホルスターちゃん、もうちょっとゆっくり食べないと、ご飯落として服が汚れちゃうでしょ。もう、しょうがないなあ。お姉ちゃんが食べさせてあげる」
銀がお姉ちゃんぶりを発揮して、ホルスターの世話を一生懸命していた。
「銀姉ちゃん。次はハンバーグ食べたい」
「はい、はい。ハンバーグね。あーんして」
「あーん」
ホルスターも銀によく懐いていて、されるがままだ。
うん、本当の姉弟みたいでほほえましい限りだ。
こうして、この日、俺たちは楽しく夕飯を食べることができたのだった。
★★★
次の日。
俺たちは買い出しに出掛けた。
前にも言ったと思うが、俺たちの次の目標はエルフの国だ。
ただこれからの冬の季節、エルフの国は雪に閉ざされているので行くのは危険だ。
だから、しばらくの間はノースフォートレスの町でゆっくりしようと思う。
今日の買い出しはそのための準備なのだ。
ということで、最初に行ったのは家具屋だ。
「ホルスターは、このベッドでいいの?」
「うん」
主な目的はホルスター用のベッドを買うことだ。
何せ家にはホルスターが赤ん坊のころに使っていた小さなベビーベッドしかなかったからな。
だから、ベッドを一つ買って子供部屋に置いておくつもりだ。
「ワタクシは、このベッドがいいですね」
「アタシはこれがいいかな」
ホルスターのベッドを買った後は、ヴィクトリアとリネットのベッドを買った。
二人にはすでにベッドがあるのに、なぜ買い替えるかって?
そんなの言わせるなよ。
俺と二人で使うには小さいからに決まっているだろうが。
……って、自分で言ってて恥ずかしくなってしまった。
ちなみに、うちの嫁さんズは、俺に彼女たちを平等に愛せと言っているので、ちゃんと毎晩かわるがわる平等に愛しているからな。
……と、そんなわけで、ベッドも買い替えたことだし、今日は食料とかを買い込んで家に帰ることにしようと思う。
★★★
さらに次の日、俺たちはリネットの実家に行った。
「お母さん、ただいま~」
「あら、リネット。いつこっちへ帰ってきたの?」
「一昨日だよ。で、一昨日、昨日で家の片づけしてた。それで、今日皆と来た」
「お義母さん、お久しぶりです」
「「「「お久しぶりです」」」」
「あら、ホルストさんたちも来たのね。大したおもてなしはできないけど、お入りなさいな」
一通り挨拶が済むと、リネットのお母さんが家の中に淹れてくれた。
リビングに通され、お茶を出して歓待してくれる。
「これ、王都のお土産です」
「あら、どうも」
お母さんは嬉しそうにお土産を受け取ると、早速開ける。
「おいしそうなお菓子ね」
お土産の中身は王都で買ったお菓子だった。
お母さんはそのうちのいくつかをお皿に盛ると、お茶請けとして俺たちに出してくれた。
「ところで、お母さん。お父さんは何しているの。仕事?」
「そう、仕事。最近、仕事の量が急に増えてね。お父さんたち、てんてこまいなの」
「そうなの?というか、もともと仕事が多くて注文受け切れていなかったのに、まだ増えているの?」
「そうなのよ。武器を作っても作ってもすぐに売れちゃうくらい注文が来るのよ」
「ふーん。どうしたんだろうね」
「それが、ホルストさんのせいらしいの」
え?俺のせい?
一体どういうことだろうと、俺は驚き、お母さんの話に耳を傾けた。
「え?ホルスト君のせいって、どういうことなの?」
「ほら、ホルストさんって、最速でSランク冒険者になったり、たくさんの魔物をあっという間に倒したり、国王陛下を大悪魔から守ったりと大活躍じゃない。だから、そのホルストさんが使っている武器をうちの人が作ったと聞いて、ホルストさんの活躍にあこがれる人たちから注文がよく来るようになったのよ」
なるほど。そういうことか。
俺は納得した。
「だから、武器を注文しても、完成までに1年待ちとか、そういうことになっちゃってるわね」
「ふーん、そうなんだ。大変だね。それだと、お父さんの顔を見に行っても邪魔扱いされるかな?」
「そんなことはないと思うけど……お父さん、いつもリネットに会いたがっているし。何なら会いに行ってみたら?」
ということで、お母さんの勧めで、俺たちはリネットのお父さんに顔を見せに行くことにした。
★★★
「おう、久しぶりだな」
リネットの実家の工房へ行くと、リネットのお父さんのフィーゴさんが出迎えてくれた。
お母さんが言う通りに、工房の中は忙しそうで、お弟子さんたちが必死の形相で駆けずり回っていた。
それでも、娘に久しぶりに会えてうれしいのか、お父さんはにこやかだった。
「それで、リネット。旦那とはうまくやれているのか」
「うん、バッチリだよ。お父さんたちにも負けないくらいラブラブだよ」
それを聞いて、お父さんがガハハと大声で笑った。
「お前も言うようになったな。これは孫の顔が見られる日も近いかもしれないな」
「もう、お父さんたら……知らない!」
孫とか言われてちょっと恥ずかしかったのか、リネットが顔を赤くして怒り、プイッとお父さんから顔をそむけた。
娘にそっぽを向かれたので、お父さんは俺に声をかけてきた。
「よう、お前も元気そうだな」
「はい、元気でやらせてもらっております」
「そうか。で、ちゃんと娘のことは大事にしてくれているか?」
「はい、もちろんです」
「ならば、よし。頼むぞ」
「任せてください」
と、こんな調子で雑談は進んでいき、そのうちにいい時間になったので、お母さんがご飯ができたというので、ご相伴に預かることになった。
★★★
うん、見事に炭水化物と肉料理のオンパレードだな。
出された料理を見て、俺はそう思った。
まあ、ここは力仕事の多い鍛冶屋だから、体力と筋力の消耗が激しいのでこの食事メニューなのは理解できるが、昼間からこれはちと胃に悪い気もする。
「うわあ、お肉がたくさんです。これ全部食べてもいいんですか?」
もっとも、ヴィクトリアには関係ないようで、席に着くなりバクバク食い始めた。
それでも、お母さんが折角用意してくれたものだ。
「いただきます」
俺は昼めしを頑張って食べるのだった。
★★★
「それじゃあ、お父さん、お母さん、また来るからね」
「ああ、元気でやれよ」
「また顔見せに来なさいよ」
昼食を食べると、リネットの実家を出て、次の目的地へ向かう。
目的の建物はリネットの実家から遠く離れていないところにあった。
「お、着いたな」
俺たちはその建物の中に入る。
その建物の入り口には、『冒険者ギルド ノースフォートレス支部』と書かれた看板が掛けられていた。
まあ、ノースフォートレスの町に帰って来たのだから、ギルドのみんなにも挨拶をしないとな。
後、折角来たんだから、適当な依頼があれば引き受けたりするのもいいかもな。
そんなことを思いながら、俺たちは受付の方へ行くのだった。
この後、とんでもない事態になることも知らないで。
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