第103話 文化祭(9) 〜悠の"あーん"計画〜

 それからと言うもの、僕の彼女の楓のメイド姿を見たい、と、クラスにきた人たちのお陰で売り上げが繁盛し、かなり良い状態である。だが、彼氏の僕からすると、やはり少し複雑なものだ。やはり彼女は独り占めしたいだろう。簡単に言うと、独占欲というものだ。その意からやめて欲しい。

 Bグループの担当時間が終わり、今からは堀川達のCグループである。

 そして、更衣室でばったり堀川出会った。


「よぉ、悠。どうだった?」


 (まあ、堀川が母さん達の件を知ってるわけがないし、単純に経営の件だろう)と考えた僕は、


「結構売り上げたぞ」


 僕はそういう。そうすると、堀川は笑顔になった。


「よし! それなら良かった!」


 堀川は思ったより文化祭ガチ勢だったようで、喜んでいた。

 堀川の心の中は、(俺は天野さんとどうだったの?という意味だったんだけどな…)と、内心思っていたのだった。


 それからCグループの時間となり、また楓と一緒に回り始める。

 まずは遅めのお昼ご飯に食べるためにお店をしているクラスに向かうことにする。


「何食べる?」


 僕は楓に尋ねる。

 すると、


「うーん、悠君何食べるの?」


 と、聞き返されてしまう。

 僕としては(楓が食べるものを一緒に買って食べよう)と言う考えだった。

 お互いからじゃあ拉致があかないので、僕は少し下心に従い、


「たこ焼きを食べたいな」


 そう言う。たこ焼きは1つ1つに区分されている。つまり、あーんしてくれないか、と言う下心である。


「わかった! たこ焼き買いに行こう!」


 楓も乗り気かつ、笑顔でえいえいおーとしていた。とても可愛かったのであった。


 それから、周りの視線が激しい中、たこ焼きを購入し、そこら辺の空いているベンチで食べていた。

 僕の期待していた展開には現在なっていない。ただ、「おいしいねー!」とか言いながら食べている。

 (こうなれば!)せっかくだからあーんをして食べさせれ欲しいので、自分からしてみることにした。

 普通に爪楊枝でたこ焼きを刺して、


「楓、はい、あーん」


 口元までたこ焼きを運びそう言う。

 すると、楓は分かりやすく顔を赤くする。そして、


「…頂きます」


 そう言い、たこ焼きをパクりと食べた。そしてすぐに下を向いてしまった。顔が赤くなってし、照れているのだろう。

 それから数秒後、楓が照れから冷め、顔を上げた。


「悠君! はい、あーん!」


 今度は楓があーんをしてくれた。

 僕はありがたく、たこ焼きをいただく。

 

 そのたこ焼きだけ、異様に美味しいように感じたのだった。


 そんなこんなで、文化祭はそろそろ終わりを迎えようとしていた。

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