第六話 回収

 姿が見えなくなるまで仮面の男を見送り、俺はスキンヘッドの男の元へ行き、蹴りを入れた。

動かないことを確認し、ケータイを取り出し、虚無の弾丸本部へ連絡した。


「コードX、任務完了。ホシは武器を所持しており、実力行使により処理した」


 電話を切り、後ろを振り返る。

そこには防護服姿の者が複数人いた。


「いらっしゃい、第一課回収班さん。相変わらず"到着が早い"ことで。今回も後処理は頼むわ」


 中央に立っていた一人が、俺に敬礼をした。


「承知っ。他のホシは情報屋の方で対処してくださったそうです。お前達、虚無の弾丸本部へホシを運べ」


 号令のもと、第一課回収班の者たちは賞金首を死体回収用の袋に詰め、運び出した。


 虚無の弾丸には、賞金首や殉職者、その他の死体の回収班があり、第一課から第五課まである。

賞金首の死体回収をするのが第一課回収班だ。


 賞金稼ぎが持つ武器は全て虚無の弾丸から支給されたものであり、使用履歴が本部に送られる。


 また、特殊な弾丸を使用しており、追跡可能で、血液が付着すると本部へ連絡がいく仕組みとなっているため、すぐに回収班が駆けつけることができる。


 しかし、誰の血液が付着したかまでは判別出来ないため、使用者本人からホシの捕縛または殺害が完了したことを報告する必要がある。


 ホシが運ばれていくのを見送り、俺はその場を後にした。



 黒田が酒場を去った後、酒場のマスターは表の看板を「close」にした。

カウンターに戻り、カウンター下からノートPCとヘッドセットを取り出し、PCを起動した。


 PCが起動してから、ヘッドセットを装着し、通話アプリとサイトを立ち上げた。

サイトは黒背景で、チャットメニューから送り先を選び、マスターは文字を打ち込んだ。


"今夜十九時、五番地区にある酒場、ブラスフェミアにて武器の売買希望あり"


 先程望に渡したメモに書かれていた内容だ。


 そして、通話アプリからグループ通話を開始する。

通話が繋がり、マスターは通話相手達に言った。


「さあ起きて、君たちの"出番"だよ」

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