山形次郎はテレビで見た「世界一旨いラーメン」を作るため、唐突に退職を決めた。そうして断崖絶壁に貼りつくジャワアナツバメの巣を取ろうとして、落下。が、なぜか無事だったことから元の断崖絶壁を目ざすも見つからず、それどころか海すらない! ここでやっと気づくのだ。彼は自分が異世界のミルゼハイン公爵家令嬢クレアリスであることに。
本作の最重要ワードは「直感」です。次郎さんは直感で辞職して、直感でツバメの巣を求め、そして異世界転生してなお直感に突き動かされるまま、ラーメン作りのため突っ走るのですよ。
とはいえ異世界ですし、まるでうまく行かないわけです。でも、そこまで読み進めてくればもう、読者はラーメンができることを疑えません。なぜなら次郎/クレアリスさんが絶対あきらめないことを知っているからです!
濃厚でキレっキレに立ちまくった主人公! 勢いゴリゴリのコメディストーリー! だというのに作り込まれた世界設定! 三位一体の怪作をどうぞおいしく召し上がれ!
(「冬こそ(冬じゃなくても)ラーメン!!」4選/文=高橋 剛)