第27話 並んで

 おにぎりは、お互いに二つ選びお茶を一つだけ買い店を出る。

 階段の神社は近所にあるのだが、かなり急な階段でお年寄りの登る姿を見れば少し緊張するぐらいである。登りきると木々が多く心地のよい場所なのだが日中でも人が少ないので彼女は、気に入っているみたいだ。

 朝ごはんの入ったエコバッグを私に渡すと、彼女はゆっくり階段を登りはじめた。

「風もあるし、気持ちいいね」

「そうね」

 彼女のスニーカーが、久々の仕事を喜ぶように階段を踏みしめている。

 私のスニーカーも今日はのお出かけを喜んでいるようで、足が軽く感じた。


「あのベンチにしましょう」

「じゃあ、こっち」

 彼女の左側に並んで座れるようにして、朝食を広げた。

 ペットボトルのお茶はエコバッグの押さえとしても使い、私のおにぎりと彼女のおにぎりが売り場にあった時のように並んで食べられるのを待っている。購入された時に四つとも覚悟を決めたようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る