第26話 スニーカー
「おはよう」
目覚ましがなる前に起きたけれど、彼女は準備が整うまで起きない意思表示をしている。
私は歯磨きをして炭酸水にレモンを絞り、グラスの半分くらいを飲んでからフロアモップで簡単な掃除をする。そしてベッドルームにもう一度、朝の挨拶をしに行くと彼女はシャワーをするために起きてくれた。
洗濯の合間で、彼女にコーヒーを用意しておく。外出をするので、目を覚ますためのコーヒーだけをリクエストされたのだがそれなりの距離を歩くからヨーグルトやフルーツでも食べておいて欲しいのだが、シャワーを浴びて濡れ髪の彼女から以外にも外食の提案を受けた。
「お店は決めてるの?」
「おにぎりを買って階段の神社で食べてから、行くのはどう」
彼女らしく彼女にとっての合理的な選択によって選ばれた答えだった。
「パリパリ海苔でおにぎり、楽しみだね」
「ふふっ、二つ買うから今から具材に何を選ぶか悩んでる。……楽しみね」
「私も、二つ買おうかな。鳥の五目とパリパリで何か……」
「猫草が目的なのを忘れないでね」
そう言うと彼女は、お出かけの服を選び始めた。下着姿が一番きれいと思いながら、私も支度を急いだ。
彼女は、スニーカーの気分なようだ。
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