第151話~グランドタートル撃破!~
「『窮鼠猫を噛む』」
ネズ吉が俺に自分の必殺技をかけてくれる。
『窮鼠猫を噛む』
この技はネズ吉の奥の手で、絶体絶命の窮地の時にだけ発動し、使用者に強力な攻撃力を与えるのだそうだ。
もちろん、『神強化』や『神意召喚』との併用も可能で、だからこそネズ吉はこれを俺に使ったのだ。
ただ、この技の場合、攻撃力が爆発的に上がる代わりに、防御能力が下がるのだそうだ。
まさにもろ刃の剣な技であるわけだが、今回に関しては最適解であると思う。
グランドタートルのエネルギーシールドを破らないと、何も始まらないのだから。
そして、この技の他にも。
「それがしも一緒に突撃します」
カリュドーンの猪もエネルギーシールドを破壊するのに協力してくれるそうだ。
さて、準備も整ったし、再度攻撃だ!
★★★
「それじゃあ、カリュドーンの猪、頼んだぞ」
「お任せあれ」
俺はカリュドーンの猪の背に乗った。
もちろん、これから亀野郎に攻撃を仕掛けるためだ。
「準備はよろしいでしょうか?」
「ああ、俺の方はいつでもいいぞ。お前のタイミングで仕掛けてくれ」
「畏まりました。では、早速。『猪突猛進』」
俺を乗せるなり、カリュドーンの猪は特技を発動し、グランドタートルに向かって行く。。
無論、グランドタートルも俺の時と同じか、それ以上の規模のエネルギーシールドを張って、俺たちを迎撃してくる。
ドッカーン。
力と力が激しくぶつかり合い、ものすごい音が周囲に響き渡る。
顔を悪化にした猪が、同じく顔を真っ赤にした亀とぶつかり合う。
見る人が見たらすごい絵面だと思う。
まあ、俺はただ見ているだけではないけどね。
「『一点突破』」
カリュドーンの猪とグランドタートルの形勢が互角だと見た俺は、追撃の必殺剣を繰り出す。
カリュドーンの猪の攻撃を受けることにかなりのキャパシティーを割かれていたエネルギーシールドは、俺の攻撃が加わったことで、一気に崩壊し始める。
それでも、しばらくの間は耐えたが。
パリーン。
突如、大きな音を立てながらエネルギーシ-ルドが木っ端みじんにはじけ飛んだ。
そして、エネルギーシールドを貫いた俺とカリュドーンの猪の攻撃が、そのままの勢いでグランドタートルに炸裂する。
「ぎゃあああ」
俺たちの攻撃をまともに受けたグランドタートルが絶叫する。
当然だ。
俺たちの攻撃で、グランドタートルご自慢の甲羅に大きなひびが入ったからな。
痛くないわけがない。
もちろん、俺たちがこんな絶好の機会を逃すはずもない。
俺はエリカたちに指示を飛ばす。
「お前たち、今だ!やれ!」
大声でそう叫ぶ。
「『雷嵐』」
「『精霊召喚 風の精霊』」
俺の指示に応えて、エリカたちが雷の魔法で攻撃する。
エリカたちの攻撃は甲羅のひびへと向かって放たれる。
「ぎゃおおおお」
防御のかなめである甲羅がやられて防御力が低下しているところに弱点の魔法を叩き込まれて、筆舌に耐えがたい痛みを味わったのだろう。グランドタートルがさらなる絶叫をあげる。
「『真空断』」
当然攻撃するのはエリカたちだけではない。
リネットも甲羅のひびめがけて遠距離攻撃を飛ばす。
ピシッ。
甲羅のひびがさらに大きくなる。
もちろん、俺の追撃の一手を加える。
「『魔法合成 『天雷』と『天風』の合成魔法『神風』」
魔法合成を使って、特大の雷をぶち込んでやる。
「ピ」
俺の雷の直撃を食らったグランドタートルはそれで動かなくなった。
別に死んではいないが、四肢をピクピクと激しく痙攣させて、それ以上何もできないようになった感じだ。
「勝ったな」
俺がそう思った時だった。
★★★
グゴゴゴゴ。
グランドタートルの尻尾が動いた。
「ホルストさん!『荷電粒子砲』です」
それを見て、ヴィクトリアが叫ぶ。
なるほど、亀の奴、まだ最後っ屁を放つだけの力が残っていたか。
しかし、向こうがそう来るならば。
「『荷電粒子砲』を放つ前に、、尻尾をぶった切ってやる!」
俺はクリーガを構える。
そして。
「『究極十字斬』」
尻尾めがけて必殺剣を放つ。
ズバッ。
俺の必殺剣は奴の尻尾を真っ二つに切り裂く。
切り飛ばされた奴の尻尾は、地面に転がり落ち、バタなたと激しく動き回る。
が、それも束の間のことで、すぐに動かなくなる。
「今度こそ、終わったか」
グランドタートルの最後の抵抗を排除した俺たちはほっと一息つくのであった。
★★★
「「後は我らにお任せあれ」」
動けなくなったグランドタートルをカリュドーンの猪とネズ吉が再封印しようとしている。
遺跡の上に例の黒い球体を出現させ、その中に再び封印しようとしている。
「頑張れ~」
こうなった以上俺たちにできることはないので、見守るだけである。
それからしばらく後。
「ようやく、終わりましたぞ」
やっと再封印が終わったようだ。
グランドタートルの巨体が黒い球体に吸い込まれ、その黒い球体も徐々に小さくなっていき、最後には消え去ってしまった。
これで後は遺跡の中に入って地脈の修復するだけだが、その前に。
「結構お腹すきましたから、先にご飯にしましょう」
そうエリカが言い始めたので、遺跡へ入る前にご飯にすることになった。
「ヴィクトリアさん、調理器具と食材を出してください」
「ラジャーです」
ということで、ヴィクトリアがいろいろ収納リングから出して、ご飯を作り始めた。
「ヴィクトリアさんは食材を切ってください」
「はい」
「リネットさんは水を沸かしてください」
「はい」
「銀ちゃんは食器を並べてね」
「はい」
エリカがヴィクトリアたちを指揮しててきぱきと作っていく。
「できましたよ」
料理はすぐにできた。
メニューは、パンとステーキとサラダとスープだった。
「ネズ吉さんと猪さんの分もありますよ」
「これはかたじけない」
「ありがとうございます」
何と食事は神獣たちの分も用意していた。
ネズ吉は雑食なので地井さんステーキに穀物を添えたのを、カリュドーンの猪は野菜や果物が好みらしいので、それらの盛り合わせを用意したようだ。
「「いただきます」」
神獣2匹はそれらを喜んで食べた。
ちなみに、カリュドーンの猪はでかい体のままでは食うのに都合が悪いので、小さな体になっている。
「さて、それでは俺たちも食って、遺跡に乗り込むか」
「「「「はい」」」」
ということで俺たちはのんびりと食事をしたのであった。
★★★
「それじゃあ、遺跡に乗り込むぞ」
食事を終えた俺たちは、いよいよ遺跡に入ることにした。
「では開けますね」
遺跡を管理するカリュドーンの猪がそう言いながら遺跡の扉を開けてくれる。
「さあ、これで中に入れますぞ」
「ありがとう」
こうして俺たちは遺跡の中へ入るのであった。
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