第74話 白い手

「多分、何かある」

 ざらつきをもう感じたくないから、手のひらは身体に触れていないが感触が言葉になった。


 裏庭の猫草に水をかける彼女の手が見えているけれど朝日に、囚われた本質を透かし見るようで私は目をそらした。

 ……その手は間違いなく白いはずなのだが。

「水、冷たくなってきた」

 彼女は冷静に、猫草を見ながら私に言葉を伝える。

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