美月、雷なんて怖くないぞ

 ある祝日。両親が家におらず、僕と妹の美月が留守番をしている。

僕達はそれぞれ自分の部屋で、好きなことをやっていた。


天気はどんよりとした曇り空だ。ゴロゴロと雷が鳴っている。

両親はよくそんな時に出かけるよな~。僕は不思議に思っていた。



 そう思ってどれぐらい経過したかな。急に近くに雷が落ちたのだ。凄い音だった。

その凄い音が出てすぐ…。


「兄ちゃん~。怖いよ……」


美月が僕の部屋にやってきて、ゲームをしている僕にしがみついてきた。


「大丈夫。僕がそばにいるからね」


「うん……」


結局、大きな雷は先程の1回きりだったけど、美月は僕の部屋から出ようとしない。

曇り空は相変わらずだが、ゴロゴロと鳴っていないな。もう大丈夫だろう。


「美月。さっきのような雷はもう来ないよ。自分の部屋に戻ったら?」


僕の部屋のベッドに転がって、暇そうにしているからな。

自分の部屋の方が楽しめるだろう。


「嫌。兄ちゃんの部屋にいたいの」


美月が駄々をこねた。このまま部屋にいても僕は問題ないから、美月がそうしたいなら、そうさせるか…。



 ベッドから物音が全くしないんだが、美月は何してるんだ?

僕はゲームをポーズ画面にして、ベッドを観た。


美月は昼寝をしている。…可愛い寝顔じゃないか。


どうしよう? 美月の部屋に運ぶべきか?

いや、運ぶ段階で起こす可能性がある。それならこのまま寝かせるか。


僕はテレビの音を小さくして、ゲームを再開させる。



 「あれ? あたし、寝てた?」

美月が起きたようだ。僕は再びゲームをポーズ画面にする。


「起きたか、美月。良く寝れたか?」

シーツやマットレスとかの違いで、熟睡できなかったかもしれないからな。


「よく寝れたよ~。…兄ちゃん、あたし部屋に戻るね」


「ああ」


何で今頃、部屋に戻ろうとするんだ?

訳が分からないが、美月の寝顔が見られてから良しとしようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る