第37話 知らないけれど

 明日を待たなくても、午後を待たなくても、そんな時間の経過に任せる解決方法は必要ないと彼女は今、もがいている。

 あがいているようには見えないから大丈夫だよと伝えたら珍しく、彼女から愛情表現をされた。

 不意の出来事であったが、彼女も不意に私の言葉が心地よく響いたから一緒よと、いたずらに笑っている。

「もう、外に出たくなくなる」

「ふふっ、干してるのを見てるわ」

「その目で見られるなら、行ってくるね」

「……意味があったみたい」

 ふたりには、共通する─── させてきたことがあるから、あたたかな気持ちを分けあえるし受け取りあえる。

 時間の過ごし方に違和感がなければ、一緒に居られるけれどそれは、難しいことだから離れてゆく人ばかりだった。

 失っていってるのに、与えていると思っている人とは一緒には居られない。

 私の世界を求めてると言いながら、自分の世界を押し付けてくる人は私に何を与えた気でいたのだろう。

 過去は彼女にも、私にもある。

 正解を全て知った上でこの世界を生きてる人に出会ったことがないので、彼女も私も幾つかの間違いをおかしてきている。

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