13話 高野と佐々木<2>
「で、これから少しは進展するんでしょうか?」
「信頼しているやつに足取り確認をしてもらってるから、あいつなら何かつかんでくると思うよ」
「我々がこんなに動いて何も掴めてないのに、ですか?」
「う~ん、なんていうかな、ここだから無理ってのもあるわけよ。でさらに、あいつはねぇ、視点が僕らとは違うんだよ。まぁ、だからはみ出しちゃってたんだけど」
ニヤニヤと嬉しそうに言う
「署長がそこまで買っているのは珍しいですね。余程優秀な方なんでしょうか」
「う~ん、優秀ってのとは違うんだけど、努力家ではあるよ。馬鹿で単純でからかい甲斐もある」
「……褒めてます?」
「十分誉めてるよ。僕が女ならあいつと結婚したのにっていうぐらいには」
褒めているのか貶しているのかよくわからないと、首をかしげる
「その顔で思い出した。あと、
「
「そうそう、彼にもこれから迷惑かけちゃうだろうから」
「私の顔で思い出したってどういうことです?」
少々不機嫌に
「君が似てるとかじゃなくって、そのよくわからないという風な表情だよ。あの爺さん、よくそういう表情をするんだ。わかっていながら、わかってないような表情をして周りを煙に巻こうとする感じでね」
「はぁ、まぁ良いですけど。じゃぁ、あちらにも協力を要請するんですね」
「そりゃね、協力してもらわないと困るでしょ。こっちは容疑者を絞りきれてないし、いろんな人に任意で話を聞くわけで、そうしたら当然、疑われた! と騒ぐ連中もいるからね。弁護士にというより
それはそうですね、と言って、少しため息を付いた後、顎に手を当て考え込んだ。
その様子に
「どうかした?」
「いえ、
「え! あそこに居るの?! うわ~彼氏も大変だね~」
「まぁ、大変そうではありますが、仕事が忙しいというのは良いことですから」
「えぇ~、彼氏が可愛そうになるよ。変人で偏屈な爺さんと、堅物彼女を相手にしないといけないなんて」
「……なるほど、署長はもっとお仕事をしたいと。わかりました、各課にそのように伝えておきます。それでは」
にっこり微笑んで去っていく
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